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交通事故の慰謝料計算方法|3つの基準・主婦や学生の慰謝料計算方法などを解説

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慰謝料計算

2020年4月1日改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故の慰謝料計算する方法とは?

交通事故の被害にあった場合、ケガの痛みや入通院の手間といった精神的な苦痛を負うことになります。

そういった精神的な苦痛を金銭的価値に置き換えたものを慰謝料といいます。

交通事故案件の経験豊富な弁護士に示談交渉を依頼すれば、慰謝料増額の可能性を高めることができます。

なお、似たような言葉に示談金がありますが、示談交渉の場で話し合いによって決められた損害賠償金のことを示談金といいます。

「慰謝料」は数多く存在する損害賠償項目の一部に過ぎないため、示談金の中には慰謝料も含まれることになります。

交通事故の慰謝料計算方法を解説|慰謝料計算機で金額シミュレーション

また、交通事故の慰謝料には過去の判例に基づいて決められた計算方法があります。
個別事情によっては例外的な計算方法になることもありますが、慰謝料金額を自動で計算したい方は以下の慰謝料計算機をご活用ください。

慰謝料計算の3つの基準とは

交通事故の慰謝料には以下に挙げる3つの計算基準があります。

①自賠責基準
②任意保険基準
③弁護士基準

金額の多寡の順番は③弁護士基準>②任意保険基準>①自賠責基準です。

(1)自賠責基準

自賠責基準は自賠責保険で定められている算定基準です。
被害者に対して最低限の補償を行うことを目的としているため、3つの基準の中で最も低額な慰謝料が算出されます。

自賠責保険の慰謝料はいくら?早くもらう方法と支払い限度額の注意

(2)任意保険基準

任意保険基準は各任意保険会社の中で独自に定められている算定基準で、一般には公開されていません。
自賠責基準と同等か、若干上回る程度の金額が算定されることが多く、あまり高額になることはありません。

交通事故慰謝料の「任意保険基準」とは?慰謝料3つの基準と計算方法を解説

(3)弁護士基準

弁護士基準は過去の判例に基づいて定められた算定基準です。
3つの基準の中で最も高額な金額が算定されますが、弁護士資格を所持していない方が弁護士基準の支払いを求めても素直に応じてくれることはまずありません。

交通事故の慰謝料は弁護士基準が正解|1,000万円以上増える被害者も

高額な弁護士基準の慰謝料を支払ってもらう方法

弁護士基準の慰謝料を求める場合は、通常は弁護士に交渉を依頼することになります。

相手方の任意保険会社は交渉相手が弁護士資格を所持しているかどうかによって態度を変えてきます。
そのため、弁護士資格を所持していない被害者の方が交渉をしても弁護士基準での支払いを認めさせることは困難です。

なお、被害者側の任意保険に弁護士費用特約が付いている場合、任意保険から300万円を上限に弁護士費用が支給されます。

被害者自身に弁護士費用特約が付いていなくても、被害者のご家族が加入している保険に弁護士費用特約が付いていれば特約を利用できる可能性があるため、事故後は弁護士費用特約の有無をしっかり確認することを忘れないようにしましょう。

交通事故の弁護士費用特約|加入なしでも大丈夫!利用方法とメリットデメリットを解説

後遺障害慰謝料の計算方法

1級~14級の後遺障害等級に応じて金額が決まる

交通事故で負ったケガの治療が終わった後、痛みやしびれ、部位の欠損といった後遺症が残ってしまうことがあります。

そのような後遺症が残った場合、「損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所」に後遺障害等級認定の審査を行ってもらうことになります。

審査後、1級から14級のうちいずれかの等級が認定されれば、相手方に対して後遺障害慰謝料を請求することができます。

等級が非該当だった・納得のいく等級が認定されなかったという場合は、異議申立てを行って再び審査をしてもらうか、「自賠責保険・共済紛争処理機構」の紛争処理制度を利用して等級変更を要請することができます。

なお、後遺障害等級が1級に近づくほど、相手方に請求できる後遺障害慰謝料も高額になります。

後遺障害慰謝料の金額相場は?逸失利益の計算方法や請求の流れも解説

後遺障害逸失利益の計算方法とは

後遺障害等級が認定された場合は、逸失利益も請求することができます。

逸失利益とは、「もしも後遺障害が残っていなければ将来得られたはずの利益」のことです。

逸失利益は以下の計算式で算出することができます。

逸失利益の計算方法

▼有職者または就労可能者
・基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

▼症状固定時に18歳未満の未就労者
・基礎収入 × 労働能力喪失率 × 67歳までのライプニッツ係数 – 18歳に達するまでのライプニッツ係数

通常、後遺障害等級が高ければ高いほど逸失利益も高額になります。

また、必ずしも上記の計算式で逸失利益が計算されるわけではなく、残存した後遺障害が被害者の仕事に大きな支障をきたしていると判断され、通常よりも高額な逸失利益の支払いが認められたケースもあります。

なお、学生や無職の方であっても、「事故日時点で内定をもらっていた」「就労の蓋然性があった」という場合は、就業予定先の収入に基づいて逸失利益を請求できる可能性があります。

逸失利益の計算|後遺障害14級や12級の逸失利益はいくら?

