社内不正のニュース情報

内部通報制度を導入するメリットとデメリットを弁護士が解説!

2022.08.31

内部通報制度とは、同僚や上司の法令違反・不正行為を発見した従業員による通報を受けて、その調査や是正措置を行う体制のことです。

社内の法令違反や不正行為を発見した従業員は、上司に直接報告するという通常の報告方法ではなく、企業内外に設置された専用窓口を通じて会社に通報します。

平成28年の消費者庁の調査では、従業員1000人を超える大企業で90%以上が、従業員301~1000人の企業で70%が内部通報制度を導入していました。

2022年6月に施行された改正公益通報者保護法により、内部通報制度の導入が一部で義務化されており、内部通報窓口設置の動きは今後も広がっていくと予測されます。

ここでは、内部通報制度とそのメリットについて解説します。

また、企業が注意すべき法律的なポイントについても紹介しますので、内部通報制度の導入を検討している経営者の方はぜひご参考にしてください。

内部通報制度とは?

内部通報制度の概要

内部通報制度は、企業内の法令違反や不正行為を発見した従業員が一定の要件を満たす通報をした場合に、企業が適切な対応をするための制度・体制のことです。

なお、内部通報制度は公益通報者保護制度とほぼ同じ意味で使われることが多く、どちらも法律上厳密に定義されているわけではありません。

企業の従業員が自社で設置した窓口に通報するための制度が内部通報制度で、会社以外の行政やマスコミに対して通報(内部告発)するための制度全般が公益通報者保護制度となります。

公益通報者保護法では、内部通報制度は「公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制」とされています(改正法11条2項)。

内部通報とはどんな通報か?

内部通報とは公益通報の一種で、法令違反や不正行為を発見した従業員による、社内窓口もしくは社外窓口を通じた通報のことです。

しかし、同僚や上司への悪口や会社への不満などを通報された場合でも調査や是正措置などの対応をしなければならなくなると、会社への負担が非常に大きくなってしまいます。

そこで、公益通報者保護法では、従業員からの内部通報は対応しなければならない内容が限定されています。

内部通報された後の調査や是正措置などが必要になるのは、通報内容が公益通報者保護法における「通報対象事実」に該当する場合に限られています。

「通報対象事実」とは、法令違反行為の中でも、懲役刑や罰金刑、過料などに該当する内容のことです。

内部通報制度の目的

内部通報制度の導入が推奨されている目的は、以下の二つです。

  • 法令遵守の推進や組織の自浄作用の向上に寄与する
  • ステークホルダーや国民からの信頼を獲得する

内部通報制度によりコンプライアンス経営を実現し、リスク管理に適切に取り組むことができるとされています。

内部通報と内部告発の違い

内部通報は「内部公益通報」ともいわれる、公益通報の一種です

公益通報者保護法では、公益通報は次のように定義されています。

不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、……法人の経営に従事している者……、従業員、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を、……通報すること

改正公益通報者保護法2条

内部通報も内部告発も、この公益通報に含まれますが、通報先が異なることが特徴です。

内部通報は、法令違反や不正行為を発見した従業員が、社内窓口もしくは社外窓口を通じて所属する会社に報告することを指します。

一方、内部告発は会社ではない行政機関やマスコミなど、外部機関に通報することを指しています。

内部通報内部告発
通報先会社の専用窓口マスコミや行政機関

内部通報制度を導入するメリット

①社内不正の早期発見と未然防止

内部通報制度を導入することで、不正内容を自社で迅速に把握することができます。

不正行為の早期発見により、自社への被害を最小限に留め、被害者がいる場合には適切に対応することができます。

また、従業員が通報できる制度があることで、ハラスメントの未然防止やコンプライアンス意識の向上効果が見込めます。

②マスコミなどへの告発を防ぎ、事態が大きくなる前に対応できる

内部通報制度がないと、行政機関やマスコミなどに通報(内部告発)されるおそれがあります。

内部告発され、ニュース報道までされてしまうと、企業として対応に追われ、大きな負担を抱えることになります。その前に社内で迅速に処理するためにも、内部通報の仕組みは大いに役立ちます。

過去に発生した社内不正の事例を「社内不正データベース」で紹介しています。あわせてご確認ください。

③法令遵守意識が高い企業だと評価される

内部通報制度の導入により、法令遵守意識が高く、自浄作用のある企業だと社内外から評価されるようになります。

消費者庁によると、取引先の選定にあたって、内部通報制度の整備・運用の状況を考慮している企業は約3割との調査結果が出ています(「平成28年度 民間事業者における内部通報制度の実態調査報告書」67頁)。

内部通報制度の導入は、企業としての社会的評価を高めることになるでしょう。

内部通報制度のデメリット

内部通報制度を導入した場合のデメリットとしては、以下の二点が考えられます。

  • 通報された後の対応を忘れたり放置したりした場合に、従業員からの信頼を失う
  • 従業員に内部通報を促進させるための連絡など、担当者の業務が増えてしまう

いずれも制度が正しく機能しない場合のデメリットですが、制度を適切に運用できれば問題ありません。

既に説明したメリットと照らし合わせると、導入した方が企業にとってプラスになります。

アトム法律事務所の内部通報ツール「コンプラチェッカー」は、従業員の方が通報できる手軽なシステムを提供しています。

内部通報窓口設置の第一歩として、ぜひご利用をご検討ください。

内部通報窓口を設置、運用する際のポイント

①通報者に対する不利益な取り扱いは禁止

改正法では、内部通報を促進するため、内部通報を行った従業員に対する降格や減給などの不利益な取り扱いを禁止しています。

公益通報者が…公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、降格、減給、退職金の不支給その他不利益な取扱いをしてはならない。

