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後遺障害慰謝料の適正相場は?逸失利益の計算、示談交渉の流れを解説

更新日:

後遺障害慰謝料 逸失利益の計算 示談交渉の流れ

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故で後遺障害が残ると、後遺障害慰謝料を請求できます。
後遺障害慰謝料の相場は、大きくいって「後遺障害等級が何級か」、「3つある算定基準のうちどれを用いるか」の2点によって決まります。

この記事では後遺障害等級ごと・算定基準ごとの後遺障害慰謝料を一覧表にまとめているので、簡単に相場がわかるでしょう。
その他にも、慰謝料相場を左右しうるポイントや、後遺障害慰謝料を得るための方法も解説しているので、交通事故によって後遺症が残る場合には参考にしてみてください。

目次

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後遺障害慰謝料の相場一覧とポイント

後遺障害慰謝料の相場一覧表

後遺障害慰謝料は、後遺障害が残った被害者が今後も受け続ける精神的苦痛に対する補償です。後遺障害慰謝料は、入院・通院した場合に認められる入通院慰謝料とは別で、追加請求できると覚えておきましょう。

ではさっそく、後遺障害慰謝料の相場一覧表を紹介します。

等級 自賠責基準*弁護士基準
1級・要介護1,650万円
(1,600万円)
2,800万円
2級・要介護1,203万円
(1,163万円)
2,370万円
1級1,150万円
(1,100万円)
2,800万円
2級998万円
(958万円)
2,370万円
3級861万円
(829万円)
1,990万円
4級737万円
(712万円)
1,670万円
5級618万円
(599万円)
1,400万円
6級512万円
(498万円)
1,180万円
7級419万円
(409万円)
1,000万円
8級331万円
(324万円)
830万円
9級249万円
(245万円)
690万円
10級190万円
(187万円)
550万円
11級136万円
(135万円)
420万円
12級94万円
(93万円)
290万円
13級57万円
(57万円)
180万円
14級32万円
(32万円)
110万円

※自賠責基準の()内の金額は2020年3月31日以前の事故に適用

表に記載されている「自賠責基準」や「弁護士基準」、「等級」についてはこのあと順に解説していきます。

なお、被害者が重い等級の後遺障害を負った場合は、被害者の家族も後遺障害慰謝料を請求できるケースがあります。詳しく知りたい方は『交通事故で被害者家族が慰謝料請求できる3ケース|金額・請求方法も解説!』の記事を確認してください。

ポイント(1)後遺障害慰謝料の相場は3種類ある

後遺障害慰謝料には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3つの算定基準があり、どれを用いるかで相場が変わります。

自賠責基準加害者側自賠責保険会社から支払われる支払基準。
交通事故の被害者が受け取れる最低限の金額になっている。
任意保険基準加害者側任意保険会社が示談交渉時に提示する支払基準。
金額は、各社で異なり非公開。
弁護士基準(裁判基準)被害者側弁護士が示談交渉時に提示する金額。
過去の判例をもとにしている。
判例が掲載されている書籍「損害賠償額算定基準」の装丁から「赤い本の基準」や「赤本の基準」ともいわれる。
慰謝料金額相場の3基準比較

慰謝料は弁護士基準で算定したときに最も高額で、自賠責基準で算定すると最も低額です。
任意保険基準は各社で異なり非公開なので、はっきりとした金額は把握できません。よって、上で紹介した「後遺障害慰謝料の相場一覧表」では、任意保険基準は割愛しました。
目安としては、任意保険基準は自賠責基準と同等または少し高額な程度といわれています。

実際に受け取れる慰謝料の金額は示談交渉で決められますが、このとき相手方保険会社は任意保険基準の金額を提示してきます。
そのため、弁護士基準の金額を得るためには、相手方保険会社に対して増額交渉をしなければなりません。

ポイント(2)後遺障害慰謝料の相場は等級に応じて決まる

後遺障害慰謝料は、後遺症に対して認定される「後遺障害等級」によって相場が決まります。
後遺障害等級には1級~14級があり、1級に近いほど重い後遺障害とされ、後遺障害慰謝料も高額になります。

なお、たとえ交通事故で後遺症が残っても、後遺障害等級が認定されなければ後遺障害慰謝料はもらえない点もおさえておきましょう。
後遺障害等級の認定を受ける方法は、のちほど解説します。

