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試用期間中や試用期間終了直後の解雇への対応方法を解説

更新日:

岡野武志

監修者

アトム法律事務所 代表弁護士法律監修

岡野武志

試用期間・終了直後の解雇への対応|専門家への相談を!

「3か月の試用期間が終われば正式に採用する」といった「試用期間」は多くの企業で設けられています。

しかし、試用期間前後で解雇されるケースもあります。

一度採用されると、他の就職先候補を辞退したり、前職を辞めるのが一般的。
そんな状況で、職を失うと絶望してしまいますよね。

急な解雇に苦しむ方にとって行動の参考となるように、今回の記事では

  • 試用期間と解雇の関係性
  • 会社が解雇する為に必要な理由
  • 解雇が認められなかった判例
  • 失業保険を受けられるか

について解説します。

試用期間と解雇の法律的な関係は?|本採用拒否の意味

試用期間と聞くと「お試し期間」というイメージを持つ方が多いと思います。

そうなると、「お試し期間だったのだから、期間が終われば解雇されても文句は言えない」となってしまいそうですが、法律上そうは考えられていません。

まずはそのことを解説します。

そもそも試用期間とはどんな期間?

試用期間は法律で決められている制度ではなく、採用におけるミスマッチを防ぐために会社が独自に設けている制度です。

そのため、明確な法律上の定義はありませんが、概ね、以下のように理解されています。

試用期間

自社の従業員としての適格性を判断するための試験的な勤務期間

つまり、採用選考だけでは自社に合っているか判断し切れないため、実際に勤務させてみて、勤務態度・能力・技能・性格等を見極めるために設けているということです。

試用期間は、一般的には「入社後3か月を試用期間とし、本採用の基準に満たない場合は解雇する」といった形で規定されていますが、単に「入社後3か月は試用期間とする」旨が書かれているだけのこともあります。

就業規則や雇用契約書の記載を確認しましょう。

試用期間における本採用拒否は解雇であり理由が必要|手続きも同様

試用期間は適格性を判断するための制度であるため、試用期間が終了する(法律的には「満了」と表現します)までに、「正式に採用するかどうか(本採用といいます)」が判定されます。

不適格だと判定されれば本採用が拒否され、雇用が終了することになります。
通常は試用期間満了時に雇用が終了しますが、中には、試用期間の満了を待たずに本採用拒否が行われるケースもあります。

本採用拒否という言葉が使われていますが、会社の判断のみによって雇用契約を終了させるわけですから、法律上は解雇にほかなりません。

したがって、本採用拒否が認められるかどうかは、解雇が有効かどうかとほぼ同様の基準で判断されます。

つまり、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当な場合にのみ許されるということであり、「試用期間が終了したから雇用が終了しても仕方ない」というわけではありません。

いったん採用されている以上、雇用を終了させるには一定の理由が求められるということです。

また、解雇予告の手続きも基本的には必要です。
ただし、入社から14日以内に解雇される場合は不要とされています(労働基準法21条4号)。

試用期間における本採用拒否と通常の解雇の違い

通常の解雇では上記の基準が厳しく運用されており、「解雇されてもやむを得ない場合」にのみ許されるというイメージです。

解雇の理由(客観的に合理的な理由)の典型例は、勤務態度に問題がある(協調性がないなど)、労働者の能力不足、勤務成績の不良といった事情がある場合です。

しかし、そのような事情があるだけで解雇が有効と認められることはあまりなく、その状態を改善するために使用者がどのような対策を取ったかが問われます。

このように、解雇が有効か否かは厳格に判断されていますが、本採用拒否は解雇に比べれば緩やかに判断されます

最高裁判決でも、通常の解雇に比べて「広い範囲における解雇の自由が認められてしかるべき」と述べられています(三菱樹脂事件最判昭和48年12月12日)。

もっとも、使用者の身勝手な理由による本採用拒否が認められないことに変わりはありません。
本採用拒否が認められなかった裁判例も一定数あるため、次で紹介していきます。

試用期間における解雇が認められなかった裁判例

試用期間における本採用拒否は法律的には解雇ですが、その有効性は通常の解雇よりも緩やかに認められるということでした。

しかし、本採用拒否(解雇)が認められなかった裁判例を見てみると、通常の解雇とあまり変わらない判断がされているものがあります。

そこで、本採用拒否に対処する参考に、それらをご紹介します。

能力不足を理由とした試用期間中の解雇が認められなかった事例

試用期間は従業員としての適格性を見極めるための期間であり、能力不足は本採用が拒否される理由の典型です。

これに関する裁判例として、一般常識及び社会人としての能力不足、業務遂行に必要な知識・経験や能力の不足などを理由に解雇された事件で、解雇が無効と判断されたものがあります(大阪地判令和元年11月8日)。

この事件では、使用者側が能力不足と判断した事情(掃除の仕方が不適切、遅刻時に遅延証明書を持参しなかったなど)は軽微なものに過ぎないとされています。

また、外部に提出する書面作成にミスがあったことも、その書面は他の従業員が確認すべき書面ともいえ、ミスの責任を解雇された従業員のみに負わせることは妥当ではないとされています。

さらに、業務について使用者からどのような指導がなされたかも不明であるとして、試用期間中の解雇を無効と判断しています

試用期間中の独善的な行動などを理由とした解雇が認められなかった事例

能力不足のほか、協調性の欠如も本採用拒否の理由となります
例えば、上長等に対する報告・連絡・相談ができない、指示に従わず独断的な行動を取るといったようなものです。

