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後遺障害慰謝料の適正相場は?逸失利益の計算、示談交渉の流れを解説

更新日:

後遺障害慰謝料 逸失利益の計算 示談交渉の流れ

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

後遺障害が残った場合に、いったいいくらもらえるのかは誰もが気になるところです。または、もう相手の保険会社から金額の提案をされていて、このまま示談していいのかを悩む被害者もいるでしょう。

後遺障害慰謝料には、次のような特徴があります。

  • 保険会社の提案額は不十分である可能性が高い
  • 後遺障害慰謝料とともに後遺障害逸失利益も請求できる
  • 後遺障害慰謝料は後遺障害等級しだいである程度相場が決まっている

この記事を読めば、後遺障害慰謝料の相場、後遺障害等級認定の申請方法からポイント、後遺障害逸失利益の計算まで総合的にわかります。

後遺障害慰謝料や逸失利益の金額をいち早く知りたい方に向けて、便利な慰謝料計算機も紹介していますので、活用してください。

目次

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後遺障害慰謝料の相場はいくら?

後遺障害とは何か

後遺障害とは、次の条件を満たす後遺症のことです。

後遺障害とは何か

  • 医師によってこれ以上は治らないと宣告されたもの
  • 交通事故が原因と医学的に説明が可能なもの
  • 労働能力の喪失を伴うもの
  • 自賠法施行令の等級に該当する程度に達しており要件を満たしたもの

後遺症は「後遺障害」に認定されないと、適正な補償を受けられません。

等級別・後遺障害慰謝料金額の一覧表

後遺障害慰謝料は、後遺障害が残った被害者が今後も受け続ける精神的苦痛に対する補償です。後遺障害慰謝料は、入院・通院した場合に認められる入通院慰謝料とは別で、追加請求できると覚えておきましょう。

後遺障害が重いほど精神的苦痛も甚大であるため、後遺障害慰謝料の相場は後遺障害等級に応じておおよそ決まっています。

後遺障害等級は1級から14級まであり、症状の程度が重くなるほど、後遺障害慰謝料の相場も高額です。

等級 自賠責*弁護士
1級・要介護1,650
(1,600)
2,800
2級・要介護1,203
(1,163)
2,370
1級1,150
(1,100)
2,800
2級998 (958)2,370
3級861 (829)1,990
4級737万(712)1,670
5級618 (599)1,400
6級512 (498)1,180
7級419 (409)1,000
8級331 (324)830
9級249 (245)690
10級190 (187)550
11級136 (135)420
12級94 (93)290
13級57 (57)180
14級32 (32)110

※自賠責基準の()内の金額は2020年3月31日以前の事故に適用
※慰謝料の単位:万円

自賠責基準とは、加害者側の自賠責保険会社が支払う慰謝料の金額です。すべての後遺障害等級において、自賠責基準よりも弁護士基準が高額になります。

また、被害者が高い等級の後遺障害を負った場合には、被害者の家族も後遺障害慰謝料を請求できるケースがあります。
詳しく知りたい方は『交通事故で被害者家族が慰謝料請求できる3ケース|金額・請求方法も解説!』の記事を確認してください。

むちうちの後遺障害慰謝料

むちうちによる痺れ、痛みなどの神経症状は、後遺障害14級9号または後遺障害12級13号に認定される可能性があります。

たとえば、後遺障害14級をみてみましょう。後遺障害14級9号は、追突事故でむちうち症状となり、強いしびれや痛みが残った場合に認められる可能性があります。
後遺障害14級9号の場合、自賠責基準による慰謝料の相場は32万円となりますが、弁護士基準による慰謝料の相場は110万円です。慰謝料の相場は約3倍も異なり、弁護士基準の相場が高いことがわかるでしょう。

また、もっとひどいむちうちの場合は後遺障害12級13号に認定されることがあります。後遺障害12級13号の場合は、自賠責基準の相場は94万円ですが、弁護士基準では290万円が相場です。100万円にも満たない自賠責基準と比べると、弁護士基準による慰謝料請求の大切さがわかります。