ポイント(3)後遺障害等級が複数ある場合は併合される

交通事故により残った症状が複数あり、後遺障害等級が複数認定されることもあるでしょう。複数の等級が認定された場合、各等級を併合した「併合等級」に応じた慰謝料額が支払われます。

後遺障害等級の併合方法は次の通りです。

  • 5級以上が2つ以上:重い方の等級を3級繰り上げる
  • 8級以上が2つ以上:重い方の等級を2級繰り上げる
  • 13級以上が2つ以上:重い方の等級を1級繰り上げる
  • 14級が2つ以上:14級のまま
  • その他:重い方の等級に従う

いくつか例を挙げて、後遺障害等級が複数認定された場合の後遺障害慰謝料を紹介します。
なお、ここで紹介するのは弁護士基準における相場です。

  • 5級と4級に認定されていれば、重い方の等級を3級繰り上げて併合1級となる。
    よって、後遺障害慰謝料は2,800万円。
  • 8級と5級に認定されていれば、重い方の等級を2級繰り上げて併合3級となる。
    よって、後遺障害慰謝料は1,990万円。
  • 13級と10級に認定されていれば、重い方の等級を1級繰り上げて併合9級となる。
    よって、後遺障害慰謝料は690万円。

ポイント(4)慰謝料は相場より増減することがある

冒頭に紹介した後遺障害慰謝料の金額は、あくまでも相場であり、事故の個別的な事情によっては金額が増減することがあります。
これは、後遺障害慰謝料以外の入通院慰謝料・死亡慰謝料・損害賠償金にも言えることです。

ここでは、慰謝料や損害賠償金が相場よりも多くなるケース、少なくなるケースを紹介します。

慰謝料が相場より増額されるケース

慰謝料が相場より高額になるのは、以下のような場合です。

  • 加害者側に悪質性・重い過失がある
    • 無免許運転、飲酒運転、著しいスピード違反、薬物の影響
    • ひき逃げ、救護義務の放棄、暴言・虚偽の供述を繰り返す
  • 被害者の家族に大きな精神的苦痛が生じた
    • 被害者の関係者が事故を目撃した
    • 加害者側の態度などで精神疾患にかかってしまった
    • 被害者の後遺障害が、死にも比肩するものである
  • 他の損害を慰謝料でカバーした
    • 休業損害や逸失利益が認められない代わりに慰謝料が増額される

他にも慰謝料が相場よりも多くなるケースはあるので、心当たりがある場合は弁護士にお問い合わせください。
交通事故の慰謝料で補償される精神的苦痛の種類は?』の記事でも慰謝料増額につながるケースを多数紹介しています。

飲酒運転による交通事故に遭った場合は、『飲酒運転の被害者が請求できる慰謝料は?』も合わせて読んでみてください。

慰謝料が相場より減額されるケース

慰謝料額が相場より減額されるのは、以下のような場合です。

  • 症状が交通事故だけのせいではない
    • 交通事故で椎間板ヘルニアが悪化したが、ヘルニア自体はもとからあった
    • 被害者が医師の指示通り治療に通わなかったため、治療期間が長引いた
  • 被害者にも過失割合がついた
    • 被害者に過失割合が付くと、その割合分、慰謝料や損害賠償金が減額される
  • 労災保険との重複部分がある
    • 労災保険と損害賠償金で補償対象が重複するものは、二重取りにならないよう相殺される
    • たとえば「労災保険の休業補償」と「自動車保険の休業損害」は重複するので相殺される

被害者の持病や態度が交通事故の損害拡大につながった場合、その分は慰謝料や損害賠償金から差し引かれます。これを素因減額といいます。

また、過失割合に応じて慰謝料・損害賠償金が減額される「過失相殺」にも注意が必要です。
過失割合は示談交渉で決められますが、加害者側は過失相殺を狙って、あえて被害者側の過失割合を多く主張してくることがあります。

相手方から提示された過失割合を鵜呑みにするのではなく、被害者側でも正当な過失割合を算定してみるようにしましょう。
過失割合については、関連記事『交通事故の過失割合|決定の流れと事例集』が参考になります。

例|むちうちにおける後遺障害慰謝料の相場はいくら?

