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交通事故で後遺障害等級認定される症状と補償!むちうちの認定ポイントも解説

更新日:

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

自動車事故などの交通事故にあうと、治療を十分に行っても治らないような後遺症が残ることがあります。
保険金支払いの観点では、後遺症は後遺障害と呼ばれるものです。

後遺障害(後遺症)は、症状の程度や部位に応じて14段階の「後遺障害等級」に区分され、等級により補償金額が決定されます。

  • どんな症状が後遺障害等級認定されるのか
  • 後遺障害等級ごとに受けられる補償が知りたい

ご自身の後遺障害等級を知りたい方受け取れる慰謝料の金額を知りたい方に向けて、わかりやすい一覧表を掲載しました。

交通事故の後遺障害とは何か、後遺障害認定の全体像を知りたい方は、関連記事『交通事故の後遺障害等級認定|申請方法と認定される症状』をお読みください。

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交通事故の後遺障害等級

後遺障害等級表|認定基準を完全網羅

後遺障害は自動車同士の事故に限らず、バイク事故、歩行中に自動車にぶつかった事故などでも認定されます。

後遺障害等級の一覧は以下の通りです。

後遺障害等級表(要介護)

等級症状の内容
第1級
  1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
第2級
  1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
出典:自動車損害賠償保障法施行令 別表第1

後遺障害等級表(要介護でない)

等級症状の内容
第1級
  1. 両眼が失明したもの
  2. 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
  3. 両上肢をひじ関節以上で失つたもの
  4. 両上肢の用を全廃したもの
  5. 両下肢をひざ関節以上で失つたもの
  6. 両下肢の用を全廃したもの
第2級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  2. 両眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  3. 両上肢を手関節以上で失つたもの
  4. 両下肢を足関節以上で失つたもの
第3級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  2. 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
  3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  5. 両手の手指の全部を失つたもの
第4級
  1. 両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  2. 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力を全く失つたもの
  4. 一上肢をひじ関節以上で失つたもの
  5. 一下肢をひざ関節以上で失つたもの
  6. 両手の手指の全部の用を廃したもの
  7. 両足をリスフラン関節以上で失つたもの
第5級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  4. 一上肢を手関節以上で失つたもの
  5. 一下肢を足関節以上で失つたもの
  6. 一上肢の用を全廃したもの
  7. 一下肢の用を全廃したもの
  8. 両足の足指の全部を失つたもの
第6級
  1. 両眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  4. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  5. 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
  6. 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  7. 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  8. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの
第7級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  3. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  4. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  6. 一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの
  7. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
  8. 一足をリスフラン関節以上で失つたもの
  9. 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  10. 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  11. 両足の足指の全部の用を廃したもの
  12. 外貌に著しい醜状を残すもの
  13. 両側の睾丸を失つたもの
第8級
  1. 一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  2. 脊柱に運動障害を残すもの
  3. 一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの
  4. 一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
  5. 一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
  6. 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  7. 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  8. 一上肢に偽関節を残すもの
  9. 一下肢に偽関節を残すもの
  10. 一足の足指の全部を失つたもの
第9級
  1. 両眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 一眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  3. 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  5. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
  6. 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
  7. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  8. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  9. 一耳の聴力を全く失つたもの
  10. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  12. 一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの
  13. 一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
  14. 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの
  15. 一足の足指の全部の用を廃したもの
  16. 外貌に相当程度の醜状を残すもの
  17. 生殖器に著しい障害を残すもの
第10級
  1. 一眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
  3. 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
  4. 十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  6. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  7. 一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
  8. 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
  9. 一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの
  10. 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
  11. 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
第11級
  1. 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  4. 十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  6. 一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  7. 脊柱に変形を残すもの
  8. 一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの
  9. 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
  10. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
第12級
  1. 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  4. 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
  5. 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
  6. 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  7. 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  8. 長管骨に変形を残すもの
  9. 一手のこ指を失つたもの
  10. 一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
  11. 一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
  12. 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
  13. 局部に頑固な神経症状を残すもの
  14. 外貌に醜状を残すもの
第13級
  1. 一眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
  3. 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  5. 五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  6. 一手のこ指の用を廃したもの
  7. 一手のおや指の指骨の一部を失つたもの
  8. 一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
  9. 一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの
  10. 一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用11.を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
第14級
  1. 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  2. 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  3. 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  4. 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  5. 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  6. 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
  7. 一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
  8. 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
  9. 局部に神経症状を残すもの
出典:自動車損害賠償保障法施行令 別表第2