しかし、協調性の欠如といっても程度問題であり、例えば1度報告を怠った・指示に従わなかったことで、即座に本採用拒否が認められるわけではありません。

例えば、自身が関係する顧客とのクレームを直接の上司に報告せず、その顧客に対し自身の判断で(指示を受けずに)回答したことが独善的な行為である等の理由で、試用期間満了をもって解雇された事件があります(東京地判平成29年3月29日)。

この事件では、これらの行為が独善的とは評価できず、雇用継続における重大な支障ともいえないとされています。
そして、その他の事情も考慮した結果、解雇は無効と判断されています。

試用期間中の解雇が無効か有効か判断するポイント

裁判例で見てきた通り、試用期間中であっても労働者の解雇には非常に高いハードルが設けられています。

いま試用期間中で解雇を通知されてしまった方のうち、自身の解雇が有効か無効か知りたい方は以下のポイントについて見てみるのが良いでしょう。

試用期間中解雇のポイント

  • 著しく成績が不良か
    他人と比較して相対的に成績が悪いということではなく、就労させること自体がふさわしくないほどに、著しく成績が不良であるのかどうか
  • 労働者本人に改善の見込みがあるか
    会社から指導や教育が行われているか、別部署への配置転換が行われたか、またそれらをしても改善の見込みがないのか
  • 実際の業務に支障が出ていないか
    会社の業務に影響が出ているレベルなのかどうか
  • 会社側の評価の仕方が適正か
    ノルマ自体が正当で現実的なものなのか、上司からの嫌がらせで能力を発揮する場を与えられていないということがないか、上司の主観なくその労働者がフェアに評価されているのか

過去の裁判例などを見てみると、以下に該当するような解雇については有効だと判断が下されています。

  • 勤務態度が極めて悪く、社内社外問わずトラブルが発生
  • 会社側が指導したにも関わらず、理由なく繰り返される遅刻や欠勤
  • 経歴に重大な虚偽の事実があったことがわかった場合

ご自身の解雇がそれぞれの項目に当てはまるかどうか確認してみてください。

試用期間中や満了時に解雇されたら?|失業手当も含めて解説

このように、試用期間とはいえ本採用拒否(解雇)には一定のハードルがあります。

そのため、本採用拒否にあったとしても、冷静に状況の打開に向けて行動を起こすことが重要です。

最後に、その助けとなるよう、対応方法について解説します。

試用期間における解雇で失業保険はもらえる?

解雇によって職を失った(失業した)場合、最も心配なことは金銭的な補償だと思います。

これには、いわゆる「失業保険」がセーフティーネットとして設けられており、失業状態(会社を辞めて次の就職先が決まるまで)の間、雇用保険から一定の金銭給付を受けられるようになっています。

雇用保険上の制度であるため、失業保険を受給するためにはまず、雇用保険に加入していなければなりません。

雇用保険は、31日以上引き続き雇用されることが見込まれ、1週間に20時間以上働くのであれば必ず加入することとなっていおり、試用期間でも加入していることがほとんどです。

しかし、それだけでは雇用保険は受けられず、会社都合で退職した場合(解雇は基本的に会社都合に該当します)であっても、「雇用保険に入っていた期間が6か月以上必要」とされています。

退職すると雇用保険から外れるため、少なくとも6か月は在職しておかなければならないということです。

試用期間の多くは3か月〜6か月程度に設定されているため、試用期間中に本採用を拒否(解雇)された場合はもちろんのこと、試用期間満了時だったとしても条件をクリアしていない可能性が高いと言えます。

このように、試用期間における本採用拒否の場面では失業保険が受けられないケースが多いため、不当な理由に基づく本採用拒否に対しては迅速な行動が求められます。

試用期間でも解雇の理由を確認して弁護士等に相談すべき

不当か否かを確認するため、まずは解雇の理由を使用者に確認することが重要です。
この点は通常の解雇でも本採用拒否でも変わりません。

使用者の行った指導が本採用拒否の有効性において考慮されるため、実際に本採用拒否を告げられるまでの間に、能力の不足や協調性の欠如など理由がある程度わかっていることもあります。

ただ、前触れなく本採用拒否が行われることもありますし、理由に心当たりがある場合でも最終的な理由を確認しておいて損はありません。

その際、口頭で確認するよりも、解雇理由証明書の交付を求めるほうが正確かつ確実で、以後の行動にも有益です。

解雇理由証明書とは?

解雇の理由について記された書面。
労働者が請求した時、使用者には交付の義務が課せられる。(労働基準法22条2項
解雇を証明する書面が手元に何もない場合には、まず解雇理由証明書の発行を請求すべきと言える。

本採用拒否も法律的には解雇ですから、解雇理由証明書の請求が可能です。

内容を確認し、納得できない理由であれば弁護士等の専門家に相談すべきと言えます。

相談先としては労働基準監督署も考えられますが、解雇事案に対する労働基準監督署の対応は限られています。不当解雇は多くの場合労働基準法等の違反ではなく、あくまで民事の案件だからです。

弁護士であれば、労働審判といった迅速な解決が見込める手続を含め、職場復帰や損害賠償の請求といった解決手段を提示してくれるでしょう。

本採用拒否の場合、何よりも迅速に行動することが重要です。日弁連の弁護士検索やGoogle検索などで、不当解雇の相談に対応する弁護士事務所を探してみてください。

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岡野武志

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士

岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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