追突事故などで多いむちうち症状でしびれや痛みなどが後遺症になった場合、後遺障害14級9号または後遺障害12級13号に認定される可能性があります。

たとえば後遺障害14級であれば、自賠責基準による慰謝料相場は32万円ですが、弁護士基準による慰謝料相場は110万円です。慰謝料の相場は約3倍も異なり、弁護士基準の相場が高いことがわかるでしょう。

また、後遺障害12級13号であれば自賠責基準の相場は94万円ですが、弁護士基準の相場は290万円です。100万円にも満たない自賠責基準と比べると、弁護士基準による慰謝料請求の大切さがわかります。

むちうちで後遺障害が残っているという方は関連記事を参考にして、むちうちによる後遺障害認定のポイントをおさえておきましょう。

後遺障害慰謝料がもらえる後遺症とは?

後遺障害等級表に該当する後遺障害

後遺障害慰謝料がもらえる症状とは、次の表に定められている条件を満たし、後遺障害等級が認定されたものです。

後遺障害等級表(要介護)

等級症状の内容
第1級
  1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
第2級
  1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
出典:自動車損害賠償保障法施行令 別表第1

後遺障害等級表(要介護でない)

等級症状の内容
第1級
  1. 両眼が失明したもの
  2. 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
  3. 両上肢をひじ関節以上で失つたもの
  4. 両上肢の用を全廃したもの
  5. 両下肢をひざ関節以上で失つたもの
  6. 両下肢の用を全廃したもの
第2級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  2. 両眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  3. 両上肢を手関節以上で失つたもの
  4. 両下肢を足関節以上で失つたもの
第3級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  2. 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
  3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  5. 両手の手指の全部を失つたもの
第4級
  1. 両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  2. 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力を全く失つたもの
  4. 一上肢をひじ関節以上で失つたもの
  5. 一下肢をひざ関節以上で失つたもの
  6. 両手の手指の全部の用を廃したもの
  7. 両足をリスフラン関節以上で失つたもの
第5級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  4. 一上肢を手関節以上で失つたもの
  5. 一下肢を足関節以上で失つたもの
  6. 一上肢の用を全廃したもの
  7. 一下肢の用を全廃したもの
  8. 両足の足指の全部を失つたもの
第6級
  1. 両眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  4. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  5. 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
  6. 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  7. 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  8. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの
第7級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  3. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  4. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  6. 一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの
  7. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
  8. 一足をリスフラン関節以上で失つたもの
  9. 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  10. 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  11. 両足の足指の全部の用を廃したもの
  12. 外貌に著しい醜状を残すもの
  13. 両側の睾丸を失つたもの
第8級
  1. 一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  2. 脊柱に運動障害を残すもの
  3. 一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの
  4. 一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
  5. 一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
  6. 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  7. 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  8. 一上肢に偽関節を残すもの
  9. 一下肢に偽関節を残すもの
  10. 一足の足指の全部を失つたもの
第9級
  1. 両眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 一眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  3. 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  5. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
  6. 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
  7. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  8. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  9. 一耳の聴力を全く失つたもの
  10. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  12. 一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの
  13. 一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
  14. 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの
  15. 一足の足指の全部の用を廃したもの
  16. 外貌に相当程度の醜状を残すもの
  17. 生殖器に著しい障害を残すもの
第10級
  1. 一眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
  3. 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
  4. 十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  6. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  7. 一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
  8. 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
  9. 一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの
  10. 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
  11. 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
第11級
  1. 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  4. 十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  6. 一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  7. 脊柱に変形を残すもの
  8. 一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの
  9. 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
  10. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
第12級
  1. 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  4. 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
  5. 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
  6. 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  7. 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  8. 長管骨に変形を残すもの
  9. 一手のこ指を失つたもの
  10. 一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
  11. 一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
  12. 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
  13. 局部に頑固な神経症状を残すもの
  14. 外貌に醜状を残すもの
第13級
  1. 一眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
  3. 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  5. 五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  6. 一手のこ指の用を廃したもの
  7. 一手のおや指の指骨の一部を失つたもの
  8. 一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
  9. 一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの
  10. 一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用11.を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
第14級
  1. 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  2. 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  3. 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  4. 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  5. 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  6. 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
  7. 一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
  8. 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
  9. 局部に神経症状を残すもの
出典:自動車損害賠償保障法施行令 別表第2

