社内不正のニュース情報

従業員差別とは?-性別や国籍などを理由として差別するのは違法です。

2023.10.26

質問きてた

質問

性別や国籍などを理由として差別するのは違法?

結論

犯罪・不法行為です

この不正の具体例

講演会で女性蔑視と取れる発言をする
「外国人を採用しない」とSNSに投稿する
部下に障害者差別と取れるような発言をする

かんたん解説

性別や国籍などを理由として差別発言をすることは、社内不正の典型例の一つです。女性蔑視的な発言をする、外国籍者を採用しないとSNSに投稿する、いずれも不法行為や侮辱罪となる可能性があります。

「冗談のつもりだった」「個人的な意見だった」という言い訳は通用せず、損害賠償を請求されて大事件に発展するケースもあります。

有名事件3選

吉野家生娘シャブ漬け戦略事件

牛丼の吉野家の常務が、2022年4月、早稲田大学の社会人向け講座に登壇し、地方出身の若い女性を常連客にする営業戦略を「生娘シャブ漬け戦略」と名付けて解説。受講者のTwitter投稿で世間に知れ渡って、女性蔑視と受け取られ炎上。直後、吉野家が謝罪と常務解任を迫られる事態に発展した。

東大准教授「中国人は採用しません」投稿事件

東京大学の特任准教授が、2019年頃、Twitterで人種差別的な投稿を繰り返した。准教授は自身で企業経営をしており、「中国人は採用しません」などと投稿したところ、批判が殺到。准教授は「無能を採用する方が業績悪化のリスク高まる」などと反論したが、大学から懲戒解雇処分を受けた。

県職員「わがまま障害者」差別発言事件

徳島県藍住町の男性職員が、2016年6月頃、身体障害を持っている女性部下に対し、「あんたはわがまま障害者」などと発言をした。女性が精神的苦痛を訴え、訴訟を起こして発覚。藍住町は10万円の損害賠償を命じられた。

やった人の責任

一般論として、社内不正を行った人には、刑事責任・民事責任・懲戒責任という三つの責任が生じる可能性があります。

従業員差別
刑事責任 民事責任 懲戒責任
懲戒や罰金を受ける責任 損害賠償金を払う責任 解雇や減給の処分を受ける責任
刑法231条(侮辱罪)など 民法709条 各社の就業規則

刑事責任

刑事責任は、罪を犯したときに、国に対して負う責任です。

警察に逮捕・検挙された後、検察に起訴されて、裁判所に有罪と判断されれば、懲役や罰金といった刑を受けることとなります。

被害が大きければ、懲役実刑となることもあります。

刑事責任に関する法律やルール

侮辱罪(刑法231条)

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

民事責任

民事責任は、被害者または会社に対して負う責任です。最も重要なのは損害賠償責任です。

賠償すべき範囲は被害者に対する直接損害だけでなく、対応時間のロスや信用低下による損失などの間接損害も含まれ、想像以上に多額に渡る場合もあります。

民事責任に関する法律やルール

不法行為(民法709条)

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

懲戒責任

懲戒責任は、会社に対して負う責任です。その内容は、会社ごとの就業規則で定められています。不正行為の結果の重大性に応じて、懲戒解雇、降格、出勤停止、減給、戒告などの処分が下されます。

会社に大損をさせる不正、犯罪になる不正をはたらいたときは、最も重い解雇になるケースが多いです。

懲戒責任に関する法律やルール

懲戒の事由(厚労省モデル就業規則64条2項)

労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。
⑤ 故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき
⑥ 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき

※会社ごと異なる

処分の実例

大学の講演会で女性蔑視の発言をし常務解任
Twitterで国籍差別の投稿をし、大学から懲戒解雇
町職員が障害者差別の発言をし、町に賠償命令

アトム法律事務所からのメッセージ

社長や法務部の方へ

従業員差別は、組織内の管理体制を疑われ社内外の信頼を大きく損ないます。未然に防ぐために、アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】の導入をご検討ください。

社内不正を目撃した方へ

同僚や上司による従業員差別を目撃した方は、職場の信頼できる人に相談しましょう。アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】導入済みの会社なら、同ツールも活用してください。

社内不正をしてしまった方へ

すぐ職場の信頼できる人や警察に打ち明けることが、職場だけでなく、あなたにとっても有益です。自首の方法などでお悩みなら、アトム法律事務所の弁護士にご相談ください。