主婦・学生の慰謝料計算方法

主婦の慰謝料計算方法

家事従事者である主婦の方が交通事故に遭った場合、入通院慰謝料だけではなく、休業損害逸失利益も請求することが可能です。

専業主婦の場合、弁護士基準では女性労働者の全年齢平均賃金(賃金センサス)に基づいて休業損害と逸失利益が算出されます。

令和元年における女性労働者の賃金センサスは日額約10,630円です。

令和2年以降に発生した事故で家事をすることができなくなった場合、専業主婦の方は以下の計算式で弁護士気基準の休業損害を算出できます。

専業主婦の休業損害

約10,630円 × 休業日数

また、令和2年以降に発生した事故で後遺障害が残った場合であれば、専業主婦の方は以下の計算式で弁護士基準の逸失利益を算出できます。

専業主婦の逸失利益

3,880,000円 × 労働能力喪失率 × 就労可能年数に対するライプニッツ係数

なお、兼業主婦の場合は、収入が賃金センサスを上回っているならば給与所得者(サラリーマン)と同様の計算式で休業損害・逸失利益が算出されます。

収入が賃金センサスを下回っている兼業主婦の場合は、専業主婦と同様、賃金センサスに基づいて休業損害・逸失利益が算出されます。

主婦(主夫)が正当な慰謝料相場を受け取る方法|交通事故の慰謝料計算

学生の慰謝料計算方法

学生の場合も逸失利益を請求することが可能です。

まだ就業していないため、通常は男女別全年齢平均の賃金額に基づいて逸失利益を算出することになります。

ただし、大学在学中の場合や大学卒業の可能性が高いと認められるような場合には、大卒者の平均賃金を基準にするケースも多いです。

また、事故日時点で内定をもらっていた場合は就業予定先の収入に基づいて逸失利益を算出する場合もあります。

なお、学生の場合は休業損害を請求することは通常できません。

ただし、アルバイトをしている場合であれば、これまでのアルバイトのスケジュールや賃金などから損害額を算出し、休業損害を支払ってもらうことが可能です。

加えて、事故前に就職先が決まっていたものの事故が原因で就労開始時期が遅れてしまった場合でも、就職先の賃金に基づいて休業損害を算出することができます。

学生の交通事故慰謝料を計算|死亡、骨折、軽傷のときの金額とは?

死亡慰謝料の計算方法

交通事故被害者の方が死亡した場合、遺族は相手方に対して死亡慰謝料を請求することができます。

死亡慰謝料は事故被害者の立場に応じて金額が変動します。
弁護士基準であれば、以下の金額を目安に死亡慰謝料を請求することができます。

被害者の立場金額
一家の支柱2800万円
母親・配偶者2500万円
その他の場合2000万円~2500万円

また、事故後に入通院をした後、死亡した場合では、死亡慰謝料に加えて治療関係費・入通院慰謝料も請求することが可能です。

葬儀にかかった費用も賠償の対象となるため、葬儀代も請求できます(ただし、弁護士基準で上限150万円ほど)。

死亡事故の場合は逸失利益(もしも死亡していなければ将来得られたはずの利益)も請求することができます。

給与所得者(サラリーマン)の方であれば、弁護士基準の場合は以下の計算式で死亡時の逸失利益を算出します。

死亡時の逸失利益

年収×(1-生活費控除率)×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

専業主婦や学生の場合であれば、年収ではなく、賃金センサスに基づいて逸失利益を計算することになります。

交通死亡事故の慰謝料とは?算定基準、請求の流れなど5つのポイントを紹介

慰謝料計算の具体例

むちうち・軽傷でも慰謝料は請求できる

通院1ヶ月程度のむちうち・軽傷でも、慰謝料を支払ってもらうことは可能です。

弁護士基準であれば、交通事故で通院1ヶ月の軽傷を負った場合、19万円を目安に入通院慰謝料を請求することができます。

自賠責基準であれば、「総治療期間(入通院した期間)」「実際に入通院した日数×2」の少ないほうに日額4,300円*を乗じた金額を入通院慰謝料として請求することができます。

* 事故発生日が2020年3月31日以前の場合は日額4,200円で計算する

交通事故の慰謝料相場|むちうちの金額が倍増する計算方法をご紹介

通院3ヶ月・6ヶ月の場合はいくら請求できる?

通院3ヶ月・6ヶ月と治療期間が中長期にわたるような重傷を負った場合、軽傷の場合よりも入通院慰謝料は高額になります。

また、通院だけではなく入院もした場合、入院期間に応じて慰謝料も増額されます。

簡素ではありますが、以下の表が入通院月数に応じた入通院慰謝料相場です。

入通院月数と慰謝料(弁護士基準)

013
0053万円145万円
373万円115万円188万円
6116万円149万円211万円

※縦は通院月数、横は入院月数

なお、入通院慰謝料に関しては性別・年齢・職業だけを理由にして慰謝料額が変動することはありません。

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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