交通事故によって上記の表に記載されている症状が残ったと認められると、その等級に応じた後遺障害慰謝料を受け取ることができます。

どんな症状で何級に認定される可能性があるかもっと具体的に知りたい場合は、『後遺障害等級の一覧表|認定基準と認定の流れ、具体的な症状がわかる』をご覧ください。
よくある症状別に、後遺障害等級を紹介しています。

相当等級に該当する後遺障害|眼・鼻・耳・口

交通事故で眼・鼻・口・耳に症状が残ったとき、その症状が後遺障害等級表には載っていないことがあります。
しかし、症状の重さに応じて「相当等級」と認められれば、相当等級に準じた後遺障害慰謝料を受け取ることが可能です。
「相当等級」が認められる症状とその等級をみていきましょう。

眼の障害

症状相当等級
外傷性散瞳(片眼)12級または14級
外傷性散瞳(両眼)11級または12級
流涙(片眼)14級
流涙(両眼)12級

外傷性散瞳とは、瞳孔が開きすぎることで光をまぶしく感じるようになることです。流涙とは、常に涙があふれるようになることです。これらの症状がある場合には、その相当等級に応じた後遺障害慰謝料を受け取れる可能性があります。

鼻の障害

症状相当等級
鼻呼吸困難12級
嗅覚脱失12級
嗅覚減退14級

交通事故により鼻での呼吸が難しくなったり嗅覚に障害が残ったりした場合には、12級相当・14級相当として後遺障害慰謝料を受け取れる可能性があります。

耳の障害

症状相当等級
耳鳴り12級または14級
耳漏12級または14級

耳漏とは耳から体液が流れてしまう症状です。
交通事故によって耳鳴りや耳漏の症状が残った場合には、12級相当・14級相当として後遺障害慰謝料を受け取れる可能性があります。

口の障害

症状相当等級
嚥下障害3級、6級、10級のいずれか
咀嚼時間が延びた12級
かすれ声12級
味覚脱失12級
味覚減退14級

食べ物を飲み込みづらくなる嚥下障害が残った場合には、後遺障害等級表にある「咀嚼の障害」と同じ等級に相当するとされる場合があります。
また、口の開閉がうまくできなくなり、咀嚼時間が長くなるという症状は、後遺障害等級表には記載されていませんが、12級相当の可能性があるでしょう。

その他にも、かすれ声や味覚脱失、味覚喪失といった症状が残った場合には、相当等級に応じた後遺障害慰謝料を受け取れる可能性があります。

後遺障害慰謝料を請求する方法

症状固定後、後遺障害等級の認定審査を受ける

後遺障害慰謝料を請求するためには、後遺障害等級の認定を受けている必要があります。
そのため、医師から症状固定の診断を受けて治療が終わったら、後遺障害等級の認定審査を受けましょう。

症状固定

これ以上治療を続けても、大幅な改善は見込めない状態になること。

症状固定とは何か

後遺障害等級の認定審査は、必要書類を審査機関に提出すると受けられます。
必要書類の提出方法には事前認定被害者請求の2種類があるので、それぞれ見ていきましょう。

事前認定は、手間はかからないが審査の対策がしにくい

事前認定とは

事前認定は、加害者側の任意保険会社を介して審査機関に必要書類を提出する方法です。

かかりつけの医師に後遺障害診断書を作成してもらい、加害者側の任意保険会社に提出すると、残りの書類はすべて加害者側の任意保険会社が用意して、審査機関に提出してくれます。

手間はかかりませんが、後遺障害診断書以外の書類に被害者が関与することはできません。
そのため、その他の書類のクオリティを確認したり、後遺症の状態を詳しく伝えるための追加書類を添付したりすることは難しいです。