バイク事故で生じる可能性が高い後遺障害について詳しく知りたい方は『バイク事故の後遺症|後遺障害全14等級の認定基準や実例を紹介』の記事をご覧ください。

後遺障害等級別の労働能力喪失率

後遺障害等級認定を受けるということは、一定程度の労働能力低下が認められたことになります。

労働能力喪失率とは、被害者に生じた労働能力低下の度合いを示したもので、後遺障害等級ごとに目安が定められているものです。

労働能力喪失率

等級労働能力喪失率
1100%
2100%
3100%
492%
579%
667%
756%
845%
935%
1027%
1120%
1214%
139%
145%

交通事故による後遺障害の影響で、これまでと同じような働き方ができず、給与が下がったり、昇給が困難になる場合があります。

後遺障害慰謝料だけでなく、この先に生じる減収については逸失利益として損害賠償請求していきましょう。逸失利益の計算には、被害者の事故前年収のほか、症状固定時の年齢、労働能力喪失率を用います。

後遺障害等級別の認定件数

後遺障害等級認定の申請をして、実際に何級に認定されている人が多いのかをまとめたデータがあります。自賠責保険の発表したデータによると、後遺障害等級認定件数の分布は、全体の57%が後遺障害14級認定です。

交通事故で多い首や腰の部分の怪我が、12級または14級の後遺障害に繋がりやすいことが理由にあげられます。

後遺障害等級別認定件数(2018年度)
要介護1級要介護2級1級   2級   3級   4級   
1.47%0.80%0.06%0.17%0.54%0.31%
5級6級7級8級9級10級
0.78%0.97%1.80%3.51%3.56%3.33%
11級12級13級14級
7.79%16.97%0.95%57.02%
※データは2018年度のもの

複数の後遺障害がある場合は後遺障害等級を併合

後遺障害等級の併合のルール

異なる後遺障害が複数残った場合、ひとつずつの後遺障害等級が併合され、併合〇級のように表します。

後遺障害の併合(いずれかから選択)

  • 原則として、重い方の後遺障害等級を等級とする
  • ただし13級以上の後遺障害が複数ある場合、重い方の等級を1つ繰り上げる
  • ただし8級以上の後遺障害が複数ある場合、重い方の等級を2つ繰り上げる
  • ただし5級以上の後遺障害が複数ある場合、重い方の等級を3つ繰り上げる

実際に併合ルールにそって考えてみましょう。
交通事故で首から肩を強く打ちつけてしまい、2つの後遺障害認定を受けたとします。

  1. 首の痛みで12級13号認定
  2. 鎖骨の変形で12級5号認定

この場合、13級以上の後遺障害が2つあることになるため、重い方の等級を1つ繰り上げ、後遺障害等級は「併合11級」と考えてください。

後遺障害慰謝料の金額面でいうと、後遺障害12級ならば290万円が相場ですが、併合11級のため相場は420万円になります。

後遺障害等級表にない相当等級

後遺障害等級表に記載されていない症状であっても、後遺障害等級に相当するほどの症状であれば、「相当等級」として後遺障害慰謝料・後遺障害逸失利益が認められます。

具体的には次のような場合、相当等級とされる可能性があるので注意しましょう。

  • 嗅覚障害
  • 味覚障害
  • 等級表に無い組み合わせの指の用廃
  • 上肢の複合的な損傷

手指の損傷や上肢の複合的な損傷は、型通りに併合の原則を適用させてしまうと認定が他の症状と比較して不合理になる場合があります。そのため、後遺障害等級表との整合がとれるように「〇級相当」として定められる可能性があるのです。

