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残業強制が違法になる場合とは?残業を命じられたとき確認すること3選!

更新日:

岡野武志

監修者

アトム法律事務所 代表弁護士法律監修

岡野武志

違法になる強制残業。確認すること3選

正当な手続きを踏めば、会社は従業員に残業を命じることができます。

このように聞くと、
「正当な手続きとは何?」
「体調の悪い時でも残業しないといけない?」
「残業の強制が違法になることはないの?」
など、疑問に感じる人もいるでしょう。

理不尽な労働命令に従う義務があるとなると、納得がいきませんよね。

無駄な残業は避けたい、定時に退社して自分の時間を確保したいという方は多いと思います。

そんな方に向けて、今回の記事では、

  • 残業命令が違法になる場合
  • 残業命令を受けた時の確認項目
  • 残業の問題に関する相談先

について解説します。

残業命令が正当なものとして適法になる要件

会社の出す残業命令が適法となるには、会社が正当な手続きを踏んでいることが要件です。具体的には次の2つです。

残業命令の為の正当な手続き

  • 要件①|36協定の締結
  • 要件②|労働契約・就業規則に残業の規定がある

要件①|36協定の締結

会社は従業員に対して法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えて労働させることはできませんが、 労働基準法第36条に定める「時間外・休日労働に関する労使協定(36協定)」を締結すれば残業が可能となります。

36協定は、会社と労働者の過半数で組織する労働組合(労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)の両者が書面で協定します。協定では次の項目を定めます。

36協定で定める項目

  • 対象となる労働者の範囲
  • 対象期間(期間は1年以内。一般的には1年間)
  • 時間外労働や休日労働させる理由
  • 対象期間における1日、1か月、1年について残業可能な時間数、または休日労働させる休日数 など

また、36協定が有効となるには次の2つの要件も必要です。

  • 労働基準監督署に届出していること
  • 36協定の内容について従業員に周知していること

要件②|労働契約・就業規則に残業の規定がある

残業命令が適法となるには、36協定の締結とともに労働契約書や就業規則に「残業する場合がある」旨の規定が記載されていることが要件です。

労働時間に関する項目は、労働契約の締結の際の「絶対的明示事項(労働基準法第15条)」、就業規則の「絶対的必要記載事項(労働基準法第89条)」に該当するからです。

また、就業規則が有効とされるには36協定と同様に、労働基準監督署への届出と従業員への周知が必要です。ただし、労働基準監督署への就業規則届出が必要なのは、従業員数10名以上の会社だけ(36協定は従業員が1人でもいれば届出が必要)です。

残業強制を拒否できる「違法な残業命令」とは?

会社が出す残業命令が違法であれば、従業員は違法な残業命令を拒否できます。それでは、どのようなケースで残業命令が違法となるのかを説明します。

残業命令の適法要件を満たしていない場合

残業命令が適法になる要件を満たしていないのに、会社が残業を強制すれば違法です。当然ですが、違法な残業命令は拒否できます。具体的には、次のケースが該当します。

  • 36協定を締結していない
  • 労働契約・就業規則に残業の規定がない

前章で解説した残業命令の適法要件を満たしていない場合、残業命令は拒否できます。

法律上の残業の上限時間を超える場合

残業命令の適法要件である36協定を締結しても、何時間でも残業できるわけではありません。36協定で可能となる残業時間には上限があるのです。2019年4月(中小企業は2020年4月)、罰則付きで強化された残業時間の上限は次の通りです。

残業時間の上限

  • 1か月の上限:45時間
  • 1年間の上限:360時間など

2019年3月以前の上限時間は行政指導によるものでしたが、2019年4月以降は法律で定められ罰則(6か⽉以下の懲役または30万円以下の罰⾦)も設けられました。 

参考:厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針

また、36協定で特別条項を設ければ、上記の上限時間を超えて残業時間を延長することも可能です。2019年4月、特別条項も厳しくなり次の制限が設けられました。

特別条項を設けた場合の残業時間の上限

  • 1か月の上限:100時間
  • 1年間の上限:720時間 

※36協定の残業時間は休日労働を含まないのに対し、「1か月の上限100時間」に関する特別条項は休日労働を含んで規制。

ただし、特別条項で残業時間を延長できるのは年6か月までです。また、月平均の休日労働を含む残業時間(2か⽉・3か⽉・4か月・5か月・6か月のすべて)は、80時間以内に定められています。

