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自己都合退職と会社都合退職の違いとは|知らないと損する両者の違い

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岡野武志

監修者

アトム法律事務所 代表弁護士法律監修

岡野武志

自己都合・会社都合退職の違い

会社を退職する理由は様々ですが、ご自身の都合で退職されるのか会社の都合で退職されるのかでは、失業保険などの待遇に大きな差が生じます。

そのため、会社を退職する際に損をしないためにも、会社都合退職と自己都合退職の待遇の差はしっかりと理解しておくことが重要です。

  • 自己都合と会社都合ではどちらが労働者にとってメリットとなるのか
  • 懲戒解雇や退職勧奨に合意した退職はどのような扱いになるのか
  • 離職理由を変更したい場合はどうすれば良いのか

など、自己都合退職と会社都合退職でよく寄せられる疑問について、徹底解説していきます。

会社都合退職と自己都合退職の定義

会社都合退職とは

会社都合退職とは、会社側が経営不振やリストラ、倒産などを理由に一方的に労働契約を解除して従業員を退職させることをいいます。

また、詳しくは後述しますが、長時間の残業やパワハラなどにより退職に追い込まれた従業員は、自己都合退職ではなく「会社都合退職」となります。

「特定理由離職者」と呼ばれる正当な理由により自ら退職した場合も、失業保険給付において「会社都合退職」の場合と同様の扱いとなります。

自己都合退職とは

自己都合退職とは、転職や結婚、出産など理由に従業員自らの意思や都合で、退職することをいいます。

もっとも、「特定理由離職者」と呼ばれる正当な理由による自己都合退職であれば、、失業保険給付において「会社都合退職」の場合と同様の扱いとなります。

他方、会社で悪質な規律違反、犯罪行為をしたことにより「懲戒解雇」された場合には解雇であっても自己都合退職と同様の扱いになります。

自己都合退職と会社都合退職の違い①|失業保険(雇用保険)

会社都合退職と自己都合退職は、主に失業保険の受給面で最も大きな違いを生じます。

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失業保険(雇用保険)とは何か|受給条件・申請期間・手続きを解説!

失業保険では、賃金日額の50~80%程度の金額を、決められた給付日数分もらうことができます。
※賃金日額は、退職前6か月の賃金合計を180で割って算定します。

自己都合退職と会社都合退職とを比較したとき、失業保険の受給資格、給付制限期間の有無、給付日数などに違いがあり、会社都合退職者の方が手厚い保護が受けられるようになっています。

自己都合退職会社都合退職
受給資格離職以前2年間で被保険者期間が12ヶ月以上離職以前1年間で被保険者期間が6ヶ月以上
最短支給開始日2か月と7日以降7日以降
給付日数90日~150日90日~330日
離職理由による失業保険の差

一般に、「会社都合退職」「自己都合退職」と分類されますが、実際の雇用保険法では離職理由ごとに細かく分類されているので詳しく確認しましょう。

失業保険(雇用保険)の受給資格

失業保険を受給するためには、原則として離職以前の2年間で通算12か月以上雇用保険に加入している必要があります(雇用保険法13条)。
会社都合退職の場合は?

「自己都合」退職2年以内に雇用保険加入期間が通算して12か月以上
「会社都合」退職1年以内に雇用保険加入期間が通算して6か月以上
失業給付の受給に必要な雇用保険加入期間

例外として、「会社都合」退職者など(特定受給資格者特定理由離職者やむを得ない理由により離職した者)の場合は、必要な加入期間が離職以前の1年間で通算6か月以上の加入に条件が緩和されます

特定受給資格者倒産、解雇等により離職したもの
特定理由離職者希望に反する雇止めにより離職したもの
やむを得ない理由により離職した病気や妊娠・出産などの理由で自己退職したもの

なお、特定受給資格者(倒産・解雇等による離職)とは、厳密な倒産や解雇に限らず、会社が原因で離職せざるをえなかった者を広く含みます

【特定受給資格者にあたる者の例】

  • 従業員の1/3以上が退職したことによる離職
  • 明示された労働条件が事実と著しく違ったことによる離職
  • 賃金の1/3を超える額が給料日までに支払われなかったことによる離職
  • 予期しえず固定給が85%以上減額されたことによる離職
  • 過大な時間外労働や休日労働が行われたことによる離職
  • パワハラ・セクハラなどによる離職
  • 会社の業務が法令に違反したことによる離職
  • 退職勧奨を受けたことによる離職

