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裁判で残業代請求をする場合のポイント|メリットやデメリットを解説

更新日:

岡野武志

監修者

アトム法律事務所 代表弁護士法律監修

岡野武志

裁判で残業代請求メリットデメリット

未払い残業代を会社に請求する方法として裁判が思い浮かぶ方は多いと思います。

しかし、裁判について
「手続きがよくわからない」
「費用や期間がかかる」
「他の請求手段はどう?」
と不安になる要素が多く、なかなか行動を起こせない方も多いのではないでしょうか。

迷っている方々の行動の参考となるように、この記事では、

  • 裁判のメリット・デメリット
  • 裁判にかかる費用・期間
  • 裁判を行う場合のコツ

について解説していきます。

裁判で残業代請求を行うメリット

残業代請求の主な方法としては、裁判のほかにもいくつか手段があります。

その中から、請求手段として裁判を選ぶことで得られるメリットについて解説します。

問題の是非を明確に決定できる

裁判というのは、裁判所が法律を使ってトラブルを解決する手続きで、トラブルを法律的な強制力をもって解決するという点に特徴があります。

裁判では、法律を厳格に適用することで、争われている問題を白黒はっきりさせることが可能です。

法律的な強制力により、問題の是非を明確に決められることが裁判を利用するメリットの一つです。

相手を強制的に巻き込むことができる

残業代請求などの民事裁判は、訴える側である原告が「誰々をこういう理由で訴えます」という旨の訴状を裁判所に提出することからスタートします。

訴状は裁判所から訴えられた相手である被告に送られますが、被告は「裁判に応じない」ということが原則としてできません。

送られてきた訴状を被告が無視して裁判に参加しなかったとしても、裁判所は原告の訴えを認める内容の判決を下すことができるからです。

つまり、被告は、裁判に参加して反論しなければ負けてしまうということです。

この仕組みによりトラブルを強制的に解決できるため、交渉での進展が見込めなかったり、そもそも交渉に応じてもらえない事件にも対処することができます。

この相手を強制的に巻き込める点が残業代請求を裁判で行うことのメリットの1つとなっています。

請求を認める判決を得れば最終的な解決まで見込める

例えば、残業代を支払うことを会社との交渉で約束したとしても、それだけでは実際に支払われるかどうかが会社の行動次第になってしまいます。

一方、裁判で下される判決には非常に強い強制力があります。

その1つとして、原告の請求を一部でも認める判決が出た場合、被告がその内容に従わなかったとしても強制的に判決の内容を実現することが可能となっています。

例えば、残業代請求のように金銭の支払いを求める場合、最終的には被告の財産を強制的に売却し、原告はその売却代金から支払いを受けることができます。

これを強制執行といいます。

さらに、同じ事件でいったん判決が確定した場合、再度同じ事件について裁判をすることは原則として許されません。

そのため、判決が確定した後で、会社が「出し忘れていた証拠があった」「事情が違っていた」と主張しても、再度争い(裁判)になることはありません。

判決が持っているこれらの力によって、トラブルを最終的に解決できる点も、裁判を選ぶ理由です。

裁判で残業代請求をする場合のデメリット|労働審判との比較

このように、残業代請求を裁判で行うことにはメリットがあります。

しかし、よくいわれているように、期間・費用の面では他の手段と比較して劣っている部分があります。

次に、その内容を確認します。

裁判以外の残業代請求の手段

裁判以外で残業代請求を行う方法としては、以下の3つが挙げられます。

裁判以外の残業代請求方法

  1. 会社に直接請求する
  2. 労働基準監督署に申告する
  3. 労働審判

裁判はこれらの手段に比べ、一般的に、期間と費用がかかるとされています。

もっとも、①は会社が未払い残業代の支払いを拒めばいつまでも解決しません。

また、②はあくまで「残業代の未払いという法律違反の是正」が目的ですから、未払い残業代全額が支払われることについてはあまり期待できません。相談にあたって費用はかかりませんが、最終的に得られる金額はむしろ裁判よりも低くなってしまうこともあるでしょう。

そもそも①・②については裁判所が関係しない手段であり、裁判のように手続きの進め方が決められているわけでもありません。そのため、費用や期間の面で裁判と比較することはあまり適切でないといえます。