後遺障害慰謝料には3つの支払基準がある

後遺障害慰謝料の相場は、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3つの支払基準ごとに違います。

実際に被害者が受けとる後遺障害慰謝料の金額は、3種類の支払基準を参考にしながら損害額を算定して示談交渉で決めるものです。

自賠責基準加害者側自賠責保険会社から支払われる支払基準。
交通事故の被害者が受け取れる最低限の金額になっている。
任意保険基準加害者側任意保険会社が示談交渉時に提示する支払基準。
金額は、各社で異なり非公開。
弁護士基準(裁判基準)被害者側弁護士が示談交渉時に提示する金額。
過去の判例をもとにしている。
判例が掲載されている書籍「損害賠償額算定基準」の装丁から「赤い本の基準」や「赤本の基準」ともいわれる。
慰謝料金額相場の3基準比較

慰謝料は弁護士基準で算定したときに最も高額で、自賠責基準で算定すると最も低額です。
任意保険基準は各社で異なり非公開なので、はっきりとした金額は把握できません。しかし、任意保険基準は、自賠責基準と同等または少し高額な程度といわれています。

後遺障害慰謝料に限らず、入通院慰謝料に関しても弁護士基準で計算するときに最も高額になる傾向です。関連記事『交通事故の慰謝料を正しく計算する方法』では、慰謝料の計算方法、増額事例を解説しています。併せて読むと理解が深まります。

後遺障害が残った場合の賠償金内訳

後遺障害が残った場合に請求するべきものは、慰謝料だけではありません。
賠償金内訳の例は以下の通りです。

後遺障害が残った場合の賠償金内訳(例)

請求費目損害
入通院慰謝料入院・通院による精神的苦痛
後遺障害慰謝料後遺障害による精神的苦痛
逸失利益交通事故で失われた未来の利益
治療関係費治療にかかった費用
入院費入院にかかった費用(入院雑費を含む)
付添看護費付添が必要になった際の費用
通院交通費通院にかかった交通費(原則は公共交通機関を対象)
休業損害ケガで働けないことへの補償
学習費ケガによる授業遅れ・進級遅れを挽回するための塾代・家庭教師代など
将来介護費被害者の介護にかかる人件費・居宅のバリアフリー改修費・おむつや車椅子などの費用
修理費物的損害への補償(修理費、買い替え費用など)

実費で請求できる費目は、加害者側と金額を巡って争うことはあまりないでしょう。具体的には、治療費や通院交通費などは、必要書類さえ提出すればすんなり認められる可能性があります。

しかし、後遺障害が残ったときの損害賠償項目でもめやすいものもあります。そのひとつが、後遺障害逸失利益です。後遺障害逸失利益についてみていきましょう。

後遺障害逸失利益として収入減を請求

後遺障害逸失利益とは何か

後遺障害が残ったことで異動や転職を余儀なくされたり、将来の出世が難しくなったりしたために、生涯年収が減ってしまう場合があります。減収は、後遺障害逸失利益として補償を請求しましょう。

逸失利益とは

後遺障害逸失利益の計算方法

後遺障害逸失利益は、次の式で計算できます。

収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数

労働能力喪失率とは、後遺障害によってどれだけの労働能力が失われるかを示した割合のことです。割合は、後遺障害等級ごとに決められています。

労働能力喪失率

等級労働能力喪失率
1100%
2100%
3100%
492%
579%
667%
756%
845%
935%
1027%
1120%
1214%
139%
145%

ライプニッツ係数とは、後遺障害逸失利益を預金・運用した場合に生じる利益を、支払い時にあらかじめ差し引くために使う係数です。
ライプニッツ係数は、労働能力喪失期間に応じて決まっています。
労働能力喪失期間は基本的に、症状固定時~67歳の年数と考えてください。

ライプニッツ係数

労働能力喪失期間ライプニッツ係数
1年0.97
5年4.58
10年8.53
20年14.88
30年19.60

※2020年4月1日以降の事故に対するライプニッツ係数

後遺障害逸失利益に関する注意点

むちうちで後遺障害14級9号または12級13号に認定された場合は、67歳までの労働能力喪失期間認定は難しいです。具体的には、後遺障害14級9号は労働能力喪失率が上限5年後遺障害12級13号は上限10年とされる可能性が高くなります。

また、被害者が症状固定時18歳未満であった場合は、18歳以上の場合とはライプニッツ係数が異なるので、注意しましょう。

逸失利益の詳しい計算方法は、『逸失利益の計算|後遺障害14級や12級の逸失利益はいくら?』をお役立てください。

慰謝料計算機なら目安額がすぐわかる

慰謝料計算機を使えば、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益、入通院慰謝料などの見込み額が簡単にわかります。
計算機の結果は弁護士基準の金額です。実際には、事情に応じて更なる増額が可能な場合もありますので、一度弁護士に確認することをおすすめします。

被害者の症状に応じた慰謝料の相場を知りたい方は「交通事故慰謝料相場(症状別)」をご覧ください。

後遺障害認定される症状とは?

