目次
質問きてた
質問
嫌がる相手に肉体関係を求めるなどの性的な言動は違法?
結論
犯罪・不法行為です
この不正の具体例
就活生に合格の見返りとして身体の関係を要求する
会社関係者にLINEで性的なメッセージを送る
部下に自分の性欲について発言をする
かんたん解説
嫌がる相手に肉体関係を求めたり、下着や胸などの話をしたりすることは社内不正の典型例の一つです。
就活生に身体の関係を要求する、会社関係者にLINEで性的なメッセージを送る、いずれもセクハラとして訴えられると不法行為となる可能性があります。
「互いに好意があった」「別に嫌がってはいなかった」という言い訳は通用せず、損害賠償を請求されて大事件に発展するケースもあります。
有名事件3選
就職活動「合格の見返り」セクハラ事件
トヨタ系列企業アイシンAWの男性社員が、2015年、採用試験を受けた女性にセクハラをした。LINEなどで合格の見返りに肉体関係を迫った。女性が断ると「会社の内定は絶対にさせない」といった連絡が届き不採用になった。女性が損害賠償訴訟を起こし発覚。男性社員は社内処分を受け退職。
芸能マネージャーLINEセクハラ事件
芸能事務所マネージャーの男性が2019年1月~2020年4月、所属していた女性にLINEで性的な内容のメッセージを送信した。メッセージは計135件で「まずはパンツを脱いでください」などの内容。女性が所属事務所に対して損害賠償請求し発覚。芸能事務所は66万円の損害賠償命令を受けた。
海遊館「俺の性欲は年々増す」発言事件
海遊館の社員2名が、2012~2013年にわたり、女性従業員に対してセクハラ発言を繰り返した。「俺の性欲は年々増すねん」「結婚もせんで親泣くで」などの発言をした。退職にあたり女性が会社に申告し発覚。2名は10~30日の出勤停止の懲戒処分を受け、係長に降格した。
やった人の責任
一般論として、社内不正を行った人には、刑事責任・民事責任・懲戒責任という三つの責任が生じる可能性があります。
セクハラ | ||
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刑事責任 | 民事責任 | 懲戒責任 |
懲戒や罰金を受ける責任 | 損害賠償金を払う責任 | 解雇や減給の処分を受ける責任 |
刑法223条(強要罪)など | 民法709条 | 各社の就業規則 |
刑事責任
刑事責任は、罪を犯したときに、国に対して負う責任です。
警察に逮捕・検挙された後、検察に起訴されて、裁判所に有罪と判断されれば、懲役や罰金といった刑を受けることとなります。
被害が大きければ、懲役実刑となることもあります。
刑事責任に関する法律やルール
強要罪(第223条1項)など
強要罪(刑法223条1項)
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
侮辱罪(刑法231条)
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
民事責任
民事責任は、被害者または会社に対して負う責任です。最も重要なのは損害賠償責任です。
賠償すべき範囲はセクハラの被害者に対する直接損害だけでなく、対応時間のロスや信用低下による損失などの間接損害も含まれ、想像以上に多額に渡る場合もあります。
民事責任に関する法律やルール
不法行為(民法709条)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
懲戒責任
懲戒責任は、会社に対して負う責任です。その内容は、会社ごとの就業規則で定められています。不正行為の結果の重大性に応じて、懲戒解雇、降格、出勤停止、減給、戒告などの処分が下されます。
会社に大損をさせる不正、犯罪になる不正をはたらいたときは、最も重い解雇になるケースが多いです。
懲戒責任に関する法律やルール
懲戒の事由(厚労省モデル就業規則64条2項)
労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。
⑤ 故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき
⑥ 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき
※会社ごと異なる
処分の実例
就活生に身体の要求をし、社内処分で辞職
女性に訴えられ芸能事務所が66万円の損害賠償
部下にセクハラ発言をして停職の懲戒処分、降格
アトム法律事務所からのメッセージ
社長や法務部の方へ
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社内不正を目撃した方へ
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