後遺障害等級認定の審査は基本的に提出書類のみを見て行われるので、これは大きなデメリットといえるでしょう。

事前認定のメリットとデメリットについて改めてまとめておきます。

メリット手間がかからない
デメリット書類の記載内容を事前に確認できない
追加書類の添付が難しい

被害者請求は、手間がかかるが審査の対策はしやすい

被害者請求とは

被害者請求とは、加害者側の自賠責保険会社を介して必要書類を審査機関に提出する方法です。

被害者請求の場合、被害者は後遺障害診断書、通常の診断書、診療報酬明細書、交通事故証明書など、必要書類の全てを用意して加害者側の自賠責保険会社に提出します。

手間はかかりますが、提出書類の質を上げたり、追加書類を添付したりして審査対策ができます。
そのため、適切な等級に認定される可能性が高まり、十分な後遺障害慰謝料の獲得にもつながるでしょう。

書類集めに手間をかけたくない場合や、書類の質向上・追加書類選びに不安がある場合は、弁護士に相談すればサポートしてもらえます。

被害者請求のメリットとデメリットをまとめると、以下の通りです。

メリット提出書類の内容を事前に確認できる
追加書類の添付ができる
デメリット手間がかかる(弁護士に依頼すれば最低限にできる)

後遺障害診断書の作成方法について知りたい方は『後遺障害診断書の書き方は?等級認定される記入例と医師に作成を頼む時期』の記事を確認してください。

被害者請求なら後遺障害慰謝料の一部が早くもらえる

被害者請求で後遺症が等級の認定審査を受けると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益が一部、結果通知とほぼ同時に振り込まれます。

ただし、等級に応じて75万円~4,000万円の上限があるので、それを超える部分は示談成立後でないと受け取れません。

なお、後遺障害慰謝料以外の慰謝料も、一部示談成立前にもらえる方法があります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

認定結果が出たら示談交渉をして後遺障害慰謝料を獲得

後遺障害認定の審査はおおむね1か月~2か月程度で出るので、その後は示談交渉に入っていきます。
ただし、重篤な症状の場合は審査の結果通知まで数ヶ月かかることもあるので注意してください。審査結果に納得がいかない場合は異議申し立てにより再審査も受けられるので、検討してみましょう。

それでは、示談交渉の流れを解説していきます。

示談交渉の基本的な流れ

  1. 加害者側が被害者に示談案を提示する
  2. 被害者は示談案を十分に確認する
    確認項目:内訳、総額、過失割合など
  3. 示談案に納得がいかない場合は保険会社に交渉を行う
  4. 示談案で納得する場合は示談書にサインをして返送する
  5. 示談金が振り込まれる(示談成立から1~2週間前後)

示談交渉は、加害者側から慰謝料などの金額を提示されることで開始されます。
このとき相手方から提示される金額は相場よりも低いことが多いので、すぐに鵜呑みにしないよう気を付けましょう。

また、交渉の相手は加害者側の任意保険会社です。
日々さまざまな被害者・弁護士との交渉経験を積んでいるプロなので、しっかり対策しなければ加害者側に有利な内容で交渉が進んでしまいます。

示談交渉にあたっては、被害者側もプロである弁護士を立てると良いでしょう。
交通事故の示談前に読もう!知られざる示談成功のヒミツ』にて示談交渉についての理解を深めることもおすすめです。

後遺障害慰謝料を得るために大切な5つのこと

(1)交通事故と症状の関係性が明らかであること

後遺障害等級認定されるためには、その症状が交通事故によるものであると証明する必要があります。交通事故と後遺症の関連性を証明するためには、以下の点に気を付けましょう。

  • 交通事故直後から通院すること
  • 通院を1ヶ月以上途切らせないこと

事故から数日経って通院を始めると、その症状が本当に交通事故により生じたものなのか、事故後の生活の中で生じたものなのか判断しにくくなります。

また、交通事故直後から通院していても、途中で1ヶ月以上通院が途切れていると、その時点で交通事故によるけがは完治していて、通院を再開したのはまた別の理由でけがをしたからなのではないかと疑われてしまいます。

これらのことから、事故直後に通院を開始することと、通院を1ヶ月以上途切らせないことは重要です。

(2)症状に一貫性があること

交通事故から一貫して同じ症状があるということも、後遺障害等級認定においては重要です。
治療の過程で症状が変わっていると、最終的に残っている症状が本当に交通事故によるものなのか、わからなくなるからです。

