セクハラで裁判を起こしたい!|セクハラ訴訟のポイントと慰謝料の相場 | 残業代請求弁護士ナビ

24時間365日無料問合せ受付中

フリーダイヤル
0120-215-911

セクハラで裁判を起こしたい!|セクハラ訴訟のポイントと慰謝料の相場

更新日:

岡野武志

監修者

アトム法律事務所 代表弁護士法律監修

岡野武志

2066

セクハラ被害を会社に訴えても、満足な対応をしてもらえないケースがあります。裁判で解決を図りたいと考えても、どうやって裁判すればいいのか、裁判すればどうなるのか、疑問はつきません。

今回の記事では、セクハラと慰謝料の定義や、セクハラ訴訟の手順やポイントについて解説します。また、慰謝料の相場も紹介しますので参考にしてください。

セクハラ訴訟で慰謝料は請求できる?

「セクハラで上司を訴える」などという話を聞きますが、セクハラ訴訟とは一般的に、セクハラされたことに対して慰謝料請求の訴えを起こすことです。まずはセクハラとは何か、慰謝料とは何かについて確認しましょう。

セクハラとは|対価型セクハラと環境型セクハラ

セクハラとは「相手の意に反する性的言動のこと」をいいます。

法律上の定義では、「対価型」と「環境型」の二種類に分けられます。

対価型セクハラ

職務上の地位を利用して性的な関係を強要され、それを拒否した労働者に対し労働契約上の不利益(減給、降格など)を負わされる行為。

たとえば、好成績の考課にすることを条件に上司から性的な関係を迫られる、社長から性的な関係を求められたので拒否をしたら解雇された、といった行為が対価型セクハラに該当します。

一方で、環境型セクハラとは下記のような類型のセクハラを指します。

環境型セクハラ

労働者に対して性的な関係は要求されないものの、不快感を覚えるような職場内での性的な言動。

たとえば、職場内で性的な話題を口にされる、卑猥な噂を社内に流される、職場内にヌード写真が貼られる、といった行為が環境型セクハラに該当します。

慰謝料とは|慰謝料は民事上の損害賠償

会社の従業員が不法なセクハラを行い、会社がこれを放置していた場合、セクハラ被害を受けた人は、加害者と会社の両方を訴えることが出来ます。

慰謝料とは精神的苦痛に対する損害賠償です。損害賠償の対象は、身体やモノ、経済上の利益に対する損害などであり、慰謝料は損害賠償の一種といえます。

損害賠償は大きく次の2つに分けられます。

  • 不法行為に基づく損害賠償(民法709条
  • 債務不履行、使用者責任に基づく損害賠償(民法415条715条

不法行為に基づく損害賠償は、加害者が故意に、あるいは過失によって被害者に損害をもたらしたことに対する賠償です。セクハラの事案で言えば、加害者本人からのセクハラによって損害が生じたので、加害者本人に対して賠償を請求することができます。

債務不履行、使用者責任に基づく損害賠償とは、会社が負うべき義務を果たさなかったことに対する賠償です。
会社は会社を経営するにあたって様々な義務を負います。
従業員が安心して働ける環境を整る「安全配慮義務」「環境配慮義務」はその典型です。
また、従業員の不法行為により第三者に損害が生じたときには、会社も損害賠償をしなければならないとされています(使用者責任)。

セクハラでは、会社が義務を怠った事や使用者責任を果たすべき事などを根拠に、会社に対しても賠償請求することができるのです。

セクハラ訴訟の手順とポイント

強制わいせつや強姦など刑法に抵触する犯罪行為があった場合は、警察に訴えて刑事事件として対応しますが、それ以外は民事訴訟で慰謝料の請求などを行います。

セクハラ訴訟の手順

セクハラ被害にあって加害者や会社を訴える場合、訴訟の手順は下記の通りです。

  1. 弁護士を選定
  2. 訴訟準備(セクハラ行為の証拠集め、提訴の準備など)
  3. 簡易裁判所・地方裁判所への提訴
  4. 裁判所が指示するスケジュールに沿って公判
  5. 判決

