目次
質問きてた
質問
会社のトイレや更衣室を隠れて撮影するのは犯罪?
結論
盗撮(撮影罪)です
この不正の具体例
トイレに小型カメラを設置して撮影する
更衣室にスマホを設置して同僚の着替えを撮影する
スマホをトイレの個室に差し入れて撮影する
かんたん解説
会社内のトイレや更衣室などを隠れて撮影する行為は社内不正の典型例の一つです。小型カメラを設置してトイレを撮影する 、スマホを設置し同僚の着替えを撮影する、いずれも撮影罪となる可能性があります。
「魔が差した」「出来心だった」という言い訳は通用せず、損害賠償を請求されて大事件に発展するケースもあります。
有名事件3選
長谷工建設現場の女子トイレ盗撮事件
長谷工の男性現場リーダーが、2018年12月、マンション建築現場の事務所トイレに小型カメラを設置し、女性作業員を盗撮した。女性がトイレ内でカメラを発見して発覚。その場に駆け付けた警察官に対し、男性は犯行を否定していたが、数日後自ら署に出頭。男性は諭旨解雇となった。
郵便局員着替え盗撮事件
熊本県内の郵便局員の男が、2021年9月、局内の更衣室と休憩室を兼ねた場所で盗撮をした。スマホを録画状態にして立て掛け、女性局員の着替えを盗撮した疑い。女性がスマホを発見し発覚した。男性は逮捕されたが容疑を否認している。
政府職員国会内トイレ盗撮事件
経済産業省職員が2021年4月、国会議事堂内でトイレの個室を使用していた女性を盗撮した。職員は隣の個室の上からスマホを差し入れて撮影。女性が撮影に気づき声をあげると職員はその場から逃走した。女性が被害届を提出し事件が発覚。職員は書類送検された。停職9か月の懲戒処分。
やった人の責任
一般論として、社内不正を行った人には、刑事責任・民事責任・懲戒責任という三つの責任が生じる可能性があります。
盗撮 | ||
---|---|---|
刑事責任 | 民事責任 | 懲戒責任 |
懲戒や罰金を受ける責任 | 損害賠償金を払う責任 | 解雇や減給の処分を受ける責任 |
迷惑防止条例違反 | 民法709条 | 各社の就業規則 |
刑事責任
刑事責任は、罪を犯したときに、国に対して負う責任です。
警察に逮捕・検挙された後、検察に起訴されて、裁判所に有罪と判断されれば、懲役や罰金といった刑を受けることとなります。
被害が大きければ、懲役実刑となることもあります。
刑事責任に関する法律やルール
撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)2条
次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(略)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
二 (以下略)
民事責任
民事責任は、被害者または会社に対して負う責任です。最も重要なのは損害賠償責任です。
賠償すべき範囲は盗撮の被害者に対する直接損害だけでなく、会社が対応した時間のロスや信用低下による損失などの間接損害も含まれ、想像以上に多額に渡る場合もあります。
民事責任に関する法律やルール
不法行為(民法709条)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
懲戒責任
懲戒責任は、会社に対して負う責任です。その内容は、会社ごとの就業規則で定められています。不正行為の結果の重大性に応じて、懲戒解雇、降格、出勤停止、減給、戒告などの処分が下されます。
会社に大損をさせる不正、犯罪になる不正をはたらいたときは、最も重い解雇になるケースが多いです。
懲戒責任に関する法律やルール
懲戒の事由(厚労省モデル就業規則64条2項)
労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。
⑤ 故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき
⑥ 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき
※会社ごと異なる
処分の実例
トイレに小型カメラを設置し解雇
女子トイレに侵入し停職9か月の懲戒処分
郵便局員がトイレ盗撮未遂で懲戒解雇
アトム法律事務所からのメッセージ
社長や法務部の方へ
盗撮は、犯行が発覚すると会社名まで報道されやすく、社内外の信頼を大きく損ないます。未然に防ぐために、アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】の導入をご検討ください。
社内不正を目撃した方へ
同僚や上司の盗撮行為を目撃した方は、職場の信頼できる人に相談しましょう。アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】導入済みの会社なら、同ツールも活用してください。
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