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質問きてた
質問
会社のお金の着服や備品の横流しは犯罪?
結論
業務上横領罪です
この不正の具体例
会社口座から送金して自分の口座に入れる
在庫の商品を持ち出してネットで転売する
備品のPCを持ち出して自分の物にする
かんたん解説
会社のお金の着服や備品の横流しをする行為は、社内不正の典型例の一つです。自分の物にする、ネットで売る、いずれの場合も業務上横領罪です。
「返すつもりだった」「不用品かと思った」という言い訳は通用せず、逮捕・起訴されて大事件に発展するケースもあります。
有名事件3選
コインロッカー会社21億円横領事件
コインロッカー事業を営むグローリーサービスの経理社員が、2009~2022年にかけて、金庫の現金を着服したり自身の口座へ送金したりして、遊興費目的で総額約21億円を横領。財務担当が口座を不審に思い、2022年1月に発覚。社員は懲戒解雇され、業務上横領の容疑で刑事告訴された。
マクドナルド7億円横領事件
マクドナルド財務担当の社員が、2019年1月~10月の間に50回程不正に小切手を作成し、総額約7億円を横領。借金返済やFX投資に使用していた。不審に思った同僚が上司に報告して事件が発覚。社員は懲戒解雇され、業務上横領の容疑で逮捕、起訴された。
2700万円分の在庫薬品横領事件
福井勝山総合病院の薬剤科長が2014~2018年にかけて、約600万円相当の治療薬2品目を横領し、第三者に売却していた。2018年6月の監査で薬の使用量や在庫に矛盾が発覚。その他の治療薬8品目についても約2100万円相当の横領が判明し、科長は2018年7月に懲戒解雇された。
やった人の責任
一般論として、社内不正を行った人には、刑事責任・民事責任・懲戒責任という三つの責任が生じる可能性があります。
業務上横領罪 | ||
---|---|---|
刑事責任 | 民事責任 | 懲戒責任 |
懲戒や罰金を受ける責任 | 損害賠償金を払う責任 | 解雇や減給の処分を受ける責任 |
刑法253条 | 民法709条 | 各社の就業規則 |
刑事責任
刑事責任は、罪を犯したときに、国に対して負う責任です。
警察に逮捕・検挙された後、検察に起訴されて、裁判所に有罪と判断されれば、懲役や罰金といった刑を受けることとなります。
被害が大きければ、懲役実刑となることもあります。
刑事責任に関する法律やルール
業務上横領罪(刑法253条)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
民事責任
民事責任は、横領の被害者である会社に対して負う責任です。最も重要なのは、損害賠償責任です。
賠償すべき範囲は、横領したお金や物の実費などの直接損害だけでなく、営業機会減による逸失利益、対応時間のロスや信用低下による損失などの間接損害も含まれ、想像以上に多額に渡る場合もあります。
民事責任に関する法律やルール
不法行為(民法709条)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
懲戒責任
懲戒責任は、会社に対して負う責任です。その内容は、会社ごとの就業規則で定められています。不正行為の結果の重大性に応じて、懲戒解雇、降格、出勤停止、減給、戒告などの処分が下されます。
会社に大損をさせる不正、犯罪になる不正をはたらいたときは、最も重い解雇になるケースが多いです。
懲戒責任に関する法律やルール
懲戒の事由(厚労省モデル就業規則64条2項)
労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。
⑤ 故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき
⑥ 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき
※会社ごと異なる
処分の実例
口座送金等で21億円横領し逮捕、懲戒解雇
不正小切手で7億円横領し逮捕、懲戒解雇
在庫薬品2700万円分を横領し、懲戒解雇
アトム法律事務所からのメッセージ
社長や法務部の方へ
横領は習慣的・継続的に行われ、被害総額も大きくなりやすい類型の社内不正です。未然に防ぐために、アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】の導入をご検討ください。
社内不正を目撃した方へ
同僚や上司の横領を目撃した方は、職場の信頼できる人に相談しましょう。アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】導入済みの会社なら、同ツールも活用してください。
社内不正をしてしまった方へ
すぐ職場の信頼できる人や警察に打ち明けることが、職場だけでなく、あなたにとっても有益です。自首の方法などでお悩みなら、アトム法律事務所の弁護士にご相談ください。