社内不正のニュース情報

名誉毀損とは?-会社や同僚の社会的評価を下げることは違法です。

2023.10.26

質問きてた

質問

会社や同僚の社会的評価を下げることは犯罪?

結論

名誉毀損罪です

この不正の具体例

会社の評判を落とす目的で悪口をネット投稿する
同僚の論文を酷評するコメントをネット投稿する
悪意に満ちた表現で会社の評価をブログに記載する

かんたん解説

会社や同僚の社会的評価を下げることは、社内不正の典型例の一つです。会社の評判を落とす目的で悪口をネット投稿する、悪意に満ちた表現で会社の評価をブログに記載する、いずれの場合も名誉毀損罪です。

「SNSで特定の人にしか見られない場所だった」「事実を言っただけだ」という言い訳は通用せず、逮捕・起訴されて大事件に発展するケースもあります。

有名事件3選

リソー教育「循環取引」名誉毀損事件

リソー教育の社員が、2018年頃、ネットに「リソー教育子会社が違法な循環取引」などと投稿。内容には事実もあったが、虚偽の情報も含まれていた。発信者情報開示請求により、一部が社員の投稿と特定。社員は懲戒解雇後に逮捕され、20万円の罰金刑。民事訴訟で185万円の損害賠償命令を受けた。

大学准教授「偽装論文」誹謗中傷事件

帝京平成大学の准教授が、2015年頃、同僚の論文の不備を明らかにしようとして「偽装論文」などとネットに投稿した。発信者情報開示請求により投稿者が特定され、准教授は懲戒解雇。裁判で投稿内容は名誉毀損にあたるが、軽い処分で反省を促さずに懲戒解雇した点が違法となり解雇無効となった。

日経新聞「古く汚れた」誹謗中傷事件

日経新聞記者社員が、1999年頃、記者として得た取材情報などを勝手にブログに公開し「古く汚れた組織」などと会社を中傷する内容の記事を投稿した。ブログに気づいた会社がHPへの掲載を止めるように注意をしたが、指示に背いたため、社員は14日間の解雇以外の懲戒処分を受け、その後退職した。

やった人の責任

一般論として、社内不正を行った人には、刑事責任・民事責任・懲戒責任という三つの責任が生じる可能性があります。

名誉毀損
刑事責任 民事責任 懲戒責任
懲戒や罰金を受ける責任 損害賠償金を払う責任 解雇や減給の処分を受ける責任
刑法230条 民法709条 各社の就業規則

刑事責任

刑事責任は、罪を犯したときに、国に対して負う責任です。

警察に逮捕・検挙された後、検察に起訴されて、裁判所に有罪と判断されれば、懲役や罰金といった刑を受けることとなります。

被害が大きければ、懲役実刑となることもあります。

刑事責任に関する法律やルール

名誉毀損罪(刑法230条1項)など

名誉毀損罪(刑法230条1項)
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

公共の利害に関する場合の特例(刑法230条の2)
前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、……これを罰しない。

民事責任

民事責任は、被害者である会社・または個人に対して負う責任です。最も重要なのは損害賠償責任です。

賠償すべき範囲は名誉毀損により発生した金銭的被害についての直接損害だけでなく、対応時間のロスや信用低下による損失などの間接損害も含まれ、想像以上に多額に渡る場合もあります。

民事責任に関する法律やルール

不法行為(民法709条)

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

懲戒責任

懲戒責任は、会社に対して負う責任です。その内容は、会社ごとの就業規則で定められています。不正行為の結果の重大性に応じて、懲戒解雇、降格、出勤停止、減給、戒告などの処分が下されます。

会社に大損をさせる不正、犯罪になる不正をはたらいたときは、最も重い解雇になるケースが多いです。

懲戒責任に関する法律やルール

懲戒の事由(厚労省モデル就業規則64条2項)

労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。
⑤ 故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき
⑥ 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき

※会社ごと異なる

処分の実例

会社の悪口投稿で懲戒解雇、20万円の罰金刑
会社の経営状況などを揶揄する投稿で懲戒降格
悪意のある表現で会社を評価し、停職処分

アトム法律事務所からのメッセージ

社長や法務部の方へ

名誉毀損のコメントや誹謗中傷がネットに投稿されると、内容が事実かどうかに関わらず、会社の評判や社会的な信頼を大きく損ないます。未然に防ぐために、アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】の導入をご検討ください。

社内不正を目撃した方へ

同僚や上司の名誉毀損を目撃した方は、職場の信頼できる人に相談しましょう。アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】導入済みの会社なら、同ツールも活用してください。

社内不正をしてしまった方へ

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