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辞めた会社にも残業代請求はできる!|請求方法や注意点は?

更新日:

岡野武志

監修者

アトム法律事務所 代表弁護士法律監修

岡野武志

辞めた会社に残業代請求|請求方法や注意点は?

「在職中に会社と揉めたくなかった」「退職時には未払い残業代があると気づいていなかった」などの理由で、会社を辞めた後に残業代請求を考える方は多いのではないでしょうか。

自分が時間と労力を費やして行った残業。
退職したことを理由に、苦労した残業の賃金が受け取れなくなるのは納得いかないですよね。

法律上、辞めた会社に対しても残業代請求は可能です。

しかし、辞めた後の残業代請求は証拠集めや時効など、いくつか注意しなければならない点もあります。

退職後の残業代請求を失敗したくない方に向けて、この記事では

  • 退職後に残業代請求は可能か
  • 辞めた後に請求する際の注意点
  • 請求方法

について紹介します。

辞めた会社に対して残業代請求が可能な理由

辞めた会社とはもう無関係であり、残業代請求もできなくなるようにも思われます。

しかし、会社を辞めた後であっても、残業代の請求は可能です。

そこで、まずは、辞めた会社に対して残業代請求ができる理由について説明します。

そもそも残業代請求とは?

残業代請求とは正確には、「残業代が支払われるべき時期に、支払われるべき額が支払われていないため、その残業代を請求すること」を指します。

まず、「残業代が支払われるべき時期」というのは、基本的には給料日です。労働契約によっては残業代だけ給料日とは別に支払われる規定になっているなど特別な事情がない限り、残業代というのは給料日に基本給と一緒に支払われます。

また、「支払われるべき額」というのは、原則として、残業時間に見合った額という意味です。

そのため、残業代が全く支払われていない場合はもちろん、一部だけ支払われて不足している場合も該当します。

以上をまとめると、給料日を過ぎても支払われていない残業代が少しでもあれば、請求できるということです。

残業代請求の権利がある限り辞めた会社にも請求できる

そして、残業代請求ができるということは、「残業代を請求する法的な権利が使える状態」を意味します。

この権利は、いったん発生すると、会社から残業代が支払われるまで基本的には消滅しません

退職しても残業代請求の権利は持ち続けますので、その権利を使って辞めた会社に対し残業代請求ができるということです。

なお、退職が自主的なものでも解雇でも残業代請求ができるという点に変わりはありません。

辞めた会社に対して残業代請求をする例は多い

実際にも、辞めた会社に対して残業代請求が行われることは多くあります。

これには、

「在職中の会社ともめたくない」
「残業代請求をすると嫌がらせや仕返しを受けるのではないか」

といった懸念が関係していると思われます。

これらの懸念のほとんどが法律的には杞憂なのですが、退職すれば会社との関係が無くなるため、退職まで待って残業代請求を行う場合も多いということです。

ただ、退職後に請求する場合でも、「転職先に圧力をかけられたくない」といった不安をお持ちの方もいるかと思います。

しかしこの点、そもそも会社が従業員の転職先を把握しているケースというのは稀です。自分で教えない限り、転職先が正確にわかることはほとんどないでしょう。

また、仮に圧力がかけられたとしても、転職先が残業代を適正に支払っている会社であれば、圧力をかける方が不当であると正しく判断してくれるでしょう。

大きく心配する必要はないということです。

辞めた会社への残業代請求はできる限り早く行うべき

以上のように、辞めた会社に対しても残業代請求は可能です。

ただし、請求には期限があるため、その点を説明します。

残業代請求には時効がある

まず、残業代の請求には時効があります。

残業代を含む未払いの賃金は、2020年3月31日までの分であれば2年、4月1日以降の分であれば3年で時効にかかります(労働基準法115条、附則143条)。

残業した日時時効
2020年3月31日まで2年
2020年4月1日以降3年
残業代請求の時効

つまり、残業代請求が認められるのは最大で3年間分であり、それより前の分を請求しても「時効で消滅している」と会社から主張されてしまうでしょう。

言い換えれば、時効で消滅する部分を出さないために、残業代の未払いが生じてから3年(あるいは2年)以内に請求しなければならないというわけです。

辞めた会社に残業代請求をする場合の時効

この3年(あるいは2年)という期間は、残業代が支払われる日からスタートします。

先の通り、通常は毎月の給料日ということになるでしょうから、給料日から3年(2年)以内に請求しないと、その給料日に支払われるはずだった残業代を支払ってもらえなくなるということになります。