後遺障害等級表で該当する症状を確認

後遺障害慰謝料がもらえる症状とは、次の表に定められている条件を満たし、後遺障害等級が認定されたものです。

後遺障害等級表(要介護)

等級症状の内容
第1級
  1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
第2級
  1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
出典:自動車損害賠償保障法施行令 別表第1

後遺障害等級表(要介護でない)

等級症状の内容
第1級
  1. 両眼が失明したもの
  2. 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
  3. 両上肢をひじ関節以上で失つたもの
  4. 両上肢の用を全廃したもの
  5. 両下肢をひざ関節以上で失つたもの
  6. 両下肢の用を全廃したもの
第2級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  2. 両眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  3. 両上肢を手関節以上で失つたもの
  4. 両下肢を足関節以上で失つたもの
第3級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  2. 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
  3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  5. 両手の手指の全部を失つたもの
第4級
  1. 両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  2. 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力を全く失つたもの
  4. 一上肢をひじ関節以上で失つたもの
  5. 一下肢をひざ関節以上で失つたもの
  6. 両手の手指の全部の用を廃したもの
  7. 両足をリスフラン関節以上で失つたもの
第5級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  4. 一上肢を手関節以上で失つたもの
  5. 一下肢を足関節以上で失つたもの
  6. 一上肢の用を全廃したもの
  7. 一下肢の用を全廃したもの
  8. 両足の足指の全部を失つたもの
第6級
  1. 両眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  4. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  5. 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
  6. 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  7. 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  8. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの
第7級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  3. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  4. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  6. 一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの
  7. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
  8. 一足をリスフラン関節以上で失つたもの
  9. 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  10. 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  11. 両足の足指の全部の用を廃したもの
  12. 外貌に著しい醜状を残すもの
  13. 両側の睾丸を失つたもの
第8級
  1. 一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  2. 脊柱に運動障害を残すもの
  3. 一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの
  4. 一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
  5. 一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
  6. 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  7. 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  8. 一上肢に偽関節を残すもの
  9. 一下肢に偽関節を残すもの
  10. 一足の足指の全部を失つたもの
第9級
  1. 両眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 一眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  3. 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  5. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
  6. 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
  7. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  8. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  9. 一耳の聴力を全く失つたもの
  10. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  12. 一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの
  13. 一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
  14. 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの
  15. 一足の足指の全部の用を廃したもの
  16. 外貌に相当程度の醜状を残すもの
  17. 生殖器に著しい障害を残すもの
第10級
  1. 一眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
  3. 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
  4. 十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  6. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  7. 一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
  8. 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
  9. 一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの
  10. 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
  11. 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
第11級
  1. 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  4. 十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  6. 一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  7. 脊柱に変形を残すもの
  8. 一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの
  9. 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
  10. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
第12級
  1. 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  4. 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
  5. 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
  6. 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  7. 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  8. 長管骨に変形を残すもの
  9. 一手のこ指を失つたもの
  10. 一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
  11. 一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
  12. 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
  13. 局部に頑固な神経症状を残すもの
  14. 外貌に醜状を残すもの
第13級
  1. 一眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
  3. 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  5. 五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  6. 一手のこ指の用を廃したもの
  7. 一手のおや指の指骨の一部を失つたもの
  8. 一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
  9. 一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの
  10. 一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用11.を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
第14級
  1. 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  2. 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  3. 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  4. 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  5. 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  6. 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
  7. 一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
  8. 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
  9. 局部に神経症状を残すもの
出典:自動車損害賠償保障法施行令 別表第2