【特定理由離職者に該当する雇い止め】

「契約を更新する場合がある」とされていて、契約期間満了までに契約の更新の希望を申し出たにもかかわらず、更新がされなかった場合。

当初から更新がないことが明示されている場合や、契約満了までに更新の希望を申し出ていなかった場合には特定理由離職者に該当しないため注意が必要です。

また、自己退職者であってもやむを得ない理由による者にも、会社都合退職者と同様の受給資格の例外が適用されます。

やむを得ない理由の例

  • 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷など
  • 妊娠、出産、育児など(ハローワークで受給期間延長措置を受けた人)
  • 父母の死や看護等の家庭の事情
  • 事情により通勤が不可能又は困難になったこと
  • 希望退職に応じての離職

離職理由による給付制限

会社都合退職者は、離職から7日間の待期期間を経過すれば失業保険を受給することができます。

他方、正当な理由のない自己都合退職の場合、原則として7日間の待機期間経過後さらに2か月間は失業保険の給付を受けることができません

また、自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合には給付制限期間は3か月になります。

なお、退職日が令和2年10月1日以降である退職者は給付制限期間がこれまでの3ヶ月から2ヶ月に変更されました(ただし、5年間で3回目以降の受給の場合はこれまで通り3ヶ月)。

所定給付日数の違い

失業保険の所定給付日数は、離職理由、年齢、雇用保険の加入期間で変わります。

会社都合退職」(受給資格で述べた特定受給資格者)の場合、自己都合退職者などの一般の受給資格者より所定給付に数が長くなります。なお、特定理由離職者雇い止めによる離職者)についても、離職日が平成21年3月31日から令和4年3月31日までのものは、特定資格受給者とみなされて所定給付日数の規定が適用されます。
どれくらい違う?

「自己都合退職」(一般の受給資格者)の所定給付日数

雇用保険加入期間10年未満10年以上20年未満20年以上
全年齢90日120日150日

「会社都合退職」(特定受給資格者)の所定給付日数

雇用保険加入期間1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30歳以上35歳未満120日180日210日240日
35歳以上45歳未満150日240日270日
45歳以上60歳未満180日240日270日330日
60歳以上150日180日210日240日

このように、最低支給日数は変わりませんが、最大支給日数は離職理由によって2倍以上異なります。

また、最大支給日数が長い分、失業給付金の最大支給額も会社都合退職は約260万円に対して、自己都合退職は約118万円と2倍以上の差があります。

自己都合退職と会社都合退職の違い②保険料・退職金・転職活動

国民健康保険の軽減

お住まいの市区町村にもよりますが、会社都合退職者の場合、国民健康保険料の減額を「最長2年間」認めている市区町村も多いです。
いくらくらい違う?

お住まいの市区町村にもよりますが、会社都合退職者の場合、国民健康保険料の減額を「最長2年間」認めている市区町村も多いです。

国民健康保険の減額料を認めている場合、一般的に前年中の給与所得を100分の30として保険料を計算します。

つまり、仮に前年度の年収額が400万円であった場合、年収額120万円として保険料が計算されますので大幅な保険料の減額が期待できます。

一方、自己都合退職は、国民健康保険の納付は優遇されず通常通りの納付額です。

自己都合退職者の退職金

離職理由は退職金についても違いが生じるケースが多いです。

自己都合退職では、多くのケースで退職金が満額支給されません

会社の退職金規程などをチェックすると、勤続年数などに応じて「自己都合退職時の減額率」の表が記載されている場合が多いです。
自己都合退職の際には、この表に従って退職金が減額されてしまうのです。
通常、勤続年数が短ければ短いほど減額率は高めに設定されています。

退職金はそもそも制度自体がない会社もありますが、制度がある会社であれば労働契約書や就業規則に退職金の規定が必ずありますので確認をしましょう。

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退職勧奨時の退職金は上乗せされる?多くもらうためにすべきことも

会社都合退職をすると転職活動で不利?

離職理由が次の就職に響くのではないかと心配される方は多くいらっしゃいます。

転職活動の際に前職の離職理由は詳しく聞かれることが一般的です。もっとも、自己都合退職であっても「この人は自分からすぐに辞めてしまうのではないか」と思われることもあるため、必ずしも会社都合だと不利になるというわけではありません。
離職理由はバレる?

採否は離職理由が会社都合か自己都合かだけで決まるわけでもないため、どちらが有利・不利かを考えるよりは、しっかりと自身の魅力を伝えた上で離職理由を理解してもらえるように伝えられるだけの入念な準備を練っておくことが大事です。

なお、個人情報への意識の高まりから、現在では就職活動時に会社が労働者の同意なく前職へ問い合わせをしたり、離職証明書の提出を求めてくるといったことはほとんどなくなっています。

そのため、離職理由については労働者の説明以外で次の会社に伝わることは基本的にはあまりありませんが、事実と違う説明をしたことが後から発覚してしまうと経歴詐称を理由に解雇などをされるリスクもあるためご注意ください。

自己都合と会社都合|退職理由はどう見極める?