後遺障害の相当等級の一例

相当等級症状
3級相当嚥下機能を廃した
6級相当嚥下機能に著しい障害
10級相当嚥下機能に障害
12級相当鼻呼吸困難
嗅覚の脱失
耳鳴り(検査による証明が可能)
耳漏(常時あるもの)
咀嚼時間の延びやかすれ声
味覚の脱失
14級相当嗅覚の減退
耳鳴り(合理的に説明可能)
耳漏(その他)
高度の外耳道狭窄
味覚の減退

実際、大きな交通事故では複数の受傷をしている人が多く、実に38.4%もの人々が後遺障害の併合、または相当に該当するとされています。

ただし、相当等級として認定されるためには適切に検査を受けなくてはなりません。
症状に心当たりのある方は、弁護士に相談の上、必要な検査を受けましょう。

後遺障害慰謝料の一覧

後遺障害慰謝料|適正相場がひとめでわかる

後遺障害慰謝料は、後遺障害等級に応じておおよその相場が設定されています。後遺障害等級が重いほど精神的苦痛は大きく、後遺障害慰謝料の相場も高額です。

だからこそ、適正な後遺障害等級認定を受けることが重要視されます。後遺障害慰謝料の相場を確認してみましょう。

表の見方

  • 自賠責:相手方の自賠責保険会社が提案する慰謝料の相場
  • 弁護士:弁護士が相手方の保険会社に交渉して目指す金額
  • 慰謝料の単位:万円
  • 交通事故が2020年3月31日以前に起こった場合はかっこ内の金額を適用

後遺障害慰謝料の相場

等級 自賠責*弁護士
1級・要介護1,650万円
(1,600万円)
2,800万円
2級・要介護1,203万円
(1,163万円)
2,370万円
1級1,150万円
(1,100万円)
2,800万円
2級998万円
(958万円)
2,370万円
3級861万円
(829万円)
1,990万円
4級737万円
(712万円)
1,670万円
5級618万円
(599万円)
1,400万円
6級512万円
(498万円)
1,180万円
7級419万円
(409万円)
1,000万円
8級331万円
(324万円)
830万円
9級249万円
(245万円)
690万円
10級190万円
(187万円)
550万円
11級136万円
(135万円)
420万円
12級94万円
(93万円)
290万円
13級57万円
(57万円)
180万円
14級32万円
(32万円)
110万円

相手方の任意保険会社は、任意保険基準(自社の基準)に従って慰謝料を提示してきます。提示金額は自賠責基準とほとんど同じか、少し上回る程度になるでしょう。ポイントは、自賠責基準・任意保険基準といった保険会社の基準をうのみにせず、弁護士基準への増額を交渉することです。

おおよそ後遺障害慰謝料の最高額となる弁護士基準の慰謝料は、任意保険会社との示談交渉を弁護士に依頼することで、満額に近い額を請求可能になります。

後遺障害慰謝料の増額・請求については、関連記事にて詳しく解説中です。

後遺障害等級認定から結果通知までの流れ

後遺障害等級認定を受けるということは、交通事故後に治療を続けたけれど、なんらかの後遺症が残っている状態です。

後遺障害等級認定を受けるまでの流れは、大まかに次のようになります。

  1. 医師から症状固定の診断を受ける
  2. 後遺障害等級認定の申請を行う
  3. 損害保険料率算出機構にて審査が行われる
  4. 後遺障害等級認定の結果が通知される
  5. 認定結果を元に損害を算定して示談交渉を始める

症状固定は誰が決めるのか

医師によって「一般的な治療方法をもってしても、これ以上は状態が良くならない状態」と判断されることを症状固定といいます。

痛みやしびれなどは外見からはわからず、被害者にしか感じることができません。つまり、症状固定かどうかは、被害者の主訴を踏まえて医師が判断するものです。

保険会社に後遺障害等級認定を申請する

交通事故の後遺障害について後遺障害等級認定をするのは、損害保険料率算出機構とよばれる機関です。
とはいえ、被害者が直接審査機関に提出するのではなく、相手方の保険会社を経由して申請を行います。