医師に後遺障害診断書を書いてもらうときは、同じ症状が一貫してあることを明記してもらいましょう。

(3)継続的に症状があること

症状が継続的に続いていることも、後遺障害等級に認定されるためには重要なポイントです。
たとえば、むちうちによるしびれや痛みは雨の日に特に強いという傾向があります。しかし、「雨の日はしびれや痛みがある」と後遺障害診断書に記載してしまうと、症状に継続性がないと判断されかねません。

継続的ではなく断続的に症状が残っていると判断された場合、後遺障害等級に認定されず、後遺障害慰謝料がもらえない可能性が高くなります。

後遺障害診断書に自覚症状を書くときには、症状が継続的に続いていることを明記することも重要です。

(4)被害者請求で申請を行うこと

後遺障害等級認定を行う際には、事前認定よりも被害者請求を選ぶ方がおすすめです。

すでに解説した通り、被害者請求なら提出書類の質を上げること、追加資料を添付することが可能なので、基本的に書類のみを見て行われる審査で有利になります。

後遺障害等級認定の認定率は約5%といわれていますが、提出書類に不十分な点があって認定に至らないケースもあるので、被害者請求によって質の高い書類を提出することが大切です。

(5)症状固定までに6か月以上の治療期間があること

後遺障害等級が認定されるためには、基本的に症状固定までに6か月以上治療をしていることが必要です。

いつ頃症状固定となるかはケガの程度や治療の進捗・医師の判断によりますが、後遺障害認定を視野に入れるなら、事故から6ヶ月経過後を目安にしましょう。特に、むちうちで後遺障害認定を受ける場合、治療期間が6ヶ月に満たない場合、後遺障害認定を受けることは難しいです。

後遺障害慰謝料以外にも請求できる費目はある

後遺障害が残った場合の賠償金内訳

後遺障害が残った場合に請求するべきものは、慰謝料だけではありません。
賠償金内訳の例は以下の通りです。

後遺障害が残った場合の賠償金内訳(例)

請求費目損害
入通院慰謝料入院・通院による精神的苦痛
後遺障害慰謝料後遺障害による精神的苦痛
逸失利益交通事故で失われた未来の利益
治療関係費治療にかかった費用
入院費入院にかかった費用(入院雑費を含む)
付添看護費付添が必要になった際の費用
通院交通費通院にかかった交通費(原則は公共交通機関を対象)
休業損害ケガで働けないことへの補償
学習費ケガによる授業遅れ・進級遅れを挽回するための塾代・家庭教師代など
将来介護費被害者の介護にかかる人件費・居宅のバリアフリー改修費・おむつや車椅子などの費用
修理費物的損害への補償(修理費、買い替え費用など)

治療費や通院交通費など実費を請求する費目は、必要書類さえ提出すればすんなり認められる可能性が高いです。

しかし、慰謝料や逸失利益は計算方法や算定基準次第で金額が変わってしまうので、相手方ともめやすいです。
後遺障害慰謝料についてはすでに解説したので、ここでは逸失利益について紹介しておきます。

なお、人身事故による損害賠償金全体について知りたい場合は、『交通事故|人身事故の賠償金相場と計算方法!』をご覧ください。

後遺障害が残ると逸失利益も請求できる

後遺障害が残ったことで異動や転職を余儀なくされたり、将来の出世が難しくなったりして減ってしまう生涯収入は、後遺障害逸失利益として補償されます。
逸失利益も後遺障害慰謝料と同様、後遺障害等級が認定されれば請求できます。

逸失利益とは

後遺障害逸失利益の計算方法

後遺障害逸失利益は、次の式で計算できます。

収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数

少し専門的な用語が出てきたので、詳しく見ていきましょう。

労働能力喪失率

労働能力喪失率とは、後遺障害によってどれだけの労働能力が失われるかを示した割合のことです。労働能力喪失率は、後遺障害等級ごとに目安が決められています。

等級労働能力喪失率
1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

ライプニッツ係数

ライプニッツ係数とは、後遺障害逸失利益を預金・運用した場合に生じる利益を、支払い時にあらかじめ差し引くために使う係数です。
ライプニッツ係数は、労働能力喪失期間に応じて決まっています。
労働能力喪失期間は基本的に、症状固定時~67歳の年数と考えてください。