会社を辞める場合、最後の給料日は退職後に訪れることが一般的だと思います。つまり、その日から遡って3年分(2年分)の未払い残業代が、辞めた会社に請求できる最大額ということになります。

会社に対する請求が遅くなると、古い分から時効によって請求できなくなっていきます。

在職中の場合は残業も日々行うでしょうから、新しい未払い残業代が発生する可能性がありますが、退職した後はそれもありません。したがって、請求が遅くなればなるほど請求額が減っていくことになります。

いったん会社に対して支払いを求めれば、時効の完成が6か月先送りされるというルールもあるため(民法150条1項)、退職後は迅速に残業代請求を行うことが重要といえるでしょう。

未払い残業代の請求の時効についてさらに詳しく知りたい方は、「残業代請求の時効は3年!将来は5年に?時効中止や請求の方法を解説」の記事をご覧ください。

残業代請求を辞めた会社に行う際のポイント

最後に、辞めた会社に対して残業代を請求する場合における、期間以外のポイントについて解説します。

辞めた会社に残業代請求を行う際は証拠に注意

退職後に残業代請求を行う際には、残業代請求の証拠集めにも気を配る必要があります。

在職中は、就業規則やタイムカードなど、残業代請求の証拠となる資料にアクセスしやすい環境にあります。

しかし、退職後は、基本的に会社に依頼しなければそういった資料が手に入らなくなります。

また、古い記録・資料は消去・廃棄されていくため、一般的に、時間が経つほど証拠の収集は困難になります

証拠となりそうな資料は可能な限り退職前に集めておくなど、工夫が必要です。

辞めた会社に対する残業代請求は高額となりやすい

残業代請求は、未払いの残業代額そのものに加えて、遅延損害金も請求することが一般的です。

遅延損害金の額は基本的に法律で決まっており、原則は年3%民法419条1項、404条2項)ですが、退職の日までに支払われていない賃金に関しては年14.6%となります(賃金の支払の確保等に関する法律6条1項)。

残業代も賃金ですから、もちろん対象となります。

これは金銭債務一般にはない賃金だけの特徴であり、賃金という生活に密接に結びついたお金を確実に支払わせるため、法定利率よりはるかに高い利率が設定されているのです。

退職時まで残業代の未払いがあるケースは未払い額が高額であることも多いため、全体の請求額も高くなる傾向にあるといえるでしょう。

残業代請求の場合には付加金も検討

さらに、残業代の未払いには付加金という制度が設けられています(労働基準法114条)。

付加金

使用者が労働基準法上支払い義務がある一定のお金を支払わなかった場合、未払い分に加え、それと同額の支払いを裁判所が命じることのできる制度

単純に言えば、未払い残業代額の2倍の支払いを受けられるということであり、違反に対する経済的ペナルティとして設けられているものです。

退職後でも付加金の請求は可能であり、裁判で残業代を請求する場合には検討する必要があります。

もっとも、付加金の支払いを命じるのは裁判所ですので、裁判を起こさなければ請求はできません。例えば、会社と直接交渉して支払いを受ける場合、付加金を得ることはできません。

さらに、付加金が支払われるかどうかは裁判所の判断に任せられていますので、請求したからといって必ず認められるわけでもありません。

裁判所は、違反の程度(悪質性)や労働者が被った不利益の大きさなどを総合的に考慮して、付加金の支払いを命じるか否かを決定することになります。

辞めた会社に対する残業代請求は弁護士に相談

以上のように、退職や裁判という状況になれば、未払い残業代に追加で大きな支払いを受けられる可能性があります。

また、退職後は迅速に請求しなければならないことは先の通りであり、事情や証拠の法的な整理をスムーズに進める必要があります。

こういった法律上の対応は対応は弁護士が得意とする分野であり、辞めた会社に残業代を請求するのであれば、できるだけ早く弁護士に相談することが効果的です。

もちろん、弁護士は、裁判だけでなく会社との直接交渉や労働審判といった他の解決手段も踏まえて、最適な策を検討してくれます。

残業代請求にかけることのできる費用や期間を伝えておけば、それに合わせて、提案してくれるでしょう。

相談の際には、仕事内容や給与額、残業時間といった事情を整理しておくとともに、解決についての自身の希望も考えておくことが重要です。

弁護士への相談にあたって、費用相場や流れ、メリットなどを知りたい方は「残業代請求は弁護士に依頼!費用相場、流れ、メリットなどを解説」の記事をご覧ください。

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岡野武志

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士

岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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