後遺障害等級認定の申請方法は2種類あります。

  1. 事前認定:相手の任意保険会社を介する申請方法
  2. 被害者請求:相手の自賠責保険会社を介する申請方法

ここからは、被害者請求にフォーカスして流れをみていきましょう。

被害者請求のメリットを最大化する

後遺障害等級認定の結果にこだわるなら、被害者請求がおすすめです。なぜなら、被害者請求には以下のようなメリットがあります。

被害者請求のメリット

  • 相手方の任意保険会社内で手続きが遅れることがない
  • 自分で納得のいく資料を集めることが出来る
  • 認定結果と同時に自賠責の保険金が振り込まれる

被害者請求を用いることで、より高い後遺障害等級に認定されることが期待でき、迅速な等級認定や慰謝料の振込が可能となるのです。

被害者請求は自身で資料を集めなければいけないという手続き上のデメリットがありますが、弁護士に一任することで、被害者の負担は相当軽減されます。

後遺障害等級認定の通知を受ける

後遺障害等級認定の審査は、およそ2ヶ月程度といわれています。
しかし、重篤な後遺障害や、判断の難しい症状(例:高次脳機能障害)においては、審査が長期化する可能性もあるでしょう。

後遺障害等級認定の結果に納得がいく場合は、相手方の任意保険会社との示談交渉を開始しましょう。

交通事故の示談交渉のカギは弁護士にあります。増額交渉についても、被害者本人ではなく、弁護士という法律の専門家に代理してもらうほうがスムーズに進む可能性が高いです。交通事故の示談とは何か、仕組みや注意点を理解したうえで、弁護士に依頼するメリットをご検討ください。

後遺障害の等級に納得がいかない場合

後遺障害等級認定を受けるために手を尽くしたにもかかわらず、後遺障害等級非該当と判断されたり、想定よりも後遺障害等級の認定が低いなど、被害者として納得のいかない結果となる場合があります。

後遺障害等級認定の結果に納得がいかない場合は、異議申立てという手段で再度申請できます。

最初は事前認定で後遺障害等級認定の申請をしたものの、被害者請求で異議申立てをする、ということも可能です。

異議申立て時には、異議申立書と新たな所見・書類をそろえて、再度後遺障害等級認定を申請しましょう。

交通事故の後遺障害等級を適正にするためのポイント

むちうちで12級13号・14級9号認定を目指す

後遺障害等級認定を受けることは、簡単なことではありません。
特に、むちうちは後遺障害等級認定を受けることが難しいとされています。

むちうちの症状により該当しうる後遺障害等級は以下のとおりです。

むちうちの後遺障害等級

  • 12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
  • 14級9号:局部に神経症状を残すもの
  • 非該当

「局部」とは体の一部を指し、「神経症状」とは、神経由来の痛みや痺れ、吐き気などの不調を指します。

首の神経が圧迫されたことによる首の痛み・しびれなどの症状も、「局部の神経症状」に該当しうるということです。

後遺障害等級認定を受けられるか、さらには12級13号、14級9号のいずれに認定されるかは、症状の重さではなく、症状が医学的に説明できるかで決まります。

MRI検査などで神経根の圧迫が確認され、本人の自覚症状と一致しているときのように、症状が医学的に証明可能な場合は12級13号が認定されます。

または、症状が治療開始時から一貫していたり、検査結果としてその症状が医学的に推定可能であれば14級9号が認定されます。

そのどちらもなければ、非該当となります。

非該当となったら、後遺障害慰謝料や逸失利益は認められません。
適正な賠償を請求するためにも、後遺障害等級認定を受けることが極めて重要です。

軽微な交通事故では認められにくい

歩行者とバイク、バイクと自動車など乗物に差がある場合はそうとは限りませんが、自動車同士の場合は、ある程度強い衝撃があった事故であることを証明しなくてはなりません。

