目次
質問きてた
質問
業務の放棄や不適切なSNS投稿は違法?
結論
犯罪・不法行為です
この不正の具体例
電車車掌が乗客の写真を撮影し投稿する
パイロットがコックピットの景色を撮影し投稿する
郵便局員が郵便物を配達せずに廃棄する
かんたん解説
従業員が勤務先に言動やSNS投稿などで迷惑かける、いわゆる従業員テロは社内不正の典型例の一つです。ネット炎上で職場に損害を与えれば不法行為、業務妨害罪となる場合があります。
「冗談のつもりだった」「SNSでいいねが欲しかった」という言い訳は通用せず、損害賠償を請求されて大事件に発展するケースもあります。
有名事件3選
有楽町線車掌が車両撮影SNS投稿事件
東京メトロの車掌が、2019~2021年、乗務中に業務用端末で車両内の写真を撮影し、Twitterに投稿。車内で飲酒している乗客や一人で幅を取って座っている乗客らを撮影。会社に「知人が写った写真が投稿されている」と申し出があり発覚。会社は車掌を厳正に処分すると発表。
LCC副操縦士SNS炎上事件
スカイマークの男性副操縦士が、2020年12月、乗務中に私物のスマホでコックピットの景色を撮影し、Twitterに投稿。会社は国交省から厳重注意を受け、副操縦士は乗務停止処分と降職処分を受けた。また、機長も責任を問われて乗務停止処分とけん責となった。
郵便局員「配達が面倒」郵便物廃棄事件
大阪府の男性郵便局員が、2021年9月~2022年1月、配達すべき郵便物計13000通を配達しなかった。郵便物は雑木林に放棄したほか、自宅に隠していた。局員が警察から郵便物の放棄容疑で逮捕されて発覚。局員は郵便法違反で懲役1年(執行猶予3年)の有罪判決を受け、懲戒解雇された。
やった人の責任
一般論として、社内不正を行った人には、刑事責任・民事責任・懲戒責任という三つの責任が生じる可能性があります。
従業員テロ | ||
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刑事責任 | 民事責任 | 懲戒責任 |
懲戒や罰金を受ける責任 | 損害賠償金を払う責任 | 解雇や減給の処分を受ける責任 |
刑法233条(業務妨害罪)など | 民法709条 | 各社の就業規則 |
刑事責任
刑事責任は、罪を犯したときに、国に対して負う責任です。
警察に逮捕・検挙された後、検察に起訴されて、裁判所に有罪と判断されれば、懲役や罰金といった刑を受けることとなります。
被害が大きければ、懲役実刑となることもあります。
刑事責任に関する法律やルール
偽計業務妨害罪(刑法233条)など
偽計業務妨害罪(刑法233条)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
威力業務妨害罪(刑法234条)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
民事責任
民事責任は、被害者である会社に対して負う責任です。最も重要なのは損害賠償責任です。
賠償すべき範囲は従業員テロにより発生した金銭的被害についての直接損害だけでなく、対応時間のロスや信用低下による損失などの間接損害も含まれ、想像以上に多額に渡る場合もあります。
民事責任に関する法律やルール
不法行為(民法709条)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
懲戒責任
懲戒責任は、会社に対して負う責任です。その内容は、会社ごとの就業規則で定められています。不正行為の結果の重大性に応じて、懲戒解雇、降格、出勤停止、減給、戒告などの処分が下されます。
会社に大損をさせる不正、犯罪になる不正をはたらいたときは、最も重い解雇になるケースが多いです。
懲戒責任に関する法律やルール
懲戒の事由(厚労省モデル就業規則64条2項)
労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。
⑤ 故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき
⑥ 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき
※会社ごと異なる
処分の実例
業務用端末で車両内の写真を撮影し厳正処分
コックピットの写真を撮影し乗務停止と降格処分
郵便物を配達せず懲戒解雇、有罪判決
アトム法律事務所からのメッセージ
社長や法務部の方へ
従業員テロでネット炎上すれば、会社としての管理能力が疑われ顧客の信頼を大きく損ないます。未然に防ぐために、アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】の導入をご検討ください。
社内不正を目撃した方へ
同僚や上司の従業員テロを目撃した方は、職場の信頼できる人に相談しましょう。アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】導入済みの会社なら、同ツールも活用してください。
社内不正をしてしまった方へ
すぐ職場の信頼できる人や警察に打ち明けることが、職場だけでなく、あなたにとっても有益です。自首の方法などでお悩みなら、アトム法律事務所の弁護士にご相談ください。