交通事故によって上記の表に記載されている症状が残ったと認められると、その等級に応じた後遺障害慰謝料を受け取ることができます。

後遺障害等級が複数あると等級は併合される

交通事故により残った症状が複数あり、後遺障害等級が複数認定されることもあるでしょう。認定された等級は併合され、併合された等級に応じた慰謝料額が支払われます。

後遺障害等級の併合方法は次の通りです。

  • 5級以上が2つ以上:重い方の等級を3級繰り上げる
  • 8級以上が2つ以上:重い方の等級を2級繰り上げる
  • 13級以上が2つ以上:重い方の等級を1級繰り上げる
  • 14級が2つ以上:14級のまま
  • その他:重い方の等級に従う

併合のルール

  • 5級と4級に認定されていれば、重い方の等級を3級繰り上げて併合1級
  • 8級と5級に認定されていれば、重い方の等級を2級繰り上げて併合3級
  • 13級と10級に認定されていれば、重い方の等級を1級繰り上げて併合9級

後遺障害等級表にない症状も相当等級の可能性あり

交通事故で眼・鼻・口・耳に症状が残ったとき、その症状が後遺障害等級表には載っていないことがあります。
しかし、症状の重さに応じて「相当等級」と認められれば、相当等級に準じた後遺障害慰謝料を受け取ることが可能です。
「相当等級」が認められる症状とその等級をみていきましょう。

眼の障害

症状相当等級
外傷性散瞳(片眼)12級または14級
外傷性散瞳(両眼)11級または12級
流涙(片眼)14級
流涙(両眼)12級

外傷性散瞳とは、瞳孔が開きすぎることで光をまぶしく感じるようになることです。流涙とは、常に涙があふれるようになることです。
これらの症状がある場合には、その相当等級に応じた後遺障害慰謝料を受け取れる可能性があります。

鼻の障害

症状相当等級
鼻呼吸困難12級
嗅覚脱失12級
嗅覚減退14級

交通事故により鼻での呼吸が難しくなったり嗅覚に障害が残ったりした場合には、12級相当・14級相当として後遺障害慰謝料を受け取れる可能性があります。

耳の障害

症状相当等級
耳鳴り12級または14級
耳漏12級または14級

耳漏とは耳から体液が流れてしまう症状です。
交通事故によって耳鳴りや耳漏の症状が残った場合には、12級相当・14級相当として後遺障害慰謝料を受け取れる可能性があります。

口の障害

症状相当等級
嚥下障害3級、6級、10級のいずれか
咀嚼時間が延びた12級
かすれ声12級
味覚脱失12級
味覚減退14級

食べ物を飲み込みづらくなる嚥下障害が残った場合には、後遺障害等級表にある「咀嚼の障害」と同じ等級に相当するとされる場合があります。
また、口の開閉がうまくできなくなり、咀嚼時間が長くなるという症状は、後遺障害等級表には記載されていませんが、12級相当の可能性があるでしょう。

その他にも、かすれ声や味覚脱失、味覚喪失といった症状が残った場合には、相当等級に応じた後遺障害慰謝料を受け取れる可能性があります。

示談交渉の流れと慰謝料獲得の時期について

慰謝料獲得までの大まかな流れ

症状固定から後遺障害慰謝料獲得までの流れをみていきましょう。

症状固定とは、「これ以上治療を続けても大幅な改善は見込めない」と判断されることを言います。症状固定の診断を受けるということは、交通事故によって症状が残ったということです。そのため、症状固定の診断を受けてから後遺障害等級認定を申請しましょう。

後遺障害等級認定の申請では、必要書類を審査機関に提出します。提出方法は、「事前認定」と「被害者請求」という2種類があり、特に被害者請求がキーワードです。詳しくは次の項目で説明するので、このまま読み進めてください。

後遺障害等級認定の申請をして等級が認定されたら、加害者側との示談交渉を行います。そして示談が成立したら、その他の賠償金とともに後遺障害慰謝料が振り込まれます。

  1. 症状固定の診断を受ける
  2. 審査機関に後遺障害等級認定の申請
  3. 審査機関での審査後、結果通知
  4. 加害者側との示談交渉
  5. 示談成立後、慰謝料などの示談金獲得

重要ポイントについて詳しく説明します。

症状固定の診断を受ける

後遺障害慰謝料は、後遺障害認定を受けた人に認められる慰謝料です。
まず、ケガが完治せずに後遺症が残った状態で、この先も治る見込みがないと診断を受ける必要があります。この状態は症状固定といわれる段階です。