自己都合退職と会社都合退職の違いを見てきました。

労働者にとって退職理由の違いは大きな違いであるとお分かりいただけたかと思いますが、一方で会社を退職する際にそもそも退職理由が食い違ったりトラブル化してしまうケースもあります。

どのようなときに自己都合・会社都合になるのか、離職理由でトラブルになった際にはどうすれば良いのか確認しておきましょう。

懲戒解雇は自己都合?会社都合?

会社が労働者に対して行う解雇には、「整理解雇(リストラ)」、「普通解雇」、「懲戒解雇」の3つがあります。

懲戒解雇とは、企業秩序違反行為に対する制裁罰である懲戒処分として行われる解雇をいいます。つまり労働者が横領等の犯罪をしたり、業務上必要な資格や学歴を詐称していたり、理由なく長期間無断欠勤をしたりしたときに行われる処分としての解雇です。

既にご説明したように、懲戒解雇は普通解雇とは異なり、自己都合退職と同じように扱われます。

失業保険の待期期間は3か月間であり、受給期間も会社都合の解雇より短くなります。

退職勧奨は自己都合?会社都合?

退職勧奨とは、会社から労働者に対して、自主退職を促す行為のことです。
会社からの働きかけによる退職ですが、一方的に通告が行われる解雇と違い、きちんと労働者の了解を得た上で、退職してもらうという方法になります。

退職勧奨を受けて退職した場合には原則として会社都合退職となります。
退職勧奨されたら?

しかし会社によっては、退職勧奨で退職した場合に自己都合退職として処理を行ってしまうところもあります
退職勧奨を受けて退職する場合には、自己都合退職として処理されるのか会社都合退職として処理されるのかよく確認した方がいいでしょう。

派遣切りは自己都合?会社都合?

派遣切りとは、派遣先の会社が派遣元の会社との契約を終わらせることを言います。
労働者はその後、派遣元の会社から再度別の会社を紹介されるのを待たされることになります。

派遣切りというのはあくまで派遣先の会社と派遣元の会社の契約の話となります。
退職とはまた別の話になってしまうのです。

なお派遣切りにあったあと、結果的に派遣元の会社を退職するという流れになることもしばしばあります。

派遣社員側が更新を希望していたのに派遣先の紹介などがなく更新されなかったような場合は会社都合退職となります。
一方、更新を提案されていたものの派遣社員側が更新を断ったような場合には自己都合退職となります。

離職理由の確認方法

離職理由は、離職票に記載されています。離職票とは退職後に会社から交付され、失業保険の申請に必要な書類です。

離職票には「離職票-1」「離職票-2」の2種類がありますが、「離職票-2」に離職理由欄があり事業主からの離職理由をチェックすることができます

引用:ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」

また、離職票の発行に必要な離職証明書でも同様に確認することが可能です。

なお、「離職票-2」の離職理由欄には退職事由が詳細に記載されていますが、自己都合退職と会社都合退職の事由が順番に書かれているわけではありません。

会社都合退職なのに自己都合にされたら?

従業員が会社都合退職をした場合、国からの各種助成金が一定期間申請できないことがあるなどの不都合があります。

そのため、従業員の退職を本来は会社都合で処理すべき場合でも、自己都合で処理しようとする会社が多いのです。

自己都合退職から会社都合退職に退職理由を変更したいときには、まずは会社に離職理由を訂正してもらうよう要請してください。会社が応じなかった場合には、ハローワークに相談することで変更が叶う場合があります

ハローワークに提出する離職票には、会社側と労働者側の双方がそれぞれ理由を記入できるようになっています

会社の退職事由に納得できないときは、「離職票-2」の右下にある欄に会社の退職事由に対して異議のあることを記載しなければなりません。

「会社から退職してくれと言われたのに、自己都合にされていた」ということがないよう離職票の記載についてはきっちり確認してからサインするようにしましょう。

引用:ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」

退職理由に争いがあるときは、雇用保険被保険者離職票の提出前にハローワークの職員に相談するべきです。

離職票の異議欄に記入をした上で、自己都合ではなく会社都合であったという事実の裏付けが取れたときには、ハローワークが離職理由の変更をしてくれます。

まとめ

労働者にとって、自己都合退職と会社都合退職では、会社都合退職の方が失業手当等の面でメリットとなります。
また退職勧奨に従う形での退職は原則として会社都合退職あつかいとなり、健康問題や通勤の困難化など正当な理由のある自己都合退職についても、通常の自己都合退職と比べ手厚い保護が受けられます。

場合によっては、本来会社都合になるべきところ、使用者の判断で自己都合退職あつかいとされてしまうケースがあります。
またパワハラにあたるような退職強要が行われたり、解雇の事前告知のルールを守らずに解雇日を通知されることもあります。
そのような場合には早急に弁護士や公的な機関に相談するべきと言えます。

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岡野武志

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士

岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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