実際には、交通事故により生じた物損(自動車の修理費など、物としての損害)の額や、交通事故証明書から読み取れる事故状況などがその基準となります。

「軽微な事故」と思われることを防ぐためにも、警察への事故状況の申告などは実態に則した形で行いましょう。

相手方が希望してきたり、自分が大事にしたくないからといって「怪我はなかった」「ちょっと擦っただけで大した事故ではなかった」という風に申告すると、事故は軽微であったと判断されかねません。

6ヶ月以上の継続した通院が必要

むちうちで後遺障害等級認定を受けるには、一定期間以上治療を行っていることがポイントとなります。

何故なら、被害者が真面目に通院しなかったがために残ってしまったような症状までを、後遺障害として補償する必要は無いと考えられているためです。

一般に後遺障害として認められるのに必要な治療期間は、6ヶ月といわれています。
トータルの治療期間が6ヶ月であっても、通院日と通院日の間が1カ月以上空いているなど極端な空きがあれば、「継続した通院」とは認められない場合があります。

具体的には、1ヶ月に10回以上通院していることがおおよその認定の目安となります。

また、治療の経過として、事故直後から首や肩などの痛み、痺れ、だるさなど症状の一貫性もポイントです。

事故から数ヶ月経過後、急に首が痛いと言い出したような場合は後遺障害とは認められにくくなります。

何故なら事故から間が空いているために、事故ではない別の要因により首の痛みが出たのではないか、と思われてしまうためです。

さらに、症状の申告が二転三転していたり、途中で「痛くなくなった」などと言ってしまうと、一貫した症状が続いているとは認められなくなります。

重要なことは、交通事故後はすぐに病院(整形外科)を受診し、自分の症状を最初から正確に医師に伝え、その後も主張を続けていくことです。

むちうちは検査結果に表れにくい

むちうちは、画像診断上の異常所見が見いだせないことが多くあります。
例えば、レントゲン写真では、筋肉や靱帯の損傷が確認できません。

ポイントになるのは、神経学的な所見です。神経学的所見により症状が残っているということが証明できれば、後遺障害等級の認定に大きく近づきます。

もしもMRI検査で、首の骨が神経根を圧迫されていることなどが証明され、かつその圧迫位置が自己申告の症状と一致していれば大変有利です。

あるいは、MRI検査以外でも、腱反射検査、徒手筋力テスト、スパーリングテストなど、筋力や圧迫された場合に痛みが生じるかなどで神経学的な検査結果が得られることがあります。

重要なのは、交通事故からできるだけ早いうちにMRIの撮影や検査を行うことです。

もしもMRI検査を受けていない場合であっても、神経学的検査結果次第で後遺障害として認められる可能性があります。しかし、後遺障害等級が高くなることは稀であると考えておきましょう。

後遺障害診断書記載内容のチェック項目をおさえる

後遺障害等級の認定にあたっては、治療が終わった時点で医師に書いてもらう後遺障害診断書が重要な証拠となります。

後遺障害等級は原則として書面で審査されるので、認定されるかどうかは後遺障害の症状を詳しく書いた後遺障害診断書の記載内容に大きく左右されるためです。

実際に後遺障害診断書を書いてもらう際のチェック項目は以下の通りです。

  • 「症状固定日」が交通事故発生から6ヶ月程度経過しているか
  • 「当院入通院期間」に間違いがないか、継続的な通院が認められるか
  • 「自覚症状」が事故当時から一貫してあったと認められるか
  • 「各部位の後遺障害の内容」が自覚症状と一致しているか
  • 「検査結果」に妥当な神経学的所見が認められるか
  • 「症状内容の増悪、緩解の見通し」に、症状が今後も残ると書かれているか

特に「後遺障害の内容」「検査結果」の記載は、症状や目指す等級によって求められるものが異なります。

ご自身で後遺障害診断書を読み解くのも大事ですが、まずは診断書に記載すべき事項の知識を持っている弁護士への相談がおすすめです。後遺障害等級認定に必要な検査や書類についてのアドバイスを求めてみましょう。

適切に通院して治療を受ける

治療期間中は、医師の指示をよく守り治療を継続してください。
途中で通院を停止したり、勝手に通院先を増やすことはやめましょう。

とくに、むちうちの症状改善のために、整骨院・接骨院の利用を検討している人もいます。相手方の任意保険会社に事前に連絡を入れておき、整形外科の主治医にも相談してから、整骨院・接骨院への通院を始めてください。