例えば、むちうちではしびれや痛みが残っている状態、骨折では骨そのものはくっついたけどリハビリしても曲げづらさが残っている状態などが考えられます。

症状固定とは何か

症状固定のひとつの目安は事故から6ヶ月後

症状固定で重視されるのは、医師の見解です。
いつ頃症状固定となるかはケガの程度や治療の進捗によりますが、後遺障害認定を視野に入れるなら、事故から6ヶ月経過後を目安にしましょう。特に、むちうちで後遺障害認定を受ける場合、治療期間が6ヶ月に満たない場合、後遺障害認定を受けることは難しいです。

審査機関に後遺障害等級認定を申請する

後遺障害慰謝料を獲得するためには後遺障害等級の申請をして、後遺障害等級の認定を受けなければなりません。

後遺障害等級認定の申請方法には、事前認定被害者請求の2種類があります。

事前認定とは何か

事前認定とは

事前認定は、加害者側任意保険会社を介して審査機関に必要書類を提出する方法です。

まず、かかりつけの医師に後遺障害診断書を作成してもらいましょう。そして、被害者は加害者側の任意保険会社に後遺障害診断書を提出するだけです。あとは加害者側任意保険会社がその他の必要書類を全て揃え、審査機関に提出してくれます。

そのため、事前認定は手間のかからない便利な申請方法です。しかし、適正な等級認定にむけた工夫のしやすさは、被害者請求に劣ります。

後遺障害診断書以外の書類を加害者側の任意保険会社に揃えてもらうため、その他の書類を確認できなかったり、追加書類の添付が難しいのです。

後遺障害等級認定の審査は、基本的に、提出書類のみを見て行われます。そのため、提出書類の内容を工夫したり追加書類を添付したりできないのは、大きなデメリットです。

事前認定のメリットとデメリットについて改めてまとめます。

メリット手間がかからない
デメリット書類の記載内容を事前に確認できない
追加書類の添付が難しい

被害者請求とは何か

被害者請求とは

被害者請求とは、加害者側自賠責保険会社を介して、必要書類を審査機関に提出する方法のことです。

被害者請求の場合、被害者は後遺障害診断書だけでなく、通常の診断書、診療報酬明細書、交通事故証明書など、必要書類の全てを用意しなくてはなりません。

用意した全ての書類は、加害者側の自賠責保険会社に提出してください。その後、加害者側の自賠責保険会社が書類を審査機関に提出する流れです。そのため、事前認定よりも手間がかかるというデメリットがあります。

しかし、被害者は書類の記載内容を事前に確認可能です。症状の状態がきちんと伝わりやすいよう記載内容を改善したり、弁護士といった専門家への相談もできます。専門家のアドバイスを踏まえて、提出書類の質をブラッシュアップできるのです。また、デメリットである「手間」に関しても、弁護士に依頼することで解消できます。

等級認定のための工夫のしやすさという点で、被害者請求は非常に有効といえるでしょう。

被害者請求のメリットとデメリットをまとめます。

メリット提出書類の内容を事前に確認できる
追加書類の添付ができる
デメリット手間がかかる(弁護士に依頼すれば最低限にできる)

後遺障害診断書の作成方法について知りたい方は『後遺障害診断書の書き方は?等級認定される記入例と医師に作成を頼む時期』の記事を確認してください。

加害者側との示談交渉を始める

後遺障害認定の申請後1ヶ月~2ヶ月くらいで、後遺障害等級の通知が届きます。ただし、重篤な症状の場合は別です。申請から後遺障害等級の通知まで数ヶ月かかることもあると知っておいてください。

通知内容に異議がなければ、加害者側との示談交渉を始めましょう。

示談交渉の基本的な流れ

  1. 加害者側が被害者に示談案を提示する
  2. 被害者は示談案を十分に確認する
    確認項目:内訳、総額、過失割合など
  3. 示談案に納得がいかない場合は保険会社に交渉を行う
  4. 示談案で納得する場合は示談書にサインをして返送する
  5. 示談金が振り込まれる(示談成立から1~2週間前後)

