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残業代請求の勝率はどのくらい?勝つために揃えておきたい証拠を解説

更新日:

岡野武志

監修者

アトム法律事務所 代表弁護士法律監修

岡野武志

残業代請求の勝率はどのくらい?

残業代請求の勝率はどの程度なのでしょうか。

残業代請求は弁護士への依頼や裁判などで費用や手間がかかるもの。
負けて費用倒れになるのではないかと不安に思う気持ちはよく分かります。

あらかじめ残業代請求の勝率を把握したい方に向け、この記事では、

  • 残業代請求における勝率の考え方
  • 勝率を高めるためにすべきこと

について解説していきます。

残業代請求の勝率を考えるポイント

残業代請求の勝率といっても、それをどのように計算するかが明確に決まっているわけではありません。

そのため、勝率を考えるためにはいくつかのポイントを押さえなければなりません。

まずはその点を解説します。

そもそも残業代請求の勝率とは何か?裁判で請求する場合

勝率とは勝った割合のことですから、残業代請求でいえば、残業代請求が認められた割合ということになるでしょう。

代表的なところでいえば「裁判で認められた割合」になると思います。

ただ、どのような内容の結果(判決)となるかは、その事件の具体的内容や、証拠の揃い具合等によって決まっていきます。

そのような個別の事情を考慮せずに結果だけをみても、適切な予測とはなりません。

また、請求した金額全てが認められれば当然「勝った」と捉えることになりますが、裁判では請求額の一部だけが認められることもあります一部認容と言います)。

しかも、全額に近い額からゼロに近いところまで、事案によって様々あり得ます。

どの程度認められれば「勝った」と言えるかは、事件の内容や請求した当事者の考え方に左右されるでしょう。

そのため、残業代請求があった事件の結果をまとめても、勝率が正確にわかるわけではないということです。

このように、残業代請求の勝率というものは、裁判に限ってみても的確な把握は困難と言えるでしょう。

裁判における結果の大まかな統計は公表されており、後でご案内しますが、上記の点に注意する必要があります。

勝率の把握には裁判以外で残業代請求をする場合も考慮する必要がある

さらに、残業代請求における勝率を考える場合、裁判以外の方法による請求も考慮しなければなりません。

会社に直接請求しただけで支払われることもありますし、労働審判という裁判以外の手段もあります。

これらは基本的に会社との話し合い(和解)を軸とした残業代請求の手段であり、未払い分のいくらかが支払われたとして、それを「勝った」と表現することはあまり適切ではないと思われます。

また、労働基準監督署に残業代の未払いを申告し、結果としていくらか支払われることもありますが、これにも同様のことが言えます。

裁判以外の方法で残業代を請求して支払われた場合のことも考慮に入れ、勝率を検討する必要があります。

残業代請求の勝率をどう確認する?|民事事件の認容率

上記のポイントがあることに加え、残業代請求の勝率を調査した統計資料も公表されていません

そのため、残業代請求の勝率を正確に知ることは難しいと言えます。

そこで、一般的な民事事件(裁判)の認容率と労働裁判や労働審判の特徴をご案内し、参考にしていただこうと思います。

民事事件の勝率は86%|ただし残業代請求以外も含めた統計

最高裁判所の中にある医事関係訴訟委員会が発表している、「地裁民事第一審通常訴訟事件・医事関係訴訟事件の認容率」という資料があります。

多くの事件は地方裁判所で第一審を行いますので、オーソドックスな場面の統計と言えるでしょう。もちろん、残業代請求事件も含まれています。

そして、認容率というのは、訴えた側(原告)の請求が少しでも認められた割合を指します。つまり、一部認容も含まれているということです。

この資料によると、地方裁判所で第一審が争われた民事裁判における認容率は、86.7%(令和2年)となっています。言い換えれば、民事裁判を起こした場合に自分の請求が全く認められない割合は、約13%ほどしかないということです。

この資料からは、「裁判を起こせばほとんどの場合いくらかは支払ってもらえる」という見立てができます。

もっとも、この結果には注意点が2つあります。

1つは、先ほど述べたように一部認容が含まれているということです。ほとんど認められなかった敗けに近いような内容でも認容となるため、評価が難しいところです。

2点目は、「勝ち目がなければそもそも裁判を起こさない」ということです。特に、弁護士がついている場合には事件の流れを見極めたうえで、裁判に訴えるかどうかを判断します。
したがって、訴えられた事件は「もともと勝ち目のあるものが多い」ことを考慮しなければなりません。

残業代請求含め労働裁判は和解も多い|勝率への影響は?

