目次
質問きてた
質問
無理やりキスしたり抱き着いたりする行為は犯罪?
結論
不同意わいせつ罪です
この不正の具体例
嫌がる相手の体を押さえつけて胸や下半身を触る
無理やり相手の服の上から身体を触る
強引に手を握りキスをする
かんたん解説
無理やりキスしたり抱き着いたりする行為は、社内不正の典型例の一つです。嫌がる相手の体を押さえつけて胸や下半身を触る、無理やり相手の服の上から身体を触る、いずれの場合も不同意わいせつ罪となる場合があります。
「同意があると思った」「好意があった」などの言い訳は通用せず、損害賠償を請求されて大事件に発展するケースもあります。
有名事件3選
積水ハウス下請け部下へのわいせつ事件
積水ハウスの社員2人が、2021年10月、下請け企業の30代女性に対しわいせつ行為をした。バーで飲酒中、社員2人は女性に上着とシャツを着たままブラジャーを脱ぐよう指示し、胸やスカートの中などを触った。女性が警察に被害届を提出し発覚。社員2人は容疑を一部認め、11月に逮捕。
エイブル内見中強制わいせつ事件
エイブルの社員が、2021年4月、福岡市内の物件を内見中、女性客に対しわいせつ行為をした。社員はマンションの一室で2人きりになったすきを狙い女性の身体を触った。女性が被害届を警察に提出し発覚。社員は懲戒解雇された後、強制わいせつ罪(当時)で逮捕、起訴された。
海上自衛隊隊員ほほにキス事件
鹿児島県の海上自衛隊男性隊員が、2021~2022年にかけて女性隊員に対してわいせつ行為をした。私有車で2度女性隊員の手を握ったほか、頬に無理やりキスをした。女性隊員が上司に報告したことで発覚。男性隊員は「感情を抑えることができなかった」と認め、停職4か月の懲戒処分を受けた。
やった人の責任
一般論として、社内不正を行った人には、刑事責任・民事責任・懲戒責任という三つの責任が生じる可能性があります。
強制わいせつ | ||
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刑事責任 | 民事責任 | 懲戒責任 |
懲戒や罰金を受ける責任 | 損害賠償金を払う責任 | 解雇や減給の処分を受ける責任 |
刑法176条 | 民法709条 | 各社の就業規則 |
刑事責任
刑事責任は、罪を犯したときに、国に対して負う責任です。
警察に逮捕・検挙された後、検察に起訴されて、裁判所に有罪と判断されれば、懲役や罰金といった刑を受けることとなります。
被害が大きければ、懲役実刑となることもあります。
刑事責任に関する法律やルール
不同意わいせつ罪(刑法176条)
次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
民事責任
民事責任は、被害者または会社に対して負う責任です。最も重要なのは損害賠償責任です。
賠償すべき範囲は強制わいせつの被害者に対する直接損害だけでなく、会社が対応した時間のロスや信用低下による損失などの間接損害も含まれ、想像以上に多額に渡る場合もあります。
民事責任に関する法律やルール
不法行為(民法709条)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
懲戒責任
懲戒責任は、会社に対して負う責任です。その内容は、会社ごとの就業規則で定められています。不正行為の結果の重大性に応じて、懲戒解雇、降格、出勤停止、減給、戒告などの処分が下されます。
会社に大損をさせる不正、犯罪になる不正をはたらいたときは、最も重い解雇になるケースが多いです。
懲戒責任に関する法律やルール
懲戒の事由(厚労省モデル就業規則64条2項)
労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。
⑤ 故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき
⑥ 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき
※会社ごと異なる
処分の実例
下請け社員の胸や陰部を触り逮捕
勤務中に客の体を触り懲戒解雇、逮捕
部下の頬に強引にキス、懲戒停職
アトム法律事務所からのメッセージ
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