交通事故の後遺障害等級認定が変わった事例

アトム法律事務所で受任し、後遺障害等級が上がって示談金増額につながったケースです。

むちうちで後遺障害無等級から14級9号に認定|250万円増額

事前提示額0円(提示前)
弁護士介入後の支払い額250万
増額の原因以前の怪我の影響はなくなってると主張
異議申立てをし、14級9号に認定

自動車を運転している際に別の自動車にぶつかられ、むちうちなどの症状を負ってしまった事例です。
首の痛みが残っており、検査結果も十分だったのにも関わらず後遺障害等級非該当となっていました。

何故かというと、この方は以前にも交通事故にあっており後遺障害等級14級に該当していたためです。
つまり首の痛みも、今回の事故による怪我によって残った痛みではないと考えられていたのです。

このような事故前の症状を既往症といい、後遺障害等級認定の際に考慮されます。

例えば、元から腰痛の症状がある方は交通事故により腰痛がひどくなった、と主張しても認められづらくなったり、軽い後遺障害として認定されることがあります。

弁護士は、以前の後遺障害は治療を続けたことで症状は消えていたこと、同じような症状に関しては裁判上も5年で症状が消えるとするのが一般的であることを主張立証しました。

結果として、改めて後遺障害等級14級に認定され、後遺障害慰謝料など約250万円の示談金を受け取ることができたのです。

大腿骨骨折で14級から12級になり580万円増額

事前の提示額330万円
弁護士介入後の支払い額920万円
増額の原因異議申立てにより、後遺障害等級が変更
14級から12級13号に上昇した

バイク事故により大腿骨を骨折され、足の骨に変形の残る重傷であったにも関わらず14級という一番低い等級に認定されていました。

電話で事情をお聞きした時点で14級という等級が不当であると感じ、弁護活動を行っても等級が変わらなかった場合は弁護士費用は発生しない、という形で契約を進めました。

最初に異議申立てを行ったところ、自賠責調査保険事務所の調査結果は14級で変わりませんでした。

しかし、相手方の任意保険会社と交渉を重ね、「12級13号が相当」という意見を引き出すことに成功して申請をしたところ、14級から12級13号に上昇しました。

後遺障害等級申請してみたら12級5号になり530万円増額

事前提示額55万
弁護士介入後の支払い額580万
増額の原因被害者請求を利用し後遺障害等級を申請
12級5号に認定された

バイク運転中に自動車に衝突されて肩を脱臼してしまい、その後肩の骨の先端部分が少し尖ってしまった、という変形の後遺障害を負ってしまった方です。

当初は、被害者本人も保険会社も後遺障害が認定されるとは思っておらず、提示された示談金も非常に低額でした。

弁護士が被害者請求を行ったところ、骨の変形が認められ530万円の大幅増額となりました。

症状の客観的な重大さは被害者本人にもわかりにくい部分です。弁護士など第三者の意見を聞くことで実は大幅な増額が見込める症状とわかる場合はあります。

交通事故の後遺障害等級に関する悩みは弁護士に相談

後遺障害等級は主に書面で決定されますが、後遺障害診断書をはじめとしたその書面や、交通事故に関する書類は一般にはわかりにくいものです。

そのため、提出する書類が適切であるかもわからないまま、自らに不利な記載のある書面を提出してしまい、後遺障害等級に非該当とされてしまうこともありえます。

適正な後遺障害等級に認定されるために、是非弁護士の力を借りることをご一考ください。

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アトム法律事務所では24時間365日、いつでも電話相談の予約受付をしています。

重傷の事故の治療中の場合、後遺障害等級が認定された場合、相手方から示談金の見積もりが届いた場合、これから後遺障害等級の申請を考えている場合など、どのようなご相談でも弁護士が親身に対応いたします。

電話のほか、LINEでの無料相談も承っていますので、まずはお気軽にご相談ください。

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点