それぞれ、気を付けておくべきポイントを見ていきましょう。

ポイント①弁護士の選定

セクハラ訴訟のポイントの1つ目は、弁護士の選定です。

民事裁判は一人でも起こすことはできますが、訴訟の手続きや準備すべき書面、また実際の公判の手続きなどに高度な専門知識が要求され、準備に時間もかかります。
実質的にセクハラで訴訟を起こす場合には、弁護士への依頼はほぼ必須になるといって差支えはないでしょう。

弁護士報酬も気になりますが、弁護士を選ぶときは次の2つを重視しましょう。

  • セクハラ問題や労働問題に対する知識・経験が豊富な弁護士
  • 人柄や相性の良い弁護士

知識や経験のある弁護士がいいのは当然ですが、相性の良さなども重要です。慣れない裁判は長期間にわたり、また勤務先や上司などを相手に戦うことになります。弱気になったり、不安になったりしたときに頼りになるのが弁護士だからです。

弁護士を探すには下記の方法があります。

  • 知人や労働組合などから紹介してもらう
  • インターネットなどで個別にさがす
  • 弁護士検索サイトでさがす
  • 弁護士会の無料相談や法テラスを活用する など

依頼する弁護士の候補が決まれば、必ず面談して人柄や相性などを確認しましょう。また、報酬については不明点を残さないようにしっかり聞くことも重要です。

ポイント②セクハラ行為の証拠集め

セクハラ訴訟のポイントの2つ目は、セクハラ行為があったことを証明する証拠をどれだけ集められるかです。セクハラは人目につかない場所で行われるのが一般的なので、明確な証拠がないケースもあります。

しかし、セクハラが繰り返し行われている場合は、スマホやボイスレコーダーなどでセクハラを受けている会話を録音することも可能です。相手の承諾のない秘密録音になりますが、判例でも証拠能力が認められています。

また、自分で書いた日記やメモも信憑性があると認められれば証拠として使えます。信憑性を高めるためには、できるだけ具体的に記入することが大切です。少なくとも、下記事項などは明確に記載することが望ましいです。

日記やメモを取る際に書くべき事

  1. いつ
  2. だれから
  3. どこで
  4. どのようなセクハラをされたか
  5. 周りには誰がいたか
  6. セクハラ行為に対してどのように感じたか

その他にも、下記に記したような証拠を可能な限り集めることが大切です。

セクハラ訴訟で重要となる証拠

  1. セクハラの録音、録画などの証拠
  2. セクハラについて記した日記、メモ
  3. セクハラによるストレスでうつ病などになった場合は医師の診断書
  4. セクハラの目撃者がいればその人の証言
  5. 会社や警察に相談した事実の記録

ポイント③請求内容の決定

セクハラ訴訟のポイントの3つ目は、請求内容の決定です。弁護士と相談しながら下記を決めます。

誰を訴えるのか加害者、会社 など
何に対して訴えるのか加害者の不法行為、会社の債務不履行 など
どんな損害を受けたのか精神的苦痛、うつ病などの発症、退職 など

上記が確定したら、具体的に何を請求するかを決定します。

  • セクハラによる精神的苦痛に対する慰謝料(金額も決める)
  • セクハラによって病気などが発症したならその治療費 
  • 退職に追い込まれた場合は「逸失利益の支払い」や「職場への復帰」
  • 加害者の処分 など

弁護士に自分の希望を伝え、弁護士のアドバイスを参考に請求内容を確定させましょう。

セクハラ訴訟で争いになりやすいポイント

セクハラに基づく損害賠償請求では、実務上以下の点が争いとなりやすいです。

セクハラ訴訟で争いになりやすいポイント

  1. セクハラの事実の有無(対加害者)
    セクハラをしてきた相手が、その性的言動の事実自体について争ってくることがあります。また行為の解釈の点で、「確かにそのような行為は行ったが、これはセクハラには当たらない」といった反論をしてくるケースもよくあります。
  2. それが業務に関連して行われたか(対会社)
    会社に対して使用者責任に基づく損害賠償請求をするには、セクハラ行為が会社の業務の執行について行われたことが必要です。会社側が「セクハラ行為は業務に関連したものではないので、使用者責任は生じない」等と反論してくることがあります
  3. 会社に職場環境配慮義務違反があったのか(対会社)
    会社側が「セクハラ防止措置を適切にとっていたので職場環境配慮義務違反は犯していない」と反論してくるケースがあります。