以上が民事裁判一般の傾向ですが、労働裁判には「裁判中に和解が成立することが多い」という特徴があります。

最高裁が発表している最新の「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」によると、民事事件の第一審において、その裁判中に和解が成立した割合は次のようになっています。

労働裁判全体
全体の件数2973件12万2749件
和解の件数1804件4万3364件
和解の割合60.7%35.3%
裁判の既決件数およびその割合

労働者が訴えを起こして和解が行われる場合、会社からいくらか金銭が支払われることが通常です。つまり、和解で解決した事件は、労働者側がいくらか受け取っていることが多いと言えるでしょう。

上記の表の通り、労働裁判は和解での解決の割合が非常に高いです。

労働裁判全体の6割が和解で解決していることを考えれば、残業代請求においても、会社がいくらか支払う形で和解しているケースが相当数あると思われます。

民事事件全体の認容率が86%を超えていることと合わせると、「一部でも支払ってもらえれば勝ち」と捉えるのであれば、残業代請求の裁判(和解も含む)での勝率はかなり高いと言えるでしょう。

裁判以外で残業代請求した場合の勝率|労働審判

残業代請求を行う方法として裁判と並んで多く利用されているのが、労働審判という制度です。

労働審判は、会社との労働トラブルを「労働審判委員会」という第三者を交えて解決する制度です。
労働審判委員会は、労働審判官(裁判官)1名と労働審判員2名から構成されます。

労働審判に関しても「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」に詳細な統計が載せられています。

全体の件数3755件
調停成立件数2559件
調停成立の割合68.1%
労働審判の既決件数およびその割合

労働審判では、労働審判委員会が当事者(会社と労働者)間の労働トラブルについて、話し合い(和解)による解決を促します。この手法を「調停」と呼びます。

労働審判における調停も裁判中の和解と同様、会社が労働者にいくらか支払って和解するということが多くあります。

残業代請求はその典型とも言える事案ですので、労働審判でも残業代請求の勝率は高いと言えるでしょう。

残業代請求の勝率を高めるためにすべきこと|負ける可能性を減らす

このように、労働裁判・労働審判ともに、残業代請求が一部でも認められる可能性は高いと言えます。

しかし、それは勝率を高めるための事前準備をしっかり行っているためです。

最後にその点を解説します。

裁判や労働審判で残業代請求するなら弁護士に依頼すべき

まず、労働裁判や労働審判においては、弁護士がついている事件がほとんどであるということに注意しなければなりません。

裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」によると、請求する側に代理人(弁護士)がついている割合は相当高いです。

裁判・労働審判で請求する側に代理人がついている割合

  • 労働裁判:92.9%
  • 労働審判:87.6%

つまり、弁護士が事件を精査したうえで裁判や労働審判を起こしており、かつ、その後も適切に主張や証拠の提示(立証)を行うことが当たり前になっているということです。

そのため、弁護士に依頼せずに労働裁判や労働審判を利用することは、残業代請求の勝率を大きく下げることになるでしょう。

残業代請求の勝率が高くても証拠がなければ負ける

労働裁判や労働審判のほとんどを弁護士が行っているということは、高い勝率は証拠を適切に集めて活用した結果と言えます。

証拠が不十分であれば、いくら事件全体の勝率が高いからといって、請求を認めてもらうことは難しいでしょう。

集めておきたい証拠としては、下記のものが挙げられます。

残業代請求で重要となり得る証拠

  • タイムカード等の勤怠記録
  • 就業規則
  • シフト表
  • 業務用PCの使用時間の記録・ログイン時間の記録
  • ビジネスチャットやメールの送信履歴
  • 顧客を管理している社内システムへの書き込み記録やアクセス記録
  • 会議の議事録(開始時刻や終了時刻が記載されているもの)
  • 日報
  • 顧客とのアポイント記録やスケジュール帳
  • 自分の仕事メモ(時間の記載があるもの) など

弁護士であれば、これらの資料が手元になくても開示請求など会社への働きかけによって入手することが可能となる場合もあります

また、弁護士は、証拠が揃わないと判断した場合などには、労働裁判や労働審判ではなく直接会社と残業代について交渉するなど、別の手段を取ることもあります。事件をスクリーニングするができるわけです。

残業代請求をお考えの方はまずは弁護士に相談を

労働裁判や労働審判での高い勝率には、弁護士のこれらの活動が影響しているため、残業代請求はまず弁護士に相談することをおすすめします

また実務的な面から言っても、裁判や労働審判は手続きに専門的な知識や経験が要求される場面も多く、お一人での対応は非常に負担が大きいものとなります。

まずは弁護士の無料相談を利用して、「残業代請求をした場合、勝てる可能性はどれくらいあるのか」「弁護士に依頼すべきなのかどうか」といった疑問を解決すべきと言えるでしょう。

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岡野武志

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士

岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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