改正公益通報者保護法5条

企業が内部通報規程などを整備し、不利益な取り扱いを禁じていることを従業員に周知することで、安心して通報できるようになるでしょう。

②内部通報に対応する従事者の指定

改正法では、内部通報の受付、調査、是正措置などを行う公益通報対応業務従事者(以下、従事者)を指定することが義務づけられました(改正法11条1項)。

つまり、内部通報の受付担当者を指定しなければならないということです。

これは、後述する秘密保持義務を負っていることを従事者に認識させるための規定です。

従事者を指定しない企業は、行政措置の対象となる可能性があります(改正法15条)。

また、従事者が通報内容の当事者である場合には、企業はその後の調査などに関与させないようにする必要があります。

③秘密保持の徹底

内部通報制度を運用する際には、通報者を特定できる情報の秘密保持を徹底しなければなりません

2007年に医療機器メーカーのオリンパスで発生した、内部通報者の情報が漏洩した事件では、企業と通報者との間で8年間裁判が行われ、社会的にも大きく報道されました。

こうした事例を踏まえ、改正法では、従事者が情報を漏洩させた場合の罰則規定が追加されています。

通報者を特定できる情報を他の社員や役員に明らかにすると、従事者は30万円以下の罰金に処される可能性があります(改正法21条)。

④経営陣から独立した通報窓口

内部通報の受付窓口は、経営陣から独立している必要があります。 

もし通報窓口に経営陣が関わっていると、幹部の不正行為を発見しても、従業員が通報しようとしない可能性もあるでしょう。

従業員の通報内容が正確に代表者へ届き、適切な対応を行うためにも、社内の通報窓口に加え、法律事務所などの外部窓口も併用することが理想です。

⑤通報を受けた後の調査と是正措置

通報を受けた後の調査と是正措置も、経営者が注意しなければならないポイントです。

通報内容が、法の定める通報対象事実に関するものであれば、企業は必要な調査および是正措置を実施しなければなりません。

通報対象事実とは、刑事罰や過料(行政罰)につながる犯罪行為のことです(改正法2条3項1号)。

通報後の調査や対応を行わないままだと、通報者の内部告発に発展し、マスコミに報道されて企業イメージが悪化する可能性もあります。

アトムのコンプラチェッカーで、通報システムを手軽に導入!

アトム法律事務所のコンプラチェッカーとは

コンプラチェッカーとは、社内不正を発見した従業員がアトム法律事務所を経由して、会社代表者に通報するための内部通報ツールです。

「自社のメールやツールでは、通報したことがバレてしまうかも・・・」という不安を解消するため、第三者であるアトム法律事務所が通報内容のみを会社代表者の方へ転送する仕組みとなっています。

これにより、「会社には直接通報しづらい」「社長まで通報が届くのか」という従業員の懸念を取り除くことができます。

コンプラチェッカーの特徴

完全に匿名での通報が可能

従業員が不正を発見した場合、アトム法律事務所が発行する企業専用ページから通報します。

通報の際、メール送信や氏名の記入などは不要ですので、通報者の情報が判明することはありません。

従業員からの通報内容は会社代表者のみが確認

コンプラチェッカーを使って不正内容が送信されると、アトム法律事務所が通報内容を受け取り、会社代表者にそのまま転送します。

そのため、通報が破棄されたり、通報内容が会社代表者以外に知られたりすることはありません。

毎月の内部通報メルマガで社内不正の最新ニュースを送信

アトム法律事務所から毎月月初、前月に報道された最新の社内不正情報や弁護士の解説記事が従業員にメールで通知されます。

社内不正の危険性を従業員にリマインドすることが可能となり、積極的な内部通報を促します。

社内不正の解説記事」で、企業不祥事の弁護士解説をご確認いただけます。

あわせてご覧ください。

コンプラチェッカーよくある質問

Q

誰が内部通報したかわかる?

A

わかりません。

通報を促進するには匿名性が重要となるため、通報者に関する情報はお伝えしていません。

Q

通報内容をアトムの弁護士に相談できる?

A

できます。

コンプラチェッカーの年間プランには弁護士との相談は含まれておりませんが
別途の時間報酬制で相談や各種依頼に対応しています。

Q

コンプラチェッカー導入のメリットは?

A

法律事務所が提供しているツールですので、不正行為に対する強力な抑止力となります。

「何かするとアトムのツールで通報されるかも・・・」と従業員が考え、社内に良い緊張感を生みます。

料金は年間一律9600円!|3か月無料トライアルも実施中

アトム法律事務所の内部通報ツール「コンプラチェッカー」は、年間で一律9,600円(税込)です。

通報手段を用意したり、従業員へのメール配信をしたりする手間をかけることなく、完全匿名の内部通報システムを導入することが可能です。

初回3か月間無料トライアルを実施していますので、ご興味のある経営者の方は、以下の専用サイトよりお問い合わせください。