こういった争点に対応するためにも、セクハラの証拠を収集しておくのは非常に重要です。

また、職場環境配慮義務違反があったかどうかという点では、職場がセクハラに対してどのような対策、対応をしていたかがポイントとなります。
以下のポイントについて、それぞれご自身の会社がどうだったかをまとめておくと良いでしょう。

職場環境配慮義務に違反していたかどうか判断するポイント

  • セクハラがあってはならない旨の方針を明確にし、労働者に周知・啓発していたか
  • セクハラ防止やセクハラ事案が発生した場合に関する規程を設け、労働者に周知・啓発していたか
  • 労働者からのセクハラに関する相談に適切に対応するための相談窓口を設置していたか
  • セクハラについての相談への対応または事後対応に当たっては、相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていたか
  • 相談窓口の担当者が、相談に対して適切に対応していたか
  • セクハラの相談の申出があった後、事実関係を迅速かつ正確に確認したか
  • セクハラを確認した後、就業規則等に基づき、行為者に対して懲戒その他適切な措置を講じたか
  • 被害者の労働条件上の不利益の回復等の適切な措置を講じたか
  • セクハラ発覚後、再発防止に向けた措置を講じたか
  • セクハラに関して相談したことまたは事実確認に協力したこと等を理由として、不利益な取り扱いを行ってはならない旨を定めていたか

セクハラ訴訟での賠償金の相場は

セクハラでの訴訟方法についてみてきましたが、慰謝料の相場はどれくらいなのでしょうか。実際の裁判例などでみていきましょう。

軽微なセクハラ行為に対する慰謝料は数万円から数十万円

過去の判例では、比較的、軽微なセクハラ行為に対する慰謝料は、数万円から数十万円です。具体的には下記の言動が該当します。

  • わいせつな発言を繰り返す
  • 懇親会で女性部下の身体に触れる
  • ラブホテルに誘う など

一般的には上司から部下に対して、男性から女性に対するものが多いですが逆のケースもあります。

労働基準法の違反行為があった場合などは100万円を超えることも

労働基準法の違反行為があった場合や、セクハラ行為が軽微ではないと判断された場合は、慰謝料が100万円を超えることもあります。また、セクハラが理由で病気になった場合なども同様です。

  • セクハラ行為が長期間にわたって繰り返された
  • うつ病などの治療が必要になった
  • 退職を余儀なくされた(解雇・降格・減給・不利益な配置転換を含む) など

犯罪行為があった場合などの慰謝料は300万円超のケースも

強制わいせつや強姦など刑法に抵触する犯罪行為があった場合の慰謝料の相場は、300万円を超えて高額になることもあります。

会社社長が女性従業員を無理やりホテルに連れ込み強姦した事件(千葉地方裁判所・平成10年3月26日)では、330万円の慰謝料が認められました。

また、元大阪府知事が選挙運動員の大学生女性に対し行った強制わいせつ事件(大阪地方裁判所・平成11年12月13日)では、1,100万円もの慰謝料が認められたケースもあります。

示談交渉で解決する場合、金額が跳ね上がることも

セクハラの解決を目指すときには、裁判に先立ってまずは交渉を申し入れてみて、交渉が決裂した場合に限って、裁判所に訴えるというのも一つの方法となります。

仮に交渉の段階で話がまとまるような場合には、裁判での相場よりも支払われる金額が跳ね上がる場合もあります。

相手方の会社としても、紛争の長期化を避けたいであるとか、セクハラの事実を公にされたくないといった思惑を持っているケースがあります。
裁判での相場よりも大きい金額を支払い、その代わり今後訴訟などを起こさないといった約束を取り交わす形で、セクハラの紛争が解決する場合もあるのです。

この記事をシェアする

岡野武志

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士

岡野武志

詳しく見る

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

関連記事

よく読まれる記事

最新の記事