そこで、裁判と同じく裁判所の関与のもと進められる、③労働審判との比較を中心に解説していきます。

残業代請求を裁判で行うことのデメリット①|期間が長い

裁判で扱われる事件はもちろん残業代請求に限られません。お金の貸し借りや事故の損害賠償など、あらゆるトラブルが扱われます。

言い換えれば、残業代請求に特化した裁判というものはなく、一般の事件と同じ手続きで処理されるということです。

一方、労働審判はその名の通り労働トラブルだけを扱う制度であり、労働トラブルの迅速な解決が制度の目的として掲げられています(労働審判法1条)。

具体的には、労働審判は原則として3回以内の期日で結論を出さなければならないとされています(労働審判法15条2項)。

「期日」というのは、当事者が労働審判委員会に対して自身の主張を行なったり、証拠を整理したりする場のことです。

裁判にも期日があり、当事者が主張と証拠の提出を行ったりしますが、労働審判と異なり回数の制限がありません

この違いから、裁判と労働審判の解決までの期間は以下のようになります。

請求手段解決までの期間
裁判1年程度
労働審判2~4か月程度
裁判と労働審判の解決場での期間の比較

このように、裁判と労働審判では解決までの期間に大きな差があるのです。

残業代請求を裁判で行うことのデメリット②|費用がかかる

裁判も労働審判も裁判所が関与する制度であり、利用するには手数料を支払わなければなりません。

裁判の場合、手数料は訴訟で請求する金額に応じて決められますが、そこまで高額ではありません。

裁判の手数料について詳しく知りたい方は裁判所の公式ホームページより手数料のページをご覧ください。

労働審判は裁判に比べ、手数料額が半額程度となっています。

【一例】100万円を相手方会社に請求する場合

裁判の手数料額:1万円
労働審判の手数料額:5000円

手数料の額は相手に請求する金額によって変わります。
残業代請求では数十万円から数百万円程度を相手方の会社に請求することが多いです。この点、裁判よりも労働審判の方が手数料額が低額であるとはいえ、差額としてはあまり気にならない金額かもしれません。

また裁判にあたっては手数料額だけでなく弁護士費用もかかります。
残業代請求における弁護士費用は、相談料・着手金・成功報酬などで数十万円程度が見込まれます。

ただ、裁判であっても労働審判であっても、実務上は弁護士への依頼がほぼ必須になります。
一応、手続き上は一般の方も一人で裁判や労働審判を起こすことはできるのですが、手続きには法律の知識や経験が要求され、労力と時間をかける必要にも迫られるので、代理人として弁護士を立てるのが通常なのです。

この時、裁判と審判とで弁護士費用に大きな差が生じる、というようなことはないでしょう。

もっとも、裁判所を介さずに会社に直接請求する場合には、弁護士費用も低くなることが一般的です。

さらに、労働基準監督署への申告であれば、そもそも弁護士に依頼しないことの方が多いです。

「会社に直接請求する」「労働基準監督署に申告する」といった方法に比べると、残業代請求を裁判で行う場合には費用がかかるといえるでしょう。

メリットデメリット
会社に直接請求・費用が抑えられる
・労働審判や裁判に比べれば弁護士費用も廉価
・会社が和解を拒否する可能性がある
労働基準監督署に申告・費用がかからない・会社の是正が目的であり未払い賃金の支払いは期待できない
労働審判・裁判に比べ解決までの期間が短い
・裁判に比べ手数料等は廉価
・弁護士への依頼がほぼ必須になる
・強制力はない
裁判・強制力がある・弁護士への依頼がほぼ必須になる
・解決までの期間が長い
【まとめ】裁判のメリット・デメリットの比較

残業代請求を裁判で行う場合のコツ

ここまで、裁判で残業代を請求する場合のメリット・デメリットについてみてきました。

最後に、それを踏まえ、残業代請求をスムーズに進めていくためのポイントを解説します。

残業の証拠を十分に集める

最初に述べた通り、裁判は法律を厳格に適用してトラブルを最終的に解決する制度です。

したがって、自分の主張は法律的な根拠をもって組み立てなければなりません。

その際に重要となるのが、残業の事実を裁判官に認めてもらうための証拠です。

例えば、残業代は残業した時間に応じて支払われるわけなので、自分が何時間残業したのかという事実を示す必要があります。

そして、それは証拠をもって示さないと裁判では認められません。

証拠は、タイムカード等の勤怠記録や就業規則といった資料のほか、自分が仕事をしていたことを示すことができる資料を幅広く検討します。

残業代に関する事実を整理し、証拠となりそうな資料をできる限り揃えておくことが重要です。

集めておくべき証拠

  • 雇用契約書・労働契約書
  • 就業規則に関する書面
  • タイムカードなど始業や終業の時間がわかる書面
  • 給与明細 など

タイムカードや勤怠システムなどを用意できない場合には、「始業・終業の時間を記した手書きメモ」「業務日誌」「業務上のメールの送信記録」「パソコンのログイン・ログオフ時間の記録」などをなるべく詳細に集めておくといいでしょう。

残業代請求に強い弁護士に依頼する

残業代請求の裁判で行うには、多くの時間と手間がかかる複雑な作業が必要であり、法律の知識が乏しい労働者一人で対応するには限界があります。

弁護士に裁判での請求を依頼することで、裁判を一任でき、的確な訴訟対応が望めます。

この記事で解説したように、残業代を裁判で解決することにはデメリットもあります。

自身の状況に訴訟が向いているのかどうかについて判断してもらうためにも、残業代請求の悩みはできる限り早く弁護士に相談することが効果的です。

残業代請求にお困りの方は弁護士への相談を検討することをおすすめします。

弁護士への相談にあたって、費用相場や流れ、メリットなどを知りたい方は「残業代請求は弁護士に依頼!費用相場、流れ、メリットなどを解説」の記事をご覧ください

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岡野武志

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士

岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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