示談後に慰謝料を受けとる

慰謝料は示談金の一部です。そのため、示談がまとまったら、慰謝料を含む示談金の支払いを受けることになります。

しかし、示談成立と同時に慰謝料が振り込まれるわけではありません。
示談書にサインをして返送している期間、加害者側の保険会社による事務処理期間がかかるので、1週間~2週間程度は想定しておきましょう。

ポイント|示談前に慰謝料請求する方法

後遺障害認定申請方法のひとつとして紹介した「被害者請求」をすれば、自賠責保険の支払基準に応じる金額を、示談前に受けとることができます。後遺障害部分では、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益をあわせて75万円~4,000万円です。この金額は、後遺障害等級認定に応じて異なります。

もっとも、自賠責保険の支払基準は最低限の金額に過ぎません。自賠責保険の支払い分だけは先に受けとり、不足分を任意保険会社との交渉で獲得しましょう。

後遺障害等級獲得のための4ポイント

(1)交通事故と症状の関係性が明らかであること

後遺障害等級認定されるためには、その症状が交通事故によるものであると証明する必要があります。証明するためには、事故直後から通院していなくてはなりません。

事故から数日経ってから通院を始めると、その症状が本当に交通事故により生じたものなのか、事故後の生活の中で生じたものなのか判断しにくくなるからです。

また、交通事故直後から通院していても、途中で1ヶ月以上通院が途切れていると、その症状が交通事故により生じたものであると証明することが難しくなります。
通院が1ヶ月以上途切れた時点で交通事故によるけがは完治していて、その後通院を再開したのはまた別の理由でけがをしたからなのではないか、と疑われてしまうからです。

これらのことから、交通事故と症状の関係を明らかにするためには、次の2点が重要です。

  1. 交通事故直後から通院すること
  2. 通院を1ヶ月以上途切らせないこと

(2)症状に一貫性があること

交通事故から一貫して同じ症状があるということも、後遺障害等級認定においては重要です。
治療の過程で症状が変わっていると、最終的に残っている症状が本当に交通事故によるものなのか、わからなくなるからです。治療の過程で症状が悪化・軽減することはあっても、症状の種類そのものが変わっていると、後遺障害等級の認定が難しくなります。

医師に後遺障害診断書を書いてもらうときは、同じ症状が一貫してあることを明記してもらいましょう。

(3)継続的に症状があること

症状が継続的に続いていることも、後遺障害等級に認定されるためには重要なポイントです。
特に、むちうちによるしびれや痛みは雨の日に特に強いという傾向もあります。しかし「雨の日はしびれや痛みがある」と後遺障害診断書に記載してしまうと、症状に継続性がないと判断されかねません。

継続的ではなく断続的に症状が残っていると判断された場合、後遺障害等級認定の条件に該当せず、等級が認定されない可能性が高くなります。

後遺障害診断書に自覚症状を書くときには、症状が継続的に続いていることを明記することも重要です。

(4)被害者請求で申請を行うこと

後遺障害等級認定を行う際には、事前認定よりも被害者請求を選ぶ方がおすすめです。

被害者請求なら、後遺障害診断書や通常の診断書の記載内容を事前に確認し、不足部分があれば医師に書いてもらうことができます。医師は医療の専門家であって後遺障害等級認定については専門ではないため、必ずしも後遺障害等級認定に適した診断書の書き方を知っているとは限りません。

また、被害者請求なら症状をより詳しく伝えるための追加書類を添付可能です。後遺障害等級認定は基本的に提出書類のみで審査されるため、書類の不足や不備があると審査は不利になります。後遺障害等級認定の認定率は約5%といわれているので、書類でできるだけ正確に多くのことを伝えるのは非常に重要です。

慰謝料が相場よりも高額・低額なケース

増額につながる3つのポイント

慰謝料が相場より高額になるポイントを3点例示します。

  1. 加害者側に悪質性・重い過失がある
  2. 残された家族が精神的な病を患った
  3. 他の損害を慰謝料でカバーした

加害者側の悪質性や重い過失は次の2つにわけると理解しやすいです。

  • 運転行為の悪質さ:無免許運転、飲酒運転、著しいスピード違反、薬物の影響
  • 態度の悪質さ:ひき逃げ、救護義務の放棄、暴言・虚偽の供述を繰り返す

また、被害者の関係者が事故を目撃したり、加害者側の態度などで精神疾患にかかってしまうことがあります。PTSDやうつなどの診断を受けているかは問わず、個別の事情を考慮した増額の見込みがあるでしょう。

