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質問きてた
質問
他人が作った文書や身分証明書の改ざんは犯罪?
結論
公文書変造罪もしくは私文書変造罪です
この不正の具体例
免許を変造して大型車両を運転する
仕事のミスを隠すために申告書類を書き換える
残業隠しのために部下の勤務記録を改ざんする
かんたん解説
他人が作った文書の改ざんや書き換えは、社内不正の典型例の一つです。無免許がバレないようにするために変造する、ミスを隠すために書類を変造する、いずれの場合も公文書変造罪もしくは私文書変造罪です。
「バレなければいいと思った」「裁量労働制だから勤務時間を書き換えても問題ないと思った」という言い訳は通用せず、逮捕・起訴されて大事件に発展するケースもあります。
有名事件3選
消防士による大型免許変造事件
福井県の男性消防士が免許証を変造して、2012~2014年にかけて5回ほど消防車を無免許運転していた。男性は免許取得済みと虚偽申告していたため自身の免許証を変造。自家用車の違反運転で警官に呼び止められて変造が発覚。男性は懲戒免職となり、懲役2年(執行猶予4年)の有罪判決を受けた。
警察官による拾得物件控書変造事件
福岡県の男性警官が、2016年頃、合計10通の拾得物件控書を変造した。男性は遺失物業務の担当だったが、遺失者等への連絡を怠り、上司からの指摘を防ぐため「遺失者等に通知した」と書き換えた。遺失物の窃盗もしていた男性は懲戒免職となり、懲役2年(執行猶予4年)の有罪判決を受けた。
朝日新聞部下の勤務記録改ざん事件
朝日新聞広島総局長が、2020年頃、部下の申告したウェブ上の勤務表を無断で書き換えていた。総局長は月100時間の残業基準時間の超過を防ぐため、出退勤時間を調整したり、出勤を休日にしたりしていた。社内調査により発覚。総局長は役職を解任され、7日間の出勤停止処分を受けた。
やった人の責任
一般論として、社内不正を行った人には、刑事責任・民事責任・懲戒責任という三つの責任が生じる可能性があります。
文書変造 | ||
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刑事責任 | 民事責任 | 懲戒責任 |
懲戒や罰金を受ける責任 | 損害賠償金を払う責任 | 解雇や減給の処分を受ける責任 |
刑法155条など | 民法709条 | 各社の就業規則 |
刑事責任
刑事責任は、国に対して負う刑事責任です。
警察に逮捕・検挙された後、検察に起訴されて、裁判所に有罪と判断されれば、懲役や罰金といった刑を受けることとなります。
被害が大きければ、懲役実刑となることもあります。
刑事責任に関する法律やルール
公文書変造罪(刑法155条1,2項)など
公文書変造罪(刑法155条1,2項)
1.行使の目的で……文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
2.公務所又は公務員が押印し又は署名した文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
私文書変造罪(刑法159条1,2項)
1.行使の目的で……文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
2.他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
民事責任
民事責任は、被害者である会社に対して負う責任です。最も重要なのは、損害賠償責任です。
賠償すべき範囲は文書変造により発生した金銭的被害についての直接損害だけでなく、営業機会減による逸失利益、対応時間のロスや信用低下による損失などの間接損害も含まれ、想像以上に多額に渡る場合もあります。
民事責任に関する法律やルール
不法行為(民法709条)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
懲戒責任
懲戒責任は、会社に対して負う責任です。その内容は、会社ごとの就業規則で定められています。不正行為の結果の重大性に応じて、懲戒解雇、降格、出勤停止、減給、戒告などの処分が下されます。
会社に大損をさせる不正、犯罪になる不正をはたらいたときは、最も重い解雇になるケースが多いです。
懲戒責任に関する法律やルール
懲戒の事由(厚労省モデル就業規則64条2項)
労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。
⑤ 故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき
⑥ 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき
※会社ごと異なる
処分の実例
免許を変造して消防車運転し懲戒免職、有罪判決
業務怠慢を隠すため書類を変造し懲戒免職、有罪判決
部下の勤務データを変造し降格、停職処分
アトム法律事務所からのメッセージ
社長や法務部の方へ
文書変造は、社内外の信頼を大きく損ない、被害総額も大きくなりやすい類型の社内不正です。未然に防ぐために、アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】の導入をご検討ください。
社内不正を目撃した方へ
同僚や上司の文書変造を目撃した方は、職場の信頼できる人に相談しましょう。アトム法律事務所の【コンプラチェッカー】導入済みの会社なら、同ツールも活用してください。
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