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背任罪とは?-架空取引による着服や賄賂による不正取引は犯罪です

2023.10.26

質問きてた

質問

架空取引による着服や賄賂による不正取引は犯罪?

結論

背任罪です

この不正の具体例

不要経費の水増し発注を行い不正な利益を得る
下請けから自社に架空請求させて、一部を受領する
接待や賄賂の見返りに、不正な取引を行う

かんたん解説

架空発注や賄賂は、社内不正の典型例の一つです。取引先に水増し請求させて自社が支払った金額の一部を着服する、賄賂や接待の見返りに自社サービスの値段を下げる、いずれの場合も背任罪です。

「少額ずつやれば大事にはならないと思った」「懇意にしている取引先なので多少の賄賂は仕方ない」という言い訳は通用せず、逮捕・起訴されて大事件に発展するケースもあります。

有名事件3選

百十四銀行わいろ10億円不正融資事件

百十四銀行九条支店の支店長と課長代理が、2009年頃、賄賂や接待の見返りとして、特定の企業に対し約10億円を不正に融資した。警察の捜査で発覚し両名とも懲戒免職。支店長は特別背任罪で懲役3年10か月の実刑判決、課長代理は特別背任罪で懲役3年(執行猶予4年)の有罪判決を受けた。

大陽日酸架空工事発注4億円背任事件

大陽日酸の営業部長が、2004~2014年にかけて、架空の工事代金を下請け企業に請求させ、自社に損害を与えた。請求代金の一部を下請けから受領し、遊興費に充てていた。損害額は計4億円超。2015年の社内調査で発覚し、部長は懲戒解雇。裁判で懲役3年(執行猶予4年)の有罪判決を受けた。

郵便局部長接待わいろ背任事件

青葉郵便局の部長が、2017年1月~8月にかけて、取引先から接待や賄賂を受ける見返りに郵便料金を過少徴収し、日本郵便に約190万円の損害を与えた。社内調査で不正が発覚し、懲戒解雇。日本郵便株式会社法違反と背任罪で逮捕・起訴され、懲役3年(執行猶予4年)の有罪判決を受けた。

やった人の責任

一般論として、社内不正を行った人には、刑事責任・民事責任・懲戒責任という三つの責任が生じる可能性があります。

背任罪
刑事責任 民事責任 懲戒責任
懲戒や罰金を受ける責任 損害賠償金を払う責任 解雇や減給の処分を受ける責任
刑法247条など 民法709条 各社の就業規則

刑事責任

刑事責任は、国に対して負う刑事責任です。

警察に逮捕・検挙された後、検察に起訴されて、裁判所に有罪と判断されれば、懲役や罰金といった刑を受けることとなります。

被害が大きければ、懲役実刑となることもあります。

刑事責任に関する法律やルール

背任罪(刑法247条)など

背任罪(刑法247条)
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

特別背任罪(会社法960条)
次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 発起人
二 設立時取締役又は設立時監査役
三 取締役、会計参与、監査役又は執行役
四 ・・・(以下略)

民事責任

民事責任は、被害者である会社に対して負う責任です。最も重要なのは、損害賠償責任です。

賠償すべき範囲は、背任行為により発生した金銭的被害についての直接損害だけでなく、営業機会減による逸失利益、対応時間のロスや信用低下による損失などの間接損害も含まれ、想像以上に多額に渡る場合もあります。

民事責任に関する法律やルール

不法行為(民法709条)

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

懲戒責任

懲戒責任は、会社に対して負う責任です。その内容は、会社ごとの就業規則で定められています。不正行為の結果の重大性に応じて、懲戒解雇、降格、出勤停止、減給、戒告などの処分が下されます。

会社に大損をさせる不正、犯罪になる不正をはたらいたときは、最も重い解雇になるケースが多いです。

懲戒責任に関する法律やルール

懲戒の事由(厚労省モデル就業規則64条2項)

労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。
⑤ 故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき
⑥ 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき

※会社ごと異なる

処分の実例

賄賂の見返りに不正融資を行い懲戒免職、有罪判決
下請企業に架空請求させて懲戒解雇、有罪判決
賄賂の見返りに不正取引を行い懲戒解雇、有罪判決

アトム法律事務所からのメッセージ

社長や法務部の方へ

背任行為は習慣的・継続的に行われ、被害総額も大きくなりやすい類型の社内不正です。未然に防ぐために、アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】の導入をご検討ください。

社内不正を目撃した方へ

同僚や上司の背任行為を目撃した方は、職場の信頼できる人に相談しましょう。アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】導入済みの会社なら、同ツールも活用してください。

社内不正をしてしまった方へ

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