また、休業損害や逸失利益などの「慰謝料以外」の費目が認められない代わりに、慰謝料額で補てんされる場合があります。非常に繊細な交渉になるため、被害者お一人ではなく、弁護士による交渉が望ましいです。

減額につながる3つのポイント

慰謝料額が相場より減額される理由を3点示します。

  1. 症状が交通事故だけのせいではない
  2. 被害者にも過失割合がついた
  3. 労災保険との重複分は認められない

交通事故で負った損害について、加害者は被害者に賠償金を支払います。交通事故を原因としない損害については、支払う立場にありません。

たとえば、交通事故前から椎間板ヘルニアであった人が、事故によってヘルニアが悪化して1年を超える治療期間がかかった、と主張した場合を考えてみます。
この例では、まずヘルニアの悪化自体が事故とは無関係な可能性もありますし、もともとヘルニアでなければ治療そのものが早く終了した可能性も考えられるでしょう。

被害者が事故前からもっていた症状に影響したり、悪化させたとして賠償額を減額されることを、素因減額といいます。

また、被害者に一定程度の過失割合がつくこともあるでしょう。過失割合の分だけ、被害者が受けとる金額は下がります。示談交渉では、加害者側と過失割合についても話し合うことになるので、納得がいかないまま示談をしてはいけません。

ちなみに、交通事故が勤務中や通勤中に起こったなら、被害者自身の労災保険に対して保険金請求が可能です。しかし、労災保険の保険金と、加害者側の保険会社から支払われる保険金(賠償金)は重複して受けとれません。

同じ損害に対する保険金については調整がおこなわれます。例えば、労災から支払われる休業補償と、自動車保険から支払われる休業損害は、同じ「休業」への補償のため重複して受けとれないのです。

被害者からみると「減額された」と感じるかもしれませんが、実際に減っているわけではありません。

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被害者請求をサポートします

後遺障害等級を獲得するためには、被害者請求で認定の申請をする方がおすすめです。しかし、被害者請求をしたいと考えている方の中には、次のような不安をもっている方もいらっしゃいます。

  • 仕事や育児、後遺障害の状態により、必要資料全てを自分で集めるのは難しい
  • 事前に書類の内容を確認できても、それでいいのか改善すべき点があるのかわからない
  • どんな書類を追加すればいいのかわからない

こうした場合は、弁護士にご相談ください。
弁護士は、示談交渉の代理だけではなく後遺障害等級認定の申請サポートも行っています。実際の経験から、診断書の記載をどのように改善するべきなのか、どのような書類を添付するべきなのかというアドバイスが可能です。
また、必要書類の用意も弁護士が行います。

適正な後遺障害慰謝料にむけて増額交渉します

後遺障害慰謝料の金額は、最終的には示談交渉によって決めるものです。
示談交渉相手となる加害者側の任意保険会社は、基本的に低めの金額を提示してきます。そのため、適切な金額を獲得するためには、増額交渉が必須です。

しかし、被害者が増額交渉しても、十分に増額してもらえない可能性が高いでしょう。法律や示談交渉のプロである弁護士が示談交渉を代理することで、加害者側の任意保険会社の態度も軟化し、増額に成功する可能性が高まります。

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相談のあとは、弁護士費用特約をお使いいただくことで実質無料でご依頼可能です。もちろん、無料相談をご利用いただいた際に契約を迫ることはありません。
無料相談のみのご利用も可能ですので、お気軽にご連絡ください。

アトム法律事務所の増額事例3選

事例(1)

示談金96万円から966万円へ増額
後遺障害等級:14級
症状:足小指の神経症状

事例(2)

示談金621万円から2300万円へ増額
後遺障害等級:10級
症状:左肩の可動域制限

事例(3)

示談金1085万円から2207万円へ増額
後遺障害等級:12級
症状:膝の可動域制限

まとめ

ここまで、後遺障害慰謝料がもらえる後遺障害の症状、後遺障害慰謝料の金額、後遺障害等級を獲得するポイントを解説していきました。適切な等級を認定され、十分な後遺障害慰謝料を獲得するためにも、まずはお気軽に弁護士までご相談ください。

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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