特別条項が適用されるのは「特別な事情」が予想される場合だけで、時間外労働をさせる具体的な理由を記載して届出なければなりません。理由は「忙しい時期だから」などではなく、「決算期で業務量が増える」「〇〇の業務が追加される」など、具体性が必要です。

上限規制に関する詳細は下記リンクで確認できます。

参考:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」

「正当な理由」がある場合

残業命令が適法でも、従業員に正当な理由がある場合は残業を拒否できます。正当な理由の具体例としては、出産や育児、介護などを理由とする残業拒否です。次の通り、法律で残業が制限されています。

(法律による時間外労働の禁止)

対象内容条文
妊産婦妊産婦(※)が請求した場合、時間外労働や休日労働を禁止労働基準法第66条2項
子の養育者3歳未満の子を養育する労働者が請求した場合、所定労働時間を超える時間外労働を禁止育児介護休業法第16条の8
子の養育者小学校就学前の子を養育する労働者が請求した場合、制限時間(1か月24時間、1年150時間)を越える時間外労働を禁止育児介護休業法第17条
家族の介護者家族を介護する労働者が請求した場合、制限時間(1か月24時間、1年150時間)を越える時間外労働を禁止育児介護休業法第18条

※妊娠中の女性と産後1年を経過しない女性

また、法律に明記されていませんが、「体調が悪い」ことも正当な理由になります。体調不良で残業拒否した労働者を会社が解雇したケースでは、裁判で「「残業命令に従えないやむを得ない事由があったと認められ、これに従う義務がなかった」とされました。

残業を命じられたときに確認すべきこと3つ

会社から残業を命じられて不当ではないかと疑問を感じたら、次の3つを確認しましょう。

①36協定や契約・規則への残業に関する記載の存在

まず最初は、36協定や労働契約書・就業規則への残業に関する記載が存在するかの確認です。
残業命令が適法となるこの2要件を満たしていなければ、違法な残業命令となるため残業拒否できます。

労働契約書は会社と直接取り交わしたものなので手元にあるはずです。36協定や就業規則については、従業員への周知が義務付けられているため会社で確認できます。人事や総務などの担当部署で確認しましょう。

②残業時間が上限規制に触れないか否か

次に、残業時間が36協定の上限規制に触れないか否かを確認しましょう。
給与明細などには会社が計算した残業時間が記載されていますが、法律に抵触しないように会社が改ざんしているケースなども考えられるので、自分でも確認してみましょう。

会社の出・退金管理システムやタイムカードなどで出・退勤時間と残業時間を確認できます。また、残業命令に関して会社と争うことが予想される場合には、客観的な証拠として記録を保管していくことも重要です。

③残業を拒める「正当な理由」が存在しないか

最後は、残業を拒める「正当な理由」が存在しないかを確認しましょう。妊産婦や子どもを養育する人、家族の介護をする人は、法律で定められた残業制限が「正当な理由」です。

「体調不良」などの理由については、体調不良の程度が問題になる可能性があります。
勤務先に対しては、体調について詳しく説明する、事前に連絡する、などの方法で、自分の体調を理解してもらう努力も必要です。 

違法な残業強制を断れないときは労基署・弁護士に相談しよう

残業が違法なものであっても、実際には上司の命令に逆らえなかったり職場の同僚を気兼ねをして残業を断れないケースもあります。

このような場合には、労働基準監督署に相談してみましょう。労働基準監督署は、企業が労働基準法を遵守しているかを監督し、違反している場合には是正を図る国の機関です。相談の際には、就業規則やタイムカードなど客観的な資料をできるだけ準備しましょう。

労働基準監督署の所在地一覧

ただし、残業代が正しく支払われていないため、これまでの残業代を請求する場合、労働基準監督署では対応してもらえません。残業代の請求については民事の争いになるため、相談先は弁護士などになります。

弁護士なら訴訟や労働審判など、法的手続きを利用しながら確実な請求を目指すことができます。現在は着手金や相談料無料の弁護士事務所も多く、初期費用なしで依頼できます。不安な場合は、まず電話相談してみましょう。

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岡野武志

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士

岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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