労働能力喪失期間ライプニッツ係数
1年0.97
5年4.58
10年8.53
20年14.88
30年19.60

※2020年4月1日以降の事故に対するライプニッツ係数

後遺障害逸失利益に関する注意点

むちうちで後遺障害14級9号または12級13号に認定された場合、労働能力喪失期間は14級9号で上限5年後遺障害12級13号で上限10年とされる可能性が高です。

また、被害者が症状固定時18歳未満であった場合は、18歳以上の場合とはライプニッツ係数が異なるので注意しましょう。

逸失利益の詳しい計算方法は、『逸失利益の計算|後遺障害14級や12級の逸失利益はいくら?』をお役立てください。

慰謝料計算機で慰謝料・逸失利益の相場を今すぐ確認

慰謝料計算機を使えば、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益、入通院慰謝料などの見込み額が簡単にわかります。
計算機の結果は弁護士基準の金額です。実情に応じて更なる増額が可能な場合もありますので、一度弁護士に確認することをおすすめします。

被害者の症状に応じた慰謝料の相場を知りたい方は「交通事故の慰謝料相場|症状別の相場金額を網羅!」をご覧ください。

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後遺障害慰謝料がもらえるよう、被害者請求をサポートします

後遺障害等級を獲得するためには、被害者請求で認定の申請をする方がおすすめです。しかし、被害者請求をしたいと考えている方の中には、次のような不安をもっている方もいらっしゃいます。

  • 仕事や育児、後遺障害の状態により、必要資料全てを自分で集めるのは難しい
  • 事前に書類の内容を確認できても、それでいいのか改善すべき点があるのかわからない
  • どんな書類を追加すればいいのかわからない

こうした場合は、弁護士にご相談ください。
弁護士は、示談交渉の代理だけではなく後遺障害等級認定の申請サポートも行っています。実際の経験から、診断書の記載をどのように改善するべきなのか、どのような書類を添付するべきなのかというアドバイスが可能です。
また、必要書類の用意も弁護士が行うので、被害者請求のデメリット「手間がかかる」という点も解消されます。

適切な後遺障害慰謝料を得るためには、適切な後遺障害等級の獲得が必須です。
ぜひ弁護士にご相談ください。

適正な後遺障害慰謝料にむけて増額交渉します

後遺障害慰謝料の金額は、最終的には示談交渉によって決めるものです。
示談交渉相手となる加害者側の任意保険会社は、基本的に低めの金額を提示してきます。そのため、適切な金額を獲得するためには、増額交渉が必須です。

しかし、被害者が増額交渉しても十分に増額してもらえない可能性が高いでしょう。法律や示談交渉のプロである弁護士が示談交渉を代理することで、加害者側の任意保険会社の態度も軟化し、増額に成功する可能性が高まります。

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アトム法律事務所では、電話やLINEでの無料相談が可能です。
電話・LINEでの相談なら、事務所まで出向く必要もないため、ご自宅や勤務先でお話いただくことが可能です。
また、無料なので費用の心配も必要ありません。

相談のあとに依頼まで進むと弁護士費用がかかりますが、弁護士費用特約を使えば実質無料です。もちろん、無料相談をご利用いただいた際に契約を迫ることはありません。
無料相談のみのご利用も可能ですので、お気軽にご連絡ください。

関連記事

交通事故の弁護士費用特約とは?

アトム法律事務所の増額事例3選

最後に、アトム法律事務所における実績を紹介します。
弁護士の介入がなければ以下のような示談金の大幅増額は難しいです。
まずは適正な示談金額を確認するために、無料相談を利用してみてください。

事例(1)

示談金96万円から966万円へ増額
後遺障害等級:14級
症状:足小指の神経症状

事例(2)

示談金621万円から2300万円へ増額
後遺障害等級:10級
症状:左肩の可動域制限

事例(3)

示談金1085万円から2207万円へ増額
後遺障害等級:12級
症状:膝の可動域制限

まとめ

ここまで、後遺障害慰謝料がもらえる後遺障害の症状、後遺障害慰謝料の金額、後遺障害等級を獲得するポイントを解説していきました。適切な等級を認定され、十分な後遺障害慰謝料を獲得するためにも、まずはお気軽に弁護士までご相談ください。

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点