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質問きてた
質問
他の従業員の物や客先の物を持ち出して売ったら犯罪?
結論
窃盗罪です
この不正の具体例
他の従業員のスマホを持ち出して自分の物にする
客先の高級時計を持ち出して質屋で売る
管理下にない在庫品を持ち出してネットで売る
かんたん解説
他の従業員の物や客先の物を勝手に持ち出す行為は、社内不正の典型例の一つです。自分で使う、質屋で売る、ネットで売る、いずれの場合でも持ち出した時点で窃盗罪です。
「出来心だった」「貴重品を放置する人が悪い」という言い訳は通用せず、逮捕・起訴されて大事件に発展するケースもあります。
有名事件3選
焼津漁港カツオ横流し事件
焼津港の計量係の漁協職員らが、2021年2月、冷凍カツオ100万円相当を業者に横流しして報酬を得たとして窃盗容疑で逮捕され、懲戒解雇となった。捜査により、同漁協の抜取りは20年以上前から横行し、被害総額は数十億円となる疑いが生じた。2022年7月、真相解明のための裁判が続く。
成田入管職員ロッカー窃盗事件
成田空港の入管職員が、2021年10~12月、職場のロッカーにあった他の職員のネクタイや現金数万円を盗んだ。同職員は2022年3月にも窃盗未遂事件を起こして逮捕されており、それがきっかけで過去の窃盗が判明した。その結果、同職員は懲戒免職となり、入管支局長が謝罪する騒動に発展した。
セコム客先の高級腕時計窃盗事件
セコムの社員が、2019年9月、警報機が鳴った兵庫県内の客宅に立入り、誤作動を確認した後に、高級腕時計や貴金属を持ち帰り、窃盗で逮捕された。同社員は別の住宅でも窃盗を繰り返している容疑で再逮捕・起訴され、懲戒解雇となった。国交省がセコムの公共事業入札を停止する事態に発展した。
やった人の責任
一般論として、社内不正を行った人には、刑事責任・民事責任・懲戒責任という三つの責任が生じる可能性があります。
窃盗罪 | ||
---|---|---|
刑事責任 | 民事責任 | 懲戒責任 |
懲戒や罰金を受ける責任 | 損害賠償金を払う責任 | 解雇や減給の処分を受ける責任 |
刑法235条 | 民法709条 | 各社の就業規則 |
刑事責任
刑事責任は、罪を犯したときに、国に対して負う責任です。
警察に逮捕・検挙された後、検察に起訴されて、裁判所に有罪と判断されれば、懲役や罰金といった刑を受けることとなります。
被害が大きければ、懲役実刑となることもあります。
刑事責任に関する法律やルール
窃盗罪(刑法235条)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
民事責任
民事責任は、窃盗の被害者や会社に対して負う責任です。最も重要なのは、損害賠償責任です。
賠償すべき範囲は、窃盗した物の実費や修理費用などの直接損害だけでなく、営業機会減による逸失利益、対応時間のロスや信用低下による損失などの間接損害も含まれ、想像以上に多額に渡る場合もあります。
民事責任に関する法律やルール
不法行為(民法709条)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
懲戒責任
懲戒責任は、会社に対して負う責任です。その内容は、会社ごとの就業規則で定められています。不正行為の結果の重大性に応じて、懲戒解雇、降格、出勤停止、減給、戒告などの処分が下されます。
会社に大損をさせる不正、犯罪になる不正をはたらいたときは、最も重い解雇になるケースが多いです。
懲戒責任に関する法律やルール
懲戒の事由(厚労省モデル就業規則64条2項)
労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。
⑤ 故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき
⑥ 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき
※会社ごと異なる
処分の実例
冷凍カツオ横流しで逮捕、懲戒解雇
職場ロッカーで数万円窃盗で懲戒免職
客先での腕時計窃盗で懲戒解雇
アトム法律事務所からのメッセージ
社長や法務部の方へ
職場内や社内での窃盗の横行は、社内外の信頼を大きく損ないます。未然に防ぐために、アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】の導入をご検討ください。
社内不正を目撃した方へ
同僚や上司の窃盗を目撃した方は、職場の信頼できる人に相談しましょう。アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】導入済みの会社なら、同ツールも活用してください。
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