社内不正のニュース情報

準強制わいせつとは?-抵抗できない相手へのわいせつ行為は犯罪です。

2023.10.26

質問きてた

質問

抵抗できない相手へのわいせつ行為は犯罪?

結論

不同意わいせつ罪です

この不正の具体例

治療で目が覆われている相手にキスをする
睡眠薬を飲ませ、服を脱がせて裸にする
お酒を飲ませ、抵抗できない状態で胸を触る

かんたん解説

宴会やイベントの場であっても、抵抗できない相手へのわいせつ行為は犯罪です。お酒を飲ませ抵抗できない状態で胸を触る、睡眠薬を使用し裸にする、いずれの場合も不同意わいせつ罪となる場合があります。

「嫌がっていなかった」「2人ともお酒に酔っていた」などの言い訳は通用せず、損害賠償を請求されて大事件に発展するケースもあります。

有名事件3選

デンタルクリニック目隠しキス事件

宇都宮市の歯科医師が、2018年12月、勤務していたクリニックの診療室内でわいせつ行為をした。歯科医は女性の目をタオルで覆い、治療中に複数回キスをした。女性が「先生を替えてほしい」と受付に相談し事件が発覚。歯科医は懲役1年2カ月の実刑判決。

睡眠薬入りの酒でわいせつ事件

神奈川県の薬局に勤務する薬剤師の男性が、2021年7月、部下の女性にわいせつ行為をした。男性宅で睡眠薬が入ったお酒を飲ませ、送り届けた女性宅で眠っている女性の衣服を脱がせた。翌朝、裸で寝ていたことに気づいた女性が警察に通報して発覚。男性は準強制わいせつ罪(当時)で逮捕された。

毎日放送社員飲酒後に性的暴行事件

毎日放送の社員が、2022年5月、京都市内の自宅で男子大学生に酒を飲ませ、抵抗できない状態にさせて性的暴行を加えた。2人は交流サイト(SNS)で知り合った。社員は容疑を認め準強制わいせつ罪(当時)で逮捕。同社は「事実関係を確認したうえで、厳正に処分します」とコメントした。

やった人の責任

一般論として、社内不正を行った人には、刑事責任・民事責任・懲戒責任という三つの責任が生じる可能性があります。

準強制わいせつ
刑事責任 民事責任 懲戒責任
懲戒や罰金を受ける責任 損害賠償金を払う責任 解雇や減給の処分を受ける責任
刑法178条 民法709条 各社の就業規則

刑事責任

刑事責任は、罪を犯したときに、国に対して負う責任です。

警察に逮捕・検挙された後、検察に起訴されて、裁判所に有罪と判断されれば、懲役や罰金といった刑を受けることとなります。

被害が大きければ、懲役実刑となることもあります。

刑事責任に関する法律やルール

不同意わいせつ罪(刑法176条)

次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。

一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。  
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。

3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

民事責任

民事責任は、被害者または会社に対して負う責任です。最も重要なのは損害賠償責任です。

賠償すべき範囲は準強制わいせつの被害者に対する直接損害だけでなく、会社が対応した時間のロスや信用低下による損失などの間接損害も含まれ、想像以上に多額に渡る場合もあります。

民事責任に関する法律やルール

不法行為(民法709条)

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

懲戒責任

懲戒責任は、会社に対して負う責任です。その内容は、会社ごとの就業規則で定められています。不正行為の結果の重大性に応じて、懲戒解雇、降格、出勤停止、減給、戒告などの処分が下されます。

会社に大損をさせる不正、犯罪になる不正をはたらいたときは、最も重い解雇になるケースが多いです。

懲戒責任に関する法律やルール

懲戒の事由(厚労省モデル就業規則64条2項)

労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。
⑤ 故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき
⑥ 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき

※会社ごと異なる

処分の実例

施術中の患者にキスをして1年2か月の懲役刑
睡眠薬を飲ませた女性の服を脱がして逮捕
お酒を飲ませてから性的暴行をして逮捕

アトム法律事務所からのメッセージ

社長や法務部の方へ

旧準強制わいせつは、犯行が発覚すると会社名まで報道されやすく、社内外の信頼を大きく損ないます。未然に防ぐために、アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】の導入をご検討ください。

社内不正を目撃した方へ

同僚や上司の準強制わいせつ行為を目撃した方は、職場の信頼できる人に相談しましょう。アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】導入済みの会社なら、同ツールも活用してください。

社内不正をしてしまった方へ

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