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知的財産権侵害とは?-ネット画像や他社技術の無断利用は違法です。

2023.10.26

質問きてた

質問

ネット画像や他社技術の無断利用は違法?

結論

犯罪・不法行為です

この不正の具体例

著名キャラクターの衣装を許可なしに貸し出す
他社商品に類似した商品を販売する
ネット上の写真を無断で広報誌やサイトに利用する

かんたん解説

ネット画像や他社技術を無断で利用して著作権などを侵害することは、知的財産権侵害で社内不正の典型例の一つです。著名なキャラクターの衣装を許可なしに貸し出す、ネット上の写真を無断で広報誌に使用する、いずれの場合も著作権法違反の罪に問われる場合があります。

「知らなかった」「大丈夫だと思った」という言い訳は通用せず、損害賠償を請求されて大事件に発展する ケースもあります。

有名事件3選

法律事務所ネット画像無断利用事件

弁護士法人ボストン法律経済事務所の従業員が、2013~2014年にかけ、ネット上で取得した画像を事務所ホームページに利用した。著作権者のストックフォト会社らが無断利用に気づいて民事訴訟を起こし、著作権侵害で事務所側に約20万円の賠償金支払いが命じられた。

大学副学長による単独特許申請事件

京都工芸繊維大の副学長が、2015~2017年、大学と共同取得した医療製品に関する特許を、自身が設立した企業の単独特許と偽り、使用権を英国企業に独占させる契約を締結。また、大学が単独出願する予定の別特許について、大学を外して出願して権利を喪失させた。問題発覚後、副学長は懲戒解雇。

県職員によるヒラマサ写真の著作権侵害事件

大分県職員が、2012年6月、ネット上で見つけたヒラマサの写真を無断で内部資料に利用した。2014年1月、他の職員が県の水産広報誌に掲載するため、当該画像を再利用した。写真家から著作権侵害を指摘されて発覚。県は使用料と賠償金の49万28円を支払った。

やった人の責任

一般論として、社内不正を行った人には、刑事責任・民事責任・懲戒責任という三つの責任が生じる可能性があります。

知的財産権侵害
刑事責任 民事責任 懲戒責任
懲戒や罰金を受ける責任 損害賠償金を払う責任 解雇や減給の処分を受ける責任
著作権法119条など 民法709条 各社の就業規則

刑事責任

刑事責任は、罪を犯したときに、国に対して負う責任です。

警察に逮捕・検挙された後、検察に起訴されて、裁判所に有罪と判断されれば、懲役や罰金といった刑を受けることとなります。

被害が大きければ、懲役実刑となることもあります。

刑事責任に関する法律やルール

著作権法(119条)など

著作権法(119条)
著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者……は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

特許法(196条)
特許権又は専用実施権を侵害した者……は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

民事責任

民事責任は、被害者である会社または個人に対して負う責任です。最も重要なのは損害賠償責任です。

賠償すべき範囲は著作権侵害により発生した金銭的被害についての直接損害だけでなく、対応時間のロスや信用低下による損失などの間接損害も含まれ、想像以上に多額に渡る場合もあります。

民事責任に関する法律やルール

不法行為(民法709条)

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

懲戒責任

懲戒責任は、会社に対して負う責任です。その内容は、会社ごとの就業規則で定められています。不正行為の結果の重大性に応じて、懲戒解雇、降格、出勤停止、減給、戒告などの処分が下されます。

会社に大損をさせる不正、犯罪になる不正をはたらいたときは、最も重い解雇になるケースが多いです。

懲戒責任に関する法律やルール

懲戒の事由(厚労省モデル就業規則64条2項)

労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。
⑤ 故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき
⑥ 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき

※会社ごと異なる

処分の実例

他社キャラクターの衣装を無断利用し5000万円の損害賠償
特許侵害で2つの訴訟で15億円の損害賠償
ネット上の写真を無断使用し約50万円の損害賠償

アトム法律事務所からのメッセージ

社長や法務部の方へ

知的財産権侵害は、権利の侵害が発覚すると会社名まで報道されやすく、社内外の信頼を大きく損ないます。未然に防ぐために、アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】の導入をご検討ください。

社内不正を目撃した方へ

同僚や上司の知的財産権侵害を目撃した方は、職場の信頼できる人に相談しましょう。アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】導入済みの会社なら、同ツールも活用してください。